ヤシャブシの育て方!人気の樹木の特徴や栽培のポイントを解説 | 植物図鑑

学名Alnus firma
和名夜叉五倍子(やしゃぶし)
別名ミネバリ
英名Japanese green alder
科・属名カバノキ科ハンノキ属
原産地日本
花言葉おだやか、忍耐(ハンノキに由来する)

ヤシャブシの概要

出展:写真AC

出展:写真AC

ヤシャブシは日本が原産の高木の植物で、塩害をはじめとするさまざまな環境変化に強く、庭木や街路樹として植えられていることが多いです。またやせた土地でも栽培しやすいため、緑化を目的とした植樹にも活用されています。

基本情報

園芸部類 庭木
形態 落葉高木
樹高・草丈 1~15m
花の色 赤、黄緑
耐寒性 強い
耐暑性 強い
特性・用途 潮風に強い、育てやすい
栽培難易度 ★★☆☆☆

名前の由来

ヤシャブシは3月頃に開花した花が枯れていくと、10月頃に果穂になります。この果穂が、インドの神様「夜叉」に似ていることから名づけられました。また黒色の顔料になる植物「フシ」の代わりとして使われてきたことも、名前の由来です。

特徴

ヤシャブシは、3月頃に葉が成長するより先に黄緑色の花を咲かせます。開花後は、雄花は下方向へ垂れ下がり、雌花は直立するのが特徴的です。葉はたまご型でふちがギザギザのノコギリ状をしており、13~20枚対になっています。

菌と共生する

ヤシャブシは、根粒菌(こんりゅうきん)という菌を根に共生させています。この菌の影響を受けて、空気中の窒素を取り込むことが可能になるのです。窒素は植物の成長に欠かせない成分といわれていることから、ヤシャブシは肥料の役割も担う肥料木とも呼ばれています。

ヤシャブシの代表品種・種類

①オオバヤシャブシ

オオバヤシャブシは高さが15mほどあり、本州の太平洋側の海岸近くに多く自生しています。葉の大きさが12cmほどで、ヤシャブシよりも大きいことから名づけられました。ヤシャブシととてもよく似ていますが、雌花が枝先についているという違いがあります。

②ヒメヤシャブシ

ヒメヤシャブシは樹高が7m、葉の大きさが10cmほどとヤシャブシの中では小柄で、葉が20対以上あるのが特徴的です。江戸時代末期に滋賀県で発見され、現在は風よけなどを目的に日本全国に分布しています。

③ミヤマヤシャブシ

ミヤマヤシャブシは樹高や葉の大きさ、葉の形状などヤシャブシと大きな違いはありませんが、葉の裏側に細かい産毛が生えています。日本全国に分布しており、とくに山地で見かけられることが多いヤシャブシです。

ヤシャブシの育て方①時期

植え付けから開花までの時期

植え付け時期 11~3月
実がなる時期 10~11月
剪定の時期 12~2月、5月
花が咲く時期/開花時期 3月頃

栽培スケジュールカレンダー

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
植え付け
植え替え
剪定
開花時期
休眠期

栽培適期は?

ヤシャブシは、3~9月頃がよく成長する期間です。根を成長させる期間にもなるため、移植などはしないほうが安全です。葉が枯れはじめる10月以降は成長が緩やかになり、冬の間は休眠します。植え付けは、成長が落ち着く11~2月、遅くても3月までにするのがベターです。

ヤシャブシの育て方②栽培環境

栽培方法

ヤシャブシは、地植えで栽培します。10mを超えて成長するため、鉢植えには向きません。小さいうちは鉢植えで管理できますが、成長速度が速く根づまりする可能性があります。苗木を入手したら早めに植え付けましょう。

育てる場所

ヤシャブシは、日当たりのよい場所で栽培してください。日当たりが悪いと十分な光合成ができなくなり、成長しない可能性があるためです。ヤシャブシを植え付ける際は、周りに背の高い建物や植物がないか確認してから植え付けましょう。

用土

ヤシャブシはどのような土質でも成長するため、用土は選びません。用土選びに迷ったら、樹木用の培養土を購入するのがおすすめです。

ヤシャブシの育て方③管理のポイント

水やり

ヤシャブシの水やりは、基本的に降雨のみで問題ありません。ただし、植え付けてから根が定着するまでは、1日1回を目安に水やりをしてください。

肥料

肥料は、植え付けのときに元肥を施します。その後は、根に共生している根粒菌が栄養を運ぶため追肥は必要ありません。

害虫対策

ヤシャブシの管理では、カミキリムシの幼虫であるテッポウムシに気をつけます。テッポウムシは、木の内部に住み着き食べてしまう害虫です。カミキリムシ用の殺虫剤で退治してください。

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病気対策

ヤシャブシ栽培では、うどんこ病や褐斑病に気をつけます。うどんこ病は葉の全体が白く粉をふいたようになり、褐斑病は葉の表面に黒い斑点ができて、葉が枯れ落ちることで病気が広がります。どちらも成長の妨げになる病気です。それぞれ病気になってしまった葉を落として、拡大しないように殺菌剤をまきましょう。

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花後の管理

ヤシャブシは、花後の管理は必要ありません。花をそのままにしておくと果穂ができ、秋頃に松ぼっくりに似た実が採れます。この果穂をしっかり乾燥させると、リース作りや染料の材料に使えるのでハンドメイドを楽しむのもよいですね。

ヤシャブシの育て方④詳しい栽培方法

種まき

種は、通販などで手に入れられます。果穂にも種が入っているので、採種も可能です。緩効性の元肥を加えた土に種をまいたら、乾燥しないように水やりをしましょう。発芽までに1年以上かかりますが、日当たりのよいところで見守ってください。

苗の選び方

苗は、主軸ができるだけ真っ直ぐ伸びていて葉の色が鮮やかな緑色のものを選びます。光合成を必要とするため、枝葉が充実しているかも確認してください。葉が粉っぽかったり斑点がついていたりする場合は病気の可能性が考えられるので避けましょう。

植え替え

休眠期にあたる11~3月の間に植え替えます。一度植え付けたら移植はしないので、ある程度育った苗木を移し替えるときにだけ植え替えてください。

剪定

ヤシャブシは剪定をしなくても、まとまりよく成長します。枝が混みあっていたり、コンパクトに仕立てたりする場合にのみ剪定をしてください。休眠期の12~2月または5月に剪定しましょう。

冬越し

ヤシャブシは10月頃から紅葉をはじめ、次第に枯れて休眠期を迎えます。冬越しに大きな心配はありませんが、雪深い地域では雪の重みで枝が折れる可能性があります。囲いをするなど、雪対策をするとよいでしょう。

増やし方

ヤシャブシは挿し木で増やせます。よく成長した枝を切り落としたら、切り口に抗菌剤を塗って土に挿してみましょう。根が出るまで、乾燥に気をつけて日の当たる場所で管理してください。

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