エリカは次々に枝をだし、そこへ小さく可憐な花をたくさん咲かせます。小さな花でもまとまって咲くので遠くからでも目を引き、庭植えや寄せ植えでも人気があります。樹高は多くの品種が1m以内の低木ですが、中には数mになるものもあり、見ごたえがあります。
園芸部類 | 庭木・花木 |
形態 | 常緑 |
樹高・草丈 | 低木 |
花の色 | ピンク、白、オレンジ、黄色など |
耐寒性 | やや強い(ヨーロッパ原産) |
耐暑性 | やや強い(アフリカ原産) |
特性・用途 | 寄せ植えなど |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
エリカは世界で740種もあり、その開花期も種によってさまざまです。耐寒性もある程度高い品種もあるため、開花期をうまく組みあわせれば通年で庭で花が楽しめるでしょう。
エリカは常緑植物です。冬であっても、耐寒温度さえクリアすれば、グランドカバーとしても活躍してくれる頼もしい低木です。目的と栽培環境にあった品種を選ぶとよいでしょう。
数多く存在するエリカの品種ごとの特徴を把握するのにポイントとなるのが原産地です。南アフリカ原産のもの、ヨーロッパ原産のものの特徴をおさえておきましょう。特に南アフリカ原産のものはジャノメエリカなど、日本に根付いているものが多いです。
耐暑性 | 耐寒性 | 主な品種 | |
南アフリカ原産 | 〇 | △ | ジャノメエリカ/スズランエリカ/カナリーヒースなど |
ヨーロッパ原産 | × | 〇 | エリゲナ/アルボレア/スチュアーティーなど |
ジャノメエリカ(Erica canaliculata)は、アフリカ原産の品種です。日本においてポピュラーな品種です。南アフリカ原産のため、高い耐暑性がありますが、それに加えて耐寒性も高く、-5℃まで耐えるため日本の栽培環境に適した品種といえます。開花期は冬から春にかけてで、寂しい春先の庭を鮮やかに彩るでしょう。
ボタニ子
イギリスやヨーロッパではエリカといえばこの「ヒース」を指します。カナリーヒース(Erica blandfordia)は南アフリカ原産の冬咲き品種です。黄色くスズランのような形をした花をいくつもつけます。直立性なので樹形もすっきりとまとまります。
アケボノエリカ(Erica ventricosa)は春から夏に花を咲かせる南アフリカ原産の品種です。ぷっくりとした徳利型の花を枝状に咲かせます。
植え付け時期 | 3~4月、9~10月 (ただし蕾や花がついている時期は避ける) |
植え替えの時期 | 3~4月、9~10月 (ただし蕾や花がついている時期は避ける) |
肥料の時期 | 4~5月 (開花時期、夏は避ける) |
剪定の時期 | 開花後 |
花が咲く時期/開花時期 | 品種によってさまざま |
エリカは品種によって開花期が異なります。いずれの品種にもいえる栽培適期のポイントは、「満開に花を咲かせているときや、つぎつぎに蕾をつけている時期はなるべく植え付けや植え替えを避ける」です。またエリカの根は細く、土に根付くまでは特に乾燥に弱いので、真夏の植え付けも避けるのがよいでしょう。
ジャノメエリカは日本の高温多湿な環境でも育ちやすいので、地植えも可能です。ほかの品種は耐寒性や耐暑性のバランスを考えると鉢植えがおすすめです。苗の説明書きを確認しましょう。
エリカは気温が高く蒸れるような場所が苦手です。鉢植えであれば日当たりと風通しがよい場所を選んでおきましょう。地植えの場合は、日当たりと風通しのほかに、水はけのよい場所を選びます。
エリカに適した用土は「弱酸性であること」「水はけがよいこと」が必要です。ピートモスを使用すれば土壌を酸性に調整できますが、水持ちがよいため入れすぎると水はけを悪くする可能性があります。全体の土に対してピートモスは用土全体の1~2割程度に抑えるのがよいでしょう。鹿沼土も酸性の用土を作りますので、赤玉土:鹿沼土:ピートモスが4~5:4:2で調整します。
エリカを地植えした場合は、根がしっかりつけば、土の表面が乾いたときにたっぷりやる程度で十分です。根が細いので、一度水切れを起こすと枯れやすくなります。鉢植えの場合は水切れを起こさないように、土が乾燥したらたっぷりと鉢底から水がでるまでやりましょう。
エリカに肥料をやる時期は春と秋の2回です。緩効性肥料を置き肥するか、液体肥料を月に2回ほど与えます。成長が落ちる夏の高温期には、肥料は与えません。
エリカにはほとんど害虫もつきませんが、風通しが悪い時にはアブラムシやカイガラムシが付くことがあります。花が終わった後は適宜剪定を行い、風通しがよいように管理するのが対策です。
エリカには目立つ病気はありません。対策は必要ないでしょう。
エリカは開花期には次から次へと小さな花を咲かせます。枯れた花をいつまでもつけていると風通しを悪くするので剪定は大切です。
エリカの苗は、葉の緑が色あせておらず元気なものを選びます。水切れしている苗はそのまま枯れやすいです。しおれている茎や葉が下に垂れてしまっているようなものは避けましょう。
エリカの植え替え適期は春と秋です。花後の剪定作業のタイミングで一緒に行うとよいでしょう。一回りほど大きな鉢へ植え替えます。根づまりしている場合は、根をほぐし、余分な部分はハサミでカットします。
エリカの剪定は先蒸れを防ぎ、害虫や枯れを予防するために大切です。ジャノメエリカのように茂って株全体に花を咲かせるものは、1本1本剪定せず、全体の半分ほどの長さで刈り込みましょう。一方、カナリーヒースのように枝先に花をつけ、枝を伸ばしながらはなを咲かせるものは枝ごとに半分ほどの高さまで切り詰めます。
ヨーロッパ原産のエリカは夏の高温多湿が苦手です。花が終わった品種であれば剪定を行い、風通しをよくします。水やりの回数も減らし、乾燥気味に管理します。鉢を風通しがよく涼しい場所に移動させましょう。
ジャノメエリカやスズランエリカなど耐寒性が強い特別な品種を除き、アフリカ原産のエリカは低温が苦手です。鉢植えで管理し5℃を下回る場合は室内に取り込みましょう。一方、ヨーロッパ原産のエリカは耐寒性が高い傾向があります。
エリカの増やし方は挿し木がポピュラーな方法です。適期は春と秋で、剪定ででた不要な枝を使うとよいでしょう。
ジャノメエリカの特徴について詳しくご紹介した記事はこちらから。