センニチコウは初夏から秋にかけて咲く、小さな玉のようなかわいらしい花です。花色が褪せず枯れても形が崩れにくいため、仏花として用いられることもあります。ドライフラワーにしやすく、リースなどおしゃれなアレンジやフラワークラフトが楽しめます。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 一年草(キバナセンニチコウは多年草) |
草丈 | 15cm~80cm |
花の色 | 白、ピンク、赤、赤紫、黄色 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 寄せ植え、ドライフラワー、花もちがよい |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
センニチコウの名前は、花色が長期間褪せないことに由来するといわれています。また、サルスベリ(百日紅)より長い期間咲いているから、センニチコウ(千日紅)と名付けられたという説もあります。
センニチコウは夏の暑さや乾燥に強く、開花期が長い一年草です。花もちもよく、1つの花が1週間程度もちます。花びらのように見えるのは、苞(ほう)と呼ばれる変形した葉で、苞の中に花びらのない小さな花があります。葉は対生につき、茎や葉には細毛が生えています。
センニチコウには、一年草のグロボーサ種と、近縁種で多年草のハーゲアナ種(キバナセンニチコウ)があり、それぞれの交配品種がセンニチコウとして出回っています。ハーゲアナ種の方が草丈が高く、ほんの少し耐寒性があります。
バディーは、草丈30cm程度の小柄なグロボーサ種系の一年草です。白、ピンク、紅色の花色があり、まとまりやすいので、鉢植えや花壇の縁取りに適しています。
ストロベリーフィールドはハーゲアナ種系の多年草で、いちごのような赤い花が咲く人気品種です。草丈80cmほどに伸びるので、切り花にしやすい花です。
ファイヤーワークスは、鮮やかな赤紫の花弁(苞)に黄色いしべが突き出た花火のような形が印象的な品種です。多年草のハーゲアナ種系統の品種と推察され、初夏から秋の終わり頃まで咲き、地上部が枯れた後は根茎で冬を越します。
種まき時期 | 5月 |
植え付け時期 | 5月~6月 |
花が咲く時期 | 6月~11月頃 |
植え付けは、5月~6月下旬頃ならいつでも可能です。5月初旬(温暖地では4月下旬)に植えると、花期を長く楽しめます。
センニチコウは、地植えでもプランターでも育てられます。庭植えは、日当たりがよく水はけのよい場所を準備します。水はけの悪い場所しかない場合は、よく耕して高畝の花壇にするなど工夫しましょう。深植えしない(根鉢が土の表面より低くならない)ように植えます。
鉢植えは、土を入れる前に鉢底石を入れて、水はけをよくしてください。他の植物との相性がよく、寄せ植えにも適しています。乾燥気味の土壌を好む花や、斑入りのツルニチニチソウなどのカラーリーフとも合います。
センニチコウは日当たりがよく、水はけのよい場所に植えましょう。鉢植えは、日当たりと風通しのよい場所に置いて育てます。日差しがあると、花芽がよく付きます。
センニチコウは、特に土質を選ばない丈夫な植物です。鉢植えには草花用培養土か、赤玉土と腐葉土を6:4程度の割合で混ぜ合わせた土を使います。
鉢植えには、土の表面が乾いたらたっぷり水やりします。庭植えは降雨だけで十分です。何週間も雨が降らないときは水やりしてください。
元肥に緩効性化成肥料を与えておきます。追肥はとくに必要ありません。葉の色が薄いなど、生育が悪そうな場合には追肥してください。
センニチコウに寄って来る害虫はナメクジです。梅雨の頃に発生しやすく、葉を食べてしまいます。昼間は鉢底や石ころの下などに隠れているので、こまめにチェックして退治しましょう。
気を付けたい病気は立枯病です。加湿状態で、草丈の長くなった株元がぐらついて傷ついたときに発症します。苗を深植えにしないようにし、支柱を立てて安定させるなどの予防が大事です。
開花後、花(苞)の下部の色が褪せてきたら、花がらを摘み取ってください。種を採取する場合は、開花時期の終わりの頃に、花がらを摘まずに残しておきましょう。
種まきは5月頃が適期で、発芽適温は20℃~25℃です。種まき用土か小粒赤玉土とバーミキュライトを合わせた土を育苗トレーに敷いて準備します。
センニチコウの苗は、5月頃にホームセンターや園芸店に並びます。株元がぐらついていない、しっかりした苗を選びましょう。
6月~9月頃の間に、適度に摘心をすると株が横に広がり、花付きがよくなります。花茎が長くなったら、花後の花がら摘みを兼ねて、1/2ほどの位置で剪定しましょう。
センニチコウの増やし方は、種の採取です。種を採れば、翌年も咲かせられます。花がらを枯れるまでおくと、枯れた花(苞)の中に綿毛のついた種ができています。完全に枯れると地にこぼれてしまうので、色あせたころ合いを見て花を摘み、袋に入れて種まき時期まで冷暗所で保管します。種をまく前に、砂などを混ぜて綿毛をこすり取ってください。
出典:写真AC