クサギは日当たりのよい場所などに自生する落葉低木です。日本全国に分布しているため意外と身近な植物ですが、葉は臭いにおいがするので、人によっては「においが苦手」という意見も多いです。
園芸部類 | 樹木 |
形態 | 落葉低木 |
樹高・草丈 | 3~5m |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 庭木 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
クサギは漢字で「臭木」と書きますが、漢字に「臭」を使うことからもわかるとおり、実際に臭いにおいがすることに由来します。臭いにおいを発するのは葉の部分ですが、近くで眺めるだけであればにおいはしません。ただし葉の表面を触ったりもんだりすると、異様なにおいがします。
クサギのにおいは、嗅いだ人の感じ方によって表現が異なります。においの特徴を嗅いだ人に聞いてみると「カメムシのような臭さがある」と答える人が多いです。しかし中には、「ピーナッツクリームのようだ」という人もいます。そのためクサギの葉のにおいを不快と感じない人もいるようです。
名前の由来となった葉のにおいは、人によって感じ方が違います。ところがクサギの花はほんのりと甘い香りがするため、花の形や実の付き方に特徴がある品種は観賞用に人気です。特に観賞用に適した品種は鉢植え・庭植えも可能なので、ガーデニング初心者にもおすすめできます。
ボタンクサギは、あじさいの花のようなインパクトのある花が人気な理由のひとつです。開花時期もアジサイの時期と重なりますし、草丈は1~2mと管理しやすいため、梅雨時期の庭づくりにおすすめです。ボタンクサギの中には、斑入りの葉をもつ種類もあります。
クサギ華王は、ラッパの形によく似た真っ白な花が咲きます。葉の色は表と裏で別の色をしており、表面からみると緑色の葉をした低木ですが、遠目で見ると葉の裏側の赤紫色が混じって見えるため、部屋のインテリアにも人気です。葉に独特のにおいがありますが、こすらない限りにおいは発しません。
クサギを植え付けすれば、その後の手間はかかりません。自然と樹形は整いますし、剪定で樹丈を整えれば生垣にもなります。冬になる前には葉が枯れるので、冬越し対策も不要です。そのくらい手間のかからない植物なので、初めて栽培する人も栽培カレンダーを参考にすれば簡単に育てられます。
植え付け時期 | 春、秋 |
植え替え時期 | 春、秋 |
結実の時期 | 10月 |
剪定の時期 | 成長にあわせて適宜 |
花が咲く時期/開花時期 | 7~8月頃 |
庭木として人気のクサギは、苗を植えて育てるのが一般的です。耐寒性・耐暑性の強い植物ですが、植え付けや植え替えには温度の変化が激しい夏と冬は避けます。植え付け・植え替えに適しているのは春と秋ですが、どちらの季節も暖かい晴れた日がおすすめです。
クサギの育て方は種まきと苗のどちらからでも育てられますが、園芸店などで購入した苗を植える育て方が一般的です。クサギの庭木は、和風庭園・洋風庭園のどちらにも似合います。管理もしやすくアレンジもしやすいクサギですが、育てる場所と苗の選び方には注意が必要です。
クサギは日照時間がある程度確保できる日なたで管理しましょう。鉢植えの場合は季節や温度の変化に応じて育てる場所を変えられますが、地植え・庭植えの場合は植え替えしない限り場所の変更はしません。そのため植え付けする場所を決めるときは、通年で日当たりのよい場所を選ぶのがポイントです。
寒冷地でも自生が確認されているクサギですが、庭木や観賞用として自宅で栽培する場合は、地植え・庭植えは避けたほうがおすすめです。鉢植えであれば冬越し中は寒さがしのげる屋内へ移動が可能ですが、地植え・庭植えの場合、寒さで根や幹の根元が枯れると植物全体も枯れます。
植え付け用の苗は、樹丈が50~60cmのものを選ぶのがポイントです。庭木用のクサギなら、樹丈50~60cmでも1年で1m近くまで育ちますし、手入れしやすい高さなので根付くまでの管理がしやすいです。葉の量よりも苗の直径が太いものを選ぶと、定植後もしっかりと成長してくれます。
クサギは剪定をしなくても樹形がまとまるので、購入時の苗が多少いびつな形をしていても、自然な美しい形に成長します。ただし育苗ポット内の土が乾燥している苗は、形がどんなに整っていても水枯れの可能性が高いです。水枯れした苗は植え付けしても枯れるので、土の乾燥状態もチェックしましょう。
庭木用のクサギの用土は空気を多く含んだ土を選ぶと、通気性がよく適度に湿度を保つ土ができます。そのため土を深い部分までしっかりと耕し土が柔らかくなったら、庭木用の腐葉土をまんべんなく混ぜるのがおすすめです。鉢植えの場合は植物栽培用の培養土に赤玉土や川砂などを混ぜると、水はけがよくなります。
植え付けの2週間前を目安にしっかりと土づくりができていれば、用土に肥料を施さなくても問題ありません。どうしても植え付け前に肥料を使いたい場合は、土づくりの段階で化成肥料を少量混ぜてください。ただし即効性の高い肥料は苗を枯らす原因になるので、必ず緩効性肥料を選びましょう。
クサギはよい土壌で育てれば、土の中の養分だけで大きくなります。特に庭木として栽培する場合は、必要以上に手間をかけないことが栽培成功のコツです。観賞用のクサギで元気がないと感じた場合は、春と秋の追肥だけで構いませんが、急激に温度が変化おきる夏や冬の追肥は避けてください。
クサギは通気性のよい用土を好みますが、ツル性の植物なので土の内部までの乾燥は、枯れる原因になるため避けましょう。ただし乾燥を防ぐために頻繁に水やりをすると、根腐れや病害虫の原因になります。地植え・庭植えの場合の水やりは、降雨のみで十分です。鉢植えの場合も、乾燥したときに水やりをするだけで構いません。
クサギの増やし方で初心者におすすめなのは、挿し木(挿し穂)による増やし方です。挿し木での増やし方は5~9月が時期ですが、夏の生育期には一気に成長します。そのため初心者の場合は、気温が高くなる前の5月に挿し木を行うのが一般的な増やし方です。
クサギは落葉樹なので、葉は冬前には枯れ落ちます。枯れても翌年の春には新芽が出るため、すべて落葉しても生育に問題はありません。耐寒性も強いので、冬越し対策は不要です。美観の管理のために、葉が枯れ始めたらこまめに落ち葉拾いをしましょう。
クサギの葉の臭さもあってか、基本的にクサギの天敵となる害虫はいません。花の時期になると昼は蝶、夜間は蛾などが集まりますが、甘い蜜に誘われて集まるだけなので被害の対象外です。同じくクサギは病気にもかかりにくいですが、土の乾燥を防ぐために過剰に水やりをすると、カビ菌が発生し病気のリスクが高まります。
クサギは植え付け後の手間がかかりませんし、花はほんのりと甘い香りを発するため、近年では庭木にも人気です。ただし手間がかからなくても、適宜手入れをしなければ管理しにくい大きさになります。クサギの成長トラブルも、剪定不足によるものが多いです。
クサギは春に緑、夏に花、秋に紅葉が楽しめる人気の庭木ですが、成長にあわせて適宜剪定をしないと管理がしにくい高さまで成長するので厄介です。剪定をしなくても全体の形は整っているのですが、管理しないと樹丈が5m以上になることもあります。そのため剪定のタイミングは「樹丈2mが目安」と覚えておきましょう。