サルスベリは剪定が大切!
サルスベリ(百日紅)は夏を代表する花の1つといわれ、フリルのような優しい花をたくさん咲かせます。しかしサルスベリを毎年きれいに咲かせるには、剪定などの手入れが大切です。また、成長が早いサルスベリは手入れを怠ると樹形が乱れたり、大きくなり過ぎて強風で倒れたりします。風通しや日当たりも悪くなって病害虫が発生しやすくなるので、剪定は欠かせないお手入れです。
時期で異なる!サルスベリの剪定方法
春から初夏は剪定しない
サルスベリの剪定は夏と冬に「2度切り」するのが基本になります。春から初夏は剪定してはいけない時期です。サルスベリは春から初夏に1m近くも枝を伸ばし、この新しい枝先に花房をつけます。ですからこの時期に剪定をすると花芽がつかず、開花しません。サルスベリの剪定の仕方について、夏と冬の時期に分けて図解しながら説明します。
ひこばえは見つけたらすぐ切る
なお、サルスベリはひこばえ(根元から生える枝)が出やすい樹木です。まだ若い木で、あまり大きくしたくないときには、ひこばえを生かして株立ちにすることもあります。しかし一般的にはひこばえは主幹の栄養を奪うので、季節や樹形に関わらず見つけ次第剪定するのが基本です。
開花後の夏剪定
夏剪定で二度咲きを楽しむ
サルスベリは枝の生育速度によって開花時期がずれるため、7~9月に次々と花が咲く樹木です。そこで暖地では、早い時期に開花した枝を早めに切り戻すことによって再萌芽を促し、2度咲きを楽しめます。夏剪定に適した時期は7月下旬~8月中旬です。まだ花が残っていてもったいない気がするかもしれませんが、終わりかけた花房の下2~3節ほど(画像に図解した程度の位置)まで枝を切り戻します。
夏剪定は病害虫予防にも効果
すると脇芽が出て、剪定後1か月~40日程度で新しい枝先にもう一度開花するのです。切り戻しによって枝数が増えるので花も増えます。夏剪定の際に、混み合った枝を間引いて風通しや日当たりをよくすると、病害虫の予防にも効果的です。
落葉期の冬剪定
冬剪定には厳寒期を避けた12~3月が適しています。この時期はサルスベリは休眠期に入っており、太い枝を切っても大きなダメージがありません。サルスベリは条件がよければ紅葉も楽しめるため、葉が落ちてから剪定を行うのもおすすめです。サルスベリは落葉樹としては芽吹きが遅い(4~5月)樹木としても知られており、新芽が出始める前(3月)には冬剪定を終わらせます。
サルスベリの花がらを放置すると、種子の入った1~1.5cmの実がなります。熟して割れると花のように見えてかわいらしいです。しかし木の養分を奪われるため、来年の花のためには、花がらを早めに切り落とす方がよいでしょう。
冬剪定で夏の開花を促す
新梢に開花するサルスベリにとって、冬剪定は重要です。春に伸びて開花した枝を、根元を約2~20cm残して切るのがサルスベリの冬剪定の基本になります。枝の残し具合で木の大きさや花房の具合を調整することが可能です。強く切り戻すと、翌春に強い枝が出て大きな房で開花します。弱く切り戻すと、細かい枝を数多く出して小さい花房をたくさんつけるのです。
冬剪定で樹形を整える
休眠期の剪定は樹形を整えるためにも重要です。剪定の仕方は、まず図解したような不要枝を切っていきます。不要枝の主なものは下記の通りです。不要枝は樹形を乱す要因となる枝ですので、付け根から切り落とします。不要枝と判断してよいか迷う場合は、翌年まで待って判断するのもおすすめです。不要枝を処理したら、枝が過密になっている部分を間引き剪定します。
剪定の基本:不要枝の種類
- ひこばえ:ヤゴともいう。根元から生える枝。
- 胴吹き枝:幹の途中から飛び出すように生えている枝
- 並行枝:主枝と並行して、後から伸びてきた枝
- 逆さ枝:下方向や幹の方に向かって伸びている枝。
- 立ち枝:立つように真上に伸びている枝。
- からみ枝:交差枝ともいう。他の枝と交わったり接したりしている枝。
- 徒長枝:他の枝より勢いがよく、飛びぬけて伸びている枝。
- 枯れ枝:枯れている枝。
最後に樹木全体のバランスをみて、図解のように自分の望む樹形を思い描きます。その形からはみ出す枝を切って樹形を整えましょう。新芽が出る前に冬剪定を済ませ、樹木全体に日光が当たるように手入れすれば、春に元気な枝が伸びて、梢の先にたくさんの花が咲きます。
ボタ爺
サルスベリは夏と冬に2度切りをし、時期によって手入れの仕方も異なるのじゃな。さらに樹形によっても剪定の仕方が違うのじゃぞ。
出典:筆者撮影