立枯病とは
立枯病とは、病原菌であるカビの一種が原因で起こる、根から感染する病気のことです。初期症状は生育不良で、病気が進行していくと根が腐敗し、葉が下から黄化して枯れていきます。やがて地際部の茎も腐敗し、その茎が細くくびれて枯死するでしょう。立枯病は伝染性の病気のため早期発見し早めの対策が必要です。「苗立枯病」や「立ち枯れ病」と表記されることもありますが、全て同じ意味です。ここでは統一して立枯病としておきます。
きゅうりの場合
例としてきゅうりの場合を考えてみましょう。きゅうりにはさまざまな病気にかかるリスクがあり、立枯病はそのひとつです。きゅうりが立枯病にかかってしまったときの症状としては、病斑部に白色綿毛状のカビを生じます。きゅうりを例にとってみましたが、他の植物にも感染する可能性は大いにあるため気をつけましょう。
立枯病の原因
立枯病はさまざまな原因があるため、それぞれを理解して対策していく必要があります。原因、発生しやすい条件などを紹介していきます。
発生しやすい時期・条件
立枯病は主に3月~11月と幅広く起こりやすいです。特に梅雨の時期で気温が高く多湿の状態になると起こりやすくなっています。しかし、病原菌は−5~30℃前後で生育するため、冬だからといって安心できません。冬は病原菌の繁殖の心配はありませんが、なかには越冬する病原菌が存在し、春になり気温が上がるとまた繁殖し始めます。また、梅雨の時期だけではなく、雨・湿度の高い日が続くときには十分注意しましょう。
土壌
立枯病が起こりやすいのは、水はけの悪い粘土質の土壌です。酸化された土壌では「野菜の根が傷む」「根が開花や根の伸長」「リン酸(P)を吸収しにくくなる」など野菜にとって悪い状況に陥ります。アルカリ性の土壌では「野菜の育ちが悪くなる」「病気が出やすくなる」などの症状が出てくるため、植物を育てるのに適しているは中性の土壌です。水はけのよい土を使うことをおすすめします。また、水のやりすぎ、窒素系の肥料の与えすぎも立枯病の原因となるため気を付けましょう。
立枯病の予防
立枯病を防ぐためには原因を知り、予防することが大切です。さまざまな予防を紹介していきます。
土壌の質
苗を植える前に水はけの悪さを改善することが大事です。おすすめは「畑に傾斜をつける」という方法です。「こんな簡単な方法で水はけの悪さが改善できるのか」と思う人がいるかもしれませんが、実際にやってみるとわかるでしょう。苗を植える前に土壌を消毒し、風通しや排水をよくすることも大切です。また、深植えをしすぎると根と地際付近の茎が加湿状態に陥り、立枯病が起きやすくなってしまうため気を付けましょう。
コンパニオンプランツ
予防方法には、違う種類の植物を同じ場所で栽培することによって、互いによい影響を与える組み合わせ「コンパニオンプランツ(共生植物)」もあります。例えば、ネギ科の野菜を一緒に植えることで根に共生する拮抗菌が立枯病の病原菌を抑える効果があります。バラなら、チャイブがコンパニオンプランツにぴったりです。一緒に育てるだけで予防できるため、おすすめです。
カニ殻を使用
苗を植える1週間前に、土に一握り程度のカニ殻を混ぜることも立枯病の予防になります。キチンを含むカニ殻を土に混ぜると、放射菌と呼ばれる菌が増えキチンを分解すると同時に、細胞膜がキチンで作られている立枯病の病原菌も分解してくれます。また、立枯病以外の病原菌も分解してくれるため有効な対策です。
立枯病になった後にすべきこと
立枯病になってしまったら早期発見をし、周りの植物に感染する前に対処しましょう。
早期発見できた場合
早期発見できたなら、すぐに立枯病の被害にあった株や根の周りにある土、落ちている枯れ葉など全て焼却しましょう。他の植物に感染してしまうからです。焼却処分のときに使用した用具は消毒しましょう。同じ植物を同じ場所に連続して植えると、立枯病を引き起こすことになります。何かしらの理由で株を抜き取ることが難しい場合は、薬剤を使います。薬剤を使いたくない場合は、株ごと抜き取るしか方法がありません。
早期発見できなかった場合
もし早期発見ができなかった場合は、薬剤を使用するしかありません。つまり、薬剤を使用する以外何をしても無駄ということになってしまいます。しかし、再発しないようにする方法はあります。立枯病の原因菌には太陽光消毒や熱消毒が有効のため、可能ならば用土を広げて何度もひっくり返しながら太陽光に当てましょう。できるだけ植物を毎日観察し、異変がないかどうかを調べることがおすすめです。
まとめ
植物を育てていくうえで病気はつきものです。その病気のひとつである立枯病については、よく理解しておくべきでしょう。いつ、どのような植物にも発生する可能性があるため、日頃からの注意が必要です。もしものときに素早い対処ができるような心がけが大切といえます。知識を増やし、楽しく植物を育てていきましょう。
出典:Pixabay