百日紅とは?
百日紅は、中国が原産の落葉樹です。寒さにも強いので育てやすく、白やピンクなどの花が美しいため、公園や街路樹、庭木としてよく使用されます。百日紅の漢字は、開花時期の長さが由来となった中国名で、読み方は和名の「サルスベリ」が当てられました。また、剪定や育て方で花房の大きさや枝ぶりが変わることも百日紅の魅力です。耐寒性があり、育て方も難しくないので、初心者におすすめの樹木ですよ。
百日紅の基本情報
学名 | Lagerstroemia indica |
科名 | ミソハギ科 |
属名 | サルスベリ属 |
草丈・樹高 | 3~10m |
原産国 | 中国 |
開花時期 | 7~10月 |
花色 | 赤、白、ピンク、紫 |
百日紅の歴史
原産地の中国では、唐時代、長安の宮殿に百日紅の木が植えられていたという伝説が残っています。そのため、百日紅のことを宮殿の名前にちなんで「紫微(しび)」と呼んでいます。日本にサルスベリが渡来した時代はよくわかっていません。しかし、江戸時代中期に貝原益軒(かいばらえきけん)という儒学者が書いた「花譜(かふ)」という本に名前が登場していることから、この頃にはすでに伝来していたと考えられます。
百日紅の由来
百日紅は開花時期が7~10月の間と長く楽しめます。100日間咲き続ける花という意味をこめて、「百日紅」という漢字が使われるようになりました。和名の読み方である「サルスベリ」の由来は、木肌がなめらかでつるつるしていることから、猿がすべって登れないほどだという意味で名づけられました。木肌の特徴をよくあらわした読み方ですね。
英語でCrape myrtleと呼ばれている理由
百日紅の英語名、「Crape myrtle(クレープミルトル)」の「Crape」 は縮れたガーゼ状の布地のことを指します。百日紅の花びらが、ちりめんのように縮れていることが由来となってこのように名づけられました。
百日紅の花言葉
百日紅の花言葉は、「愛嬌」「雄弁」「不用意」「あなたを信じる」です。百日紅の花びらが群がって咲き、風にゆれているようすが、まるでおしゃべりをしているようであることから、このような言葉が生まれたといわれています。
百日紅の特徴
特徴①花が美しい
百日紅は花がとても美しいことが特徴のひとつです。7~10月に枝の先に円錐状の花序をつけ、いっせいに咲き誇るようすは圧巻です。花びらは円形ですが、不規則に縮れているため、まるでレースのような華やかさがあります。また、百日紅の花には種類によって、赤やピンク、白や紫など、さまざまな色があるので、お好みの花の色を楽しめます。
特徴②開花期が長い
百日紅は開花時期が7~10月と長いです。庭木にひとつあると、夏~秋まで楽しめるので、庭が華やかな印象になりますよ。また、7月上旬に咲く品種を選べば、花の咲き終わりに1度枝を切ることによって再度花を楽しめます。
特徴③どんな庭にもあう
百日紅の木は独特なエキゾチックな姿をしているので、和風、洋風、中華風のどの庭にもあいます。手入れの手間があまりかからないため、庭木にはぴったりの植物です。
特徴④なめらかな幹
猿が滑るほど滑らかなことが「サルスベリ」という名前の由来なもあり、百日紅の幹はとてもなめらかです。つやつやとした幹は光沢があり、皮がはげたところは白く斑のもようになるので、落葉したあとも印象的で華やかです。
特徴⑤紅葉が楽しめる
百日紅の葉は、秋になると赤く色づくため、花が落ちた後は紅葉を楽しめます。開花時期が長く、そのあとは紅葉も見ることができ、落葉した後は幹の美しさも楽しめます。まさに四季を通して目を楽しませてくれる樹木ですね。
百日紅の種類
昔ながらの百日紅のほとんどが、インディカ種と呼ばれる樹木でした。しかし、この種類はうどんこ病という病気にかかりやすいため、育て方によっては花がうまくつかなかったり、枯れてしまったりするトラブルがありました。そのため、現在では日本や海外で品種改良が進み、病気に強い新しい種類の百日紅が誕生しています。
種類①インフィニティマゼンダ
インフィニティマゼンタは、名前の通りマゼンタ色(濃いピンク)の花が特徴の百日紅です。樹高が低く、成長しても60~120cmほどの高さしかありません。そのため、庭木として使用するときもほかの植物を圧迫しないので、取り入れやすい種類です。また、鉢植えにも向いているので、手軽に育てられます。
種類②ブラックパールホワイト
ブラックパールホワイトは、黒い葉、白い花を持つ、モダンでシックな百日紅です。つぼみは丸く赤いので、まるで実がなっているように見えることも特徴です。アメリカ産の品種なので、洋風ガーデンの庭木にもぴったりとあいます。樹高は3mほどとあまり大きくなりすぎないため、スペースを圧迫しないことも魅力です。
種類③ブラックパールレッド
ブラックパールレッドは、黒い葉と深紅の花を持つ百日紅です。樹高は3mほどとそこまで高くないため、庭のスペースを圧迫せずに育てられます。また、耐寒性があるため、関東以北の庭木としてもおすすめです。真っ赤な花が燃えるように咲くようすは圧巻ですよ。
種類④舞姿
舞姿は、珍しい枝垂れたタイプの百日紅です。支柱を挿し、高く育てると、枝がしなってきれいに枝垂れるため、今までにない百日紅の楽しみ方ができます。花色は濃いピンクです。鉢植えでも育てられるため、ベランダやテラスなどに置き、枝垂れた枝を楽しめますよ。
種類⑤ディアパープル
ディアパープルは、ピンク~紫に近い色の花が咲く、品のよさを感じられる百日紅です。日陰でも育てやすい種類なので、日当たりがあまりよくない庭でも問題なく育ちます。淡いピンク色で、華やかな種類が多い百日紅の中では控えめな花のため、濃いピンクが苦手な方におすすめですよ。