里芋を食べると太る?
里芋は、煮物や汁物などに使われる家庭料理に欠かせない食材です。じゃがいもなどと同じイモ類である里芋は、炭水化物が主体であるためカロリーや糖質量が高く、太るイメージがあるかもしれません。しかし里芋には、ほかのイモ類と異なる魅力があります。里芋のカロリーと糖質量を学び、豊富な栄養価をダイエットや健康に役立てましょう。
里芋と山芋の違い
里芋は、サトイモ科の植物の塊茎(かいけい)と肥大した地下茎の総称です。人里で栽培されるサトイモ科に属する芋を「里芋」と呼び、山で自生するヤマノイモ科に属する芋を「山芋」と呼びます。里芋には200種以上もの品種があり、さまざまな形や大きさがあります。里芋も山芋も粘り気をもつ点は同じですが、山芋が生食できるのに対し里芋は生食することができません。
里芋が小芋と呼ばれる理由
里芋は、「小芋」と呼ばれる場合がありますが、小芋も同じ里芋です。里芋は芽の中でも一番初めに芽を出した部分を「親芋」と呼び、親芋の周りに生えてくる芋のことを「小芋(子芋)」、さらに小芋の周りに生えてくる芋を「孫芋」と呼びます。親芋だけを食べるもの、小芋だけ食べるもの、親芋も小芋も両方を食べるものなど品種によって食べられる部分が異なります。
里芋のカロリーは高い?
イモ類に分類される里芋は、葉物野菜に比べると高いカロリーと糖質をもっています。しかし、じゃがいもや山芋などのイモ類の中では水分が多く含まれているためカロリーも糖質も低いです。里芋100gあたりのカロリーは53kcalで糖質量は10.8g、平均的な大きさの里芋1個(50g)あたりのカロリーは26.5kcalで糖質量は5.4gです。イモ類の中では、ヘルシーな食材であるといえるでしょう。
里芋のカロリーと糖質量
さまざまなサイズがある里芋は、大サイズが1個100g程度、中サイズが1個50g程度、小サイズが1個20g程度です。一般的に中サイズのものが数個ずつ袋に入って販売されています。ダイエット中などカロリー計算が必要な場合は、可食部100gあたりのカロリーと糖質量を、50gのエネルギーに直して計算しましょう。また水煮や冷凍された里芋も、カロリーと糖質量は生のものとあまり変わりません。
里芋可食部100gあたりのカロリーと糖質量
カロリー | 炭水化物 | 食物繊維 | 糖質 | |
生 | 53kcal | 13.1g | 2.3g | 10.8g |
水煮 | 52kcal | 13.4g | 2.4g | 11g |
冷凍 | 69kcal | 16.1g | 2.0g | 14.1g |
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約50gの中サイズの里芋は、糖質量も約5gと覚えておくと計算しやすいでしょう。
ほかのイモ類との比較
里芋は、ほかのイモ類と比べてみると低カロリーで低糖質な食材です。里芋と同じように粘り気をもつ長芋と山芋は、里芋よりカロリーも糖質も高いです。じゃがいもとは同じくらいですが、さつまいもには里芋よりも高いカロリーと糖質量が含まれています。里芋は、ほかのイモ類と比較すると、カロリーも糖質も低く糖質制限やダイエットをしている方におすすめの食材といえるでしょう。
ほかのイモ類とのカロリーと糖質量の違い
可食部(100g) | カロリー | 糖質量 |
里芋(生、皮つき) | 53cal | 10.8g |
長芋(生、皮つき) | 64kcal | 12.9g |
山芋(生、皮つき) | 119kcal | 24.6g |
じゃがいも(生、皮つき) | 51kcal | 6.1g |
さつまいも(生、皮つき) | 127kcal | 30.3g |
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里芋とほかのイモ類の比較表です。可食部100gあたりのカロリーと糖質量を比べてみましょう。
里芋の栄養価と効能
里芋は、体にやさしい成分を豊富に含んだ栄養価の高い野菜です。グルコマンナンやガラクタンといった里芋特有のぬめり成分が、体によい作用を発揮してくれます。またカリウムやビタミンB1も多く、体の塩分を外に排出させる働きや糖質をエネルギーに変える働きなど、さまざま効能が期待できるでしょう。
栄養と効能①腸内環境がよくなる
里芋には、100gあたり2.3gの食物繊維が含まれています。特に「グルコマンナン」と「ガラクタン」という水溶性食物繊維が豊富なことが特徴です。水溶性食物繊維は、粘着質があり胃腸内をゆっくりと移動するため、お腹がすきにくく自然に食事の量を減らせます。低カロリーなだけではなく便秘が解消され腸内環境がよくなり、ダイエット効果にも繋がるでしょう。
グルコマンナンとは?
グルコマンナンは、里芋のぬめりに含まれる成分の一つです。水に触れると大きく膨張する特徴があり、摂取すると胃の中で膨むため、満腹感が得られ便通を改善する効果があるといわれています。
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グルコマンナンは、ダイエット食品の原料にも使われる成分です。
栄養と効能②むくみを解消する
里芋には、ほかのイモ類よりも多くカリウムが含まれています。含まれているカリウムは、可食部100gあたり640mgです。カリウムには体内の余分な塩分を排出しむくみを解消する働きや、体内のナトリウムとバランスを取り、血圧を調整する働きがあるとされています。また、利尿作用もあるとされ、体内の水分の循環を促す効果も期待できるでしょう。
栄養と効能③胃や呼吸器の粘膜を保護する
里芋は、「ムチン」という水溶性食物繊維が含まれています。ムチンは胃や呼吸器の粘膜を保護する効果が期待できるほか、糖質の吸収を抑える働きがあるとされています。血糖値の急激な上昇を防いだり、風邪や花粉症を予防したりすることも期待できるでしょう。
栄養と効能④免疫力が上がる
水溶性食物繊維であるガラクタンとムチンは、ビタミンB1とともに免疫力を向上させる効果があるといわれています。里芋は秋から冬にかけて旬を迎えます。里芋を食べることで免疫力が上がり、風邪を引かない体づくりに繋がるでしょう。ビタミンB1は水に溶ける水溶性ビタミンの一つです。温かな汁物にして溶け出した栄養素も一緒に摂取するのがおすすめです。
栄養と効能⑤肥満の予防になる
里芋に含まれているガラクタンは、大量に摂取しても脂肪にならない成分です。体内で分解されなかった糖分は脂肪に蓄積されますが、人間の消化酵素の中にはガラクタンを分解するものがないため、そのまま体外に排出されます。いくら食べても脂肪として蓄積されず、太る心配を軽減できる食材といえるでしょう。
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次のページで、里芋の栄養価を逃がさない食べ方を見ていきましょう。
出典:写真AC