ピーマンが赤くなる原因は?
原因①赤い色素カプサンチンが増える
緑色のピーマンは、熟する前に収穫して食している野菜です。若い果菜のシャキシャキ感と苦味が、ピーマン独特の味や食感となっています。ピーマンが熟すと緑色の色素クロロフィルが分解されて、カプサンチンという赤色色素が増えます。これが赤くなる原因で、赤いピーマンは完熟の状態です。
原因②追熟でも赤くなる
野菜や果実は、収穫したのちに熟するのを待つことがあります。「追熟」と呼ばれる工程です。さつまいもなどは、収穫後にしばらく置いたほうが甘くなります。また、バナナは緑色のうちに収穫して輸入し、追熟処理をしてから流通します。冷蔵庫などで保存しているうちに赤くなったピーマンは、自然に追熟した状態です。
原因③収穫が遅かった場合もある
ピーマンが完熟するのは、緑色のピーマンの収穫より4週間ほどあとです。冷蔵庫でそれほど長く保存していないのに赤くなった場合は、もともとの緑のピーマンが少し遅めに収穫された可能性もありますね。
赤くなったピーマンの特徴
ピーマンの基本情報
名前 | ピーマン |
別名 | 西洋唐辛子、甘唐辛子 |
学名 | Capsicum annuum L. 'grossum' |
英語名 | sweet pepper、green pepper |
園芸分類 | 野菜 |
科/属名 | ナス科トウガラシ属 |
原産地 | 中南米 |
ナス科・トウガラシ属のピーマンは、赤トウガラシなどの仲間です。ピーマン(piment)は、フランス語由来のトウガラシを意味する言葉で、辛い種類も辛くない種類も含まれます。
ボタ爺
日本では辛いものをトウガラシと呼んでおる。ピーマンには辛いところはあまりないから、トウガラシとは言わなくなってきたんじゃな。
赤くなるまでの過程
緑色のピーマンが赤くなるまでの変色の過程を見てみましょう。いきなり赤色になるのではなく、緑が茶色を帯び、徐々に黒ずんだ状態になるときもあります。それから次第に赤くなっていきます。
ボタニ子
知らなかったら、腐りかけて変色したのかと思っちゃう!
赤ピーマンの栄養
ピーマンに多く含まれる成分
100g中の含有量 | 緑(生) | 赤(生) |
βカロテン | 400μg | 1100μg |
ビタミンC | 76mg | 170mg |
ビタミンE | 0.8mg | 4.7mg |
カリウム | 190mg | 210mg |
緑色のピーマンは、熱処理しても壊れにくいビタミンCなど栄養豊富で、健康によいと注目されてきた野菜です。完熟して赤くなると、ビタミンCやE、βカロテンが数倍に増えます。また、赤い色素カプサンチンが加わっています。カプサンチンは抗酸化作用があり、老化や動脈硬化予防が期待できる成分です。一方、苦味・渋味の成分であるピラジンとクエルシトリンは赤くなると減っています。
カプサンチンはカプサイシンに似た言葉だけど、別物なんだね。カプサンチンは赤い色素で抗酸化作用、カプサイシンは、辛い成分のこと!
そのとおり!それから、緑色のピーマンに多く含まれるピラジンは、血液をサラサラにする働きがあるんですよ。赤も緑も、栄養豊富!
そのほかの成分
100g中の含有量 | 緑(生) | 赤(生) |
カロリー | 22kcal | 30kcal |
食物繊維 | 2.3g | 1.6g |
単糖相当量 | 2.3g | 5.3g |
そのほかの一般的な成分も見てみましょう。完熟ピーマンは、エネルギーと糖質が若干増え、食物繊維が少し減っています。これらは味や食感にも変化をもたらせています。※成分表の単糖相当量(利用可能炭水化物量)は、いわゆる糖質に相当。
赤ピーマンの味と食感
赤いピーマンの食感は、緑色のピーマンほどシャキシャキ感はなく、少しやわらかな歯ごたえです。味は、ピーマン独特といわれる苦味や青臭さがあまりなくて、甘みがあります。苦味や青臭さが苦手な人には、赤ピーマンのほうが食べやすいでしょう。
パプリカとの違い
完熟ピーマンは、カラーピーマンとして市場に出ていて、スーパーで買えますね。同じトウガラシ属のパプリカも仲間で、それぞれ栽培品種が異なります。簡単に分類すると、赤ピーマンは薄肉中型種で、パプリカは厚肉大型の種類です。
ボタ爺
辛くないトウガラシがアメリカで品種改良されたのがピーマンじゃ。
ハンガリーで栽培されていたトウガラシ形のパプリカが、さらに改良されて、ずんぐりした肉厚のパプリカになったのね。
ボタニ子
次のページでは、保存してた赤ピーマンが腐ってないかチェックしたあと、レシピを紹介するよ!
カプサンチンは、カロテノイドと呼ばれる色素の一種です。カロテノイドには、リコペンやカロテンなどがあります。