ハヤトウリとは
ハヤトウリはアメリカ南部の熱帯地域が原産の野菜です。日本では関西より西の地域で、きんぴらや漬物の定番野菜として親しまれています。栽培には暖かい環境が必要であるため、関東地方ではあまり流通していません。アクが強く調理前には下ごしらえが必要ですが、淡白な味わいなので、どんな調理法でも楽しめるでしょう。
基本情報
科目 | ウリ科ハヤトウリ属 |
園芸分類 | 野菜 |
草丈 | 約4m |
原産国 | 熱帯アメリカ、メキシコ南部 |
開花時期 | 9~10月 |
収穫時期 | 10月~11月 |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 弱い |
学名 | Sechium edule |
英名 | chayote(チョヨテ) |
和名 | 隼人瓜(ハヤトウリ)、千成瓜(センナリウリ) |
特性 | 宿根草、つる性 |
名前の由来
和名の「隼人瓜」は、ハヤトウリが伝わった鹿児島県において、その土地に住んでいる人を「隼人(ハヤト)」と呼んでいたことが由来です。もうひとつの「千成瓜」は、ひとつの株からたくさん収穫できる性質がもととなっています。学名の「Sechium edule」はギリシャ語の「sekos(囲う)」と「edule(食用)」が語源です。昔、ハヤトウリをエサに家畜を育てていたことから名づけられました。
ボタニ子
旬
ハヤトウリの旬は秋です。10~11月頃に旬を迎えるので、ぜひ旬のうちに食べてみましょう。また、ハヤトウリは長期保存もできるので、春頃まで味わえます。
収穫時期
ハヤトウリの収穫時期は、10月上旬頃から始まります。つまり、収穫時期とほぼ同時に旬を迎えるのです。ハヤトウリは9月に花をつけたあと次から次へと実をつけますが、収穫できる時期が11月までと短く、霜が降りる前には終わります。
ハヤトウリの特徴
特徴①葉
ハヤトウリの葉は15~20cmほどの大きさで、ごく浅くですがノコギリの刃のようなギザギザがあり、柔らかい茎の途中に互生します。ハヤトウリはつるを伸ばす性質があり、葉もよく茂ることからグリーンカーテンとしても活用できる植物です。
特徴②実
ハヤトウリの実の大きさは約10cmで、洋梨や花梨に似た形をしています。皮の表面には産毛が生えているので、よく観察してみてください。実はサラダなど生食が可能ですが、苦みと青臭さを感じる場合があります。また、アクが含まれているので、素手で触ると手が荒れてしまいます。
特徴③花
ハヤトウリの花は、9月~10月に開花します。色は薄い黄緑色で、大きさは約1mmです。実の大きさは約10cmなので、とても小さいことがうかがえますね。
白いハヤトウリもある
白いハヤトウリはやや小ぶりな傾向があり、全体的に柔らかめです。味は苦みや青臭さがありますが、緑色のものと比べるといくらかマイルドに感じられるでしょう。ぜひ、両方を食べ比べてみてください。
ハヤトウリの栄養と効能
ハヤトウリは1個あたりのカロリーがおよそ60kcalと低く、食物繊維やカリウムなどの栄養を含んでいるので体型維持に効果が期待できるでしょう。ダイエットは、食事をしっかり摂ることが大切です。ハヤトウリを日々の食事に取り入れて、ヘルシーな生活を送りましょう。
栄養と効能①パントテン酸
パントテン酸はビタミンB群のひとつです。ビタミンCや葉酸など、ほかの栄養素と組み合わせることでより力を発揮します。ストレスを軽減したり、肌や髪を健康で美しく保ったりする効果が期待できますよ。さまざまな食品から摂取できるので不足することはまれですが、免疫力の向上に必要な栄養素です。
栄養と効能②葉酸
葉酸は妊娠中の胎児の成長に必要な栄養ですが、貧血防止や生理障害を整える働きもあるため、妊娠していない女性も積極的な摂取がおすすめです。葉酸は、前出のパントテン酸と結びつくことでより効果を発揮するため、ハヤトウリは女性にうれしい野菜といえますね。
栄養と効能③食物繊維
ハヤトウリに含まれる食物繊維は、不溶性食物繊維といわれるもので、腸を適度に刺激して便通を促す効果が期待できます。食物繊維を摂取することは、血流の改善や肌荒れ防止といった美容効果もあります。
栄養と効能④カリウム
カリウムは体内の余分な塩分を排出する働きがあり、高血圧の防止やむくみの改善に効果的です。腸の働きを助ける役割もあるため、便秘予防も期待できるでしょう。
ハヤトウリの食べ方と保存方法
下ごしらえ
ハヤトウリは苦みを感じる場合があるため、調理前に下ごしらえをするのが基本です。サラダなど生食する場合は、カットして種を取り除いたら15分ほど塩水に浸してください。加熱すると苦みは抜けるので、熱湯で茹でてから調理するのもおすすめです。またハヤトウリはアクが強いため、アク抜きも必要です。ハヤトウリのアクは素手で触ると肌荒れを起こすので、手袋をはめて調理・下ごしらえをしましょう。
下ごしらえ①茹でる
- 皮をむいて縦に4等分したら、種を取り除く
- 熱湯に塩を少々加えて、2分ほど茹でる
- 好みの厚みにカットしてから、調理する
下ごしらえ②アク抜き
- 茎がついていたほうを、横にカットする
- 断面同士をこすりあわせて、アクを出す(白い泡状のもの)
- 水で洗いながら、アクが出なくなるまで繰り返す
食べ方①漬物
ハヤトウリは、漬物にすることでシャキシャキの食感をより楽しめます。漬物にはぬか漬けや味噌漬けなどさまざまありますが、料理が苦手な人にもおすすめなのが浅漬けです。ハヤトウリの下ごしらえをしたら、市販の浅漬けの素に浸して冷蔵庫で30分ほど冷やしたらできあがります。鷹の爪や昆布を使って、自家製の浅漬けを作るのもよいですね。
食べ方②炒め物
ハヤトウリは、きんぴらなどの炒め物として調理してもおいしく食べられます。火を通しすぎるとシャキシャキの食感が失われてしまうので、軽く炒めましょう。いろいろな野菜をあわせたり、卵を加えたりするのもおすすめです。
食べ方③煮物
ハヤトウリは煮崩れしにくい野菜なので、煮物やスープなどの煮込み料理にぴったりです。味噌汁の具材としてもよいでしょう。ニンジンなどいろいろな種類の野菜を加えると彩もよくなり、栄養価もUPしますよ。
食べ方④揚げ物
揚げ物は、ハヤトウリのシャキシャキとした食感と、揚げ物特有のサクっとした食感の両方が楽しめる調理法です。ハヤトウリの揚げ物は下ごしらえに少々手間がかかりますが、その分、ほかの野菜では味わえないような独特な仕上がりが楽しめるでしょう。
保存方法
ハヤトウリは乾燥が苦手です。長期保存する場合は、新聞に包んでダンボールに入れて、火の気のない涼しいところに置いておきましょう。冷蔵庫でも保存可能ですが、1週間を目安に食べ切ってください。
高知県では「チャーテ」と呼ばれて、親しまれています