サルスベリの別名は「百日紅(ひゃくじつこう)」です。その名のとおり、枝の先端に赤い花をひと夏の間咲かせます。木肌は滑らかで、分厚い葉はつややかです。赤い花をつける品種の他に、白い花やピンクの花をつけるものもあり、背丈も数メートルになる通常品種から矮性品種まであります。シンボルツリーや庭先に植える植物として人気の庭木です。
園芸部類 | 庭木・花木 |
形態 | 低木または中高木の落葉樹 |
樹高・草丈 | 2~10m(矮性品種もあり) |
花の色 | 赤、白、ピンク |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 庭木・観賞用 |
栽培難易度 | ★★★★☆ |
サルスベリの開花期は初夏から晩秋と長いのが特徴です。真夏は花をつける植物が少なくなる季節でもありますが、そんな季節に庭を彩ってくれる艶やかなサルスベリの花は貴重な存在でしょう。伸びた枝の先端に房状に花を付ける姿はとても美しく人気があります。
サルスベリは花、木肌、樹形どれをとっても美しい庭木であると人気です。そのうえ耐寒性・耐暑性ともに高く、初心者でも育てやすいのが魅力です。ただし、北海道といった寒冷地では、地植えで冬を越せない場合があります。こういった地域では鉢植えでの栽培がおすすめです。
サルスベリ・チカソーはピンク色の花をつける矮性品種です。通常の品種のように株立ちはせず下草のように球状に広がっていくため、鉢植えでの管理もできます。
白花サルスベリは、その名のとおり真っ白な花が特徴です。通常の品種と比べ空間を明るくしてくれるでしょう。赤と白と合わせて植える人も多い人気の品種です。
植え付け時期 | 4~5月、9月 |
植え替え時期 | 3~4月 |
肥料の時期 | 2月 |
剪定の時期 | 12~3月 |
花が咲く時期/開花時期 | 7~10月 |
サルスベリの植え付けは春と夏の終わりである4~5月または9月が適期です。基本的には強い木なのでいつでも植え付けはできますが、原産地の気温を目安に暖かい時期に済ませるのがよいでしょう。
サルスベリの栽培方法は性品種などコンパクトに収まる品種を除いて基本的には地植えが望ましいでしょう。矮性品種は鉢植えも可能で、栽用品種なども出回っています。
サルスベリは日光を好みます。たくさん花を咲かせるためにもよく日の当たる屋外がよいでしょう。鉢植えで管理する場合は日の当たる場所に置くようにします。日当たりが弱い場所では花をつけにくいので場所選びは慎重に行いましょう。
サルスベリは水はけのよい用土を好みます。地植えする場合は日当たりと一緒に、水はけを確認します。痩せた土地では成育速度が落ちるので、地植えの場合は土に腐葉土や赤玉土を混ぜ込むとよいでしょう。鉢植えの場合は一般に販売されている培養土でOKです。
サルスベリを地植えで育てている場合は、しっかり根付いていればほとんど水やりの必要はありません。夏場に乾燥した日が続くときはたっぷりと水を与えます。鉢植えの場合はこまめな水やりが必要になります。土が乾いたらたっぷりと水を与え、水切れを起こさないように管理しましょう。
サルスベリはつぎつぎと花を咲かせますが、こまめな施肥は必要ありません。花が終わり葉を落としたあと、寒肥として有機肥料を株元の周辺に混ぜ込めば十分です。
サルスベリにつきやすい害虫には「カイガラムシ」があります。カイガラムシがサルスベリの表面につくと樹液を吸い栄養分を奪ってしまうため、最終的に植物が枯れてしまうこともあります。また、カイガラムシが作った傷から別の病原菌が侵入することもあります。発見しだい駆除することや、枝が込み合わないように剪定することが主な対策方法です。
サルスベリがかかりやすい病気が「うどん粉病」です。病状がひどいと植物は枯れてしまいます。風通しをよくし、極度の乾燥は防ぎます。込み入った枝などがあるときは剪定しておきましょう。
サルスベリの花後は、終わった花柄を切り取ります。するとそのあと再びそこから新しい花を付け、長い期間花を楽しむことができます。花後そのままにしておくとやがて黒い殻に覆われた実を付けます。
サルスベリは葉の艶がよく、枝ぶりのよいものを選びましょう。水切れしている苗だと枝の先端が枯れています。ほかにもうどん粉病にかかっていると、葉に白い粉がかかったようになっているものもあります。健康な苗を選びましょう。
サルスベリを移植したり鉢植えの鉢を大きいものに植え替えたりするようなときは3~4月頃に行います。植え替えの際、土に緩効性肥料を混ぜ込んでおくとよいでしょう。
サルスベリの枝や葉がこみいって風通しが悪くなると病害虫発生のリスクが上がるので、枯れている枝と一緒に適宜剪定します。落葉期は、春から伸びてきた枝を大きく切り戻し、樹形をコンパクトに整えましょう。強く切り戻すと大きな花を咲かせる傾向にあり、先端をわずかに切る弱い剪定では翌年の花は小さくたくさん咲く傾向にあります。
サルスベリは耐暑性の強い樹木なので、夏越しの対策は特に必要はありません。土の極端な乾燥に気を付け、水切れを起こさないように注意します。
サルスベリは耐寒性の強い樹木なので、関東以西では冬越しの対策の必要はありません。ただし、北海道など寒冷地では冬を越せない恐れがあります。こういった地域では地植えでの栽培には不向きですので、鉢植えで室内に取り込めるように管理しましょう。
サルスベリの花後、そのまま観察を続けると実を付けます。好みは熟すると割れて中から種が収穫できます。この種を水はけのよい土に植え、うっすらと上から土をかぶせて水切れしないように管理しましょう。うまくいけば1か月ほどすると発芽します。
サルスベリの挿し木の方法は通常の植物と同様です。6~8月に出てきた若い元気な枝を選び、20cmほどの長さにカットします。カットした枝を水あげし、挿し木用の土に枝を挿したあと根が出るまで水やりを続けましょう。
「根伏せ」は根から新しい株を増やす方法です。4~8月頃にサルスベリの根の付近を掘り、15cm程度にカットした根を収穫します。この根を新しい土に植え、水やりをしながら新しい芽が出てくるのを待ちましょう。