カンパニュラは、キキョウ科カンパニュラ属の植物の総称で、野生種の多くはヨーロッパの南部や東部に分布しています。ポピュラーなのは、細長い釣鐘型のカンパニュラ・メディウムで、単に「カンパニュラ」または「フウリンソウ」と呼ばれて親しまれています。カンパニュラ属のほとんどは多年草ですが、カンパニュラ・メディウムは二年草です。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 2年草、多年草 |
樹高・草丈 | 20cm~120cm |
花の色 | 白、青、ピンク、紫など |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通~やや弱い |
特性・用途 | 庭植え、鉢植え、切り花 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
カンパニュラの特徴は、鐘のような花の形です。カンパニュラはラテン語で鐘を意味し、和名(風鈴草、釣鐘草)や英語名(ベルフラワー、カンタベリーベル)も、鐘にちなんでいます。葉はタンポポのようなロゼット状で秋冬を過ごし、春の成長期に入ると茎をぐんと長く伸ばしてたくさんの花芽を付けます。
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カンパニュラ・メディウムは、キュートな鐘形の花が横向きまたは上向きに咲きます。「カンパニュラ」で流通している人気の種類です。短い花柄の付いた花が総状に付き、満開時の株は細長い円錐形になります。花色は白、ピンク、青系で淡い色も濃い色もあり、花色ミックスの種がよく売られています。
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カップアンドソーサーは、カンパニュラ・メディウムの変種で、花弁化した萼片が、花びらを包み込む二重咲きのような形です。寒さに強く、育てやすい大輪種です。花色は白、ピンク、紫色などがあります。
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カンパニュラ・アルペンブルーは、星形の紫色の花がかわいらしい種類です。茎を長く垂らして次々に花を咲かせるため、フラワースタンドや高さのある鉢で育てると見映えがします。病気に強く、育てやすいです。
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カンパニュラ・ベルフラワーは、キキョウのような星形の小さな花が鈴なりに咲く種類です。草丈は20cm程度の小型ですが、分枝しやすくふんわり広がります。乙女桔梗とも呼ばれます。
種まき時期 | 5月頃 |
植え付け時期 | 9月~10月 |
追肥の時期 | 翌年3月 |
開花時期 | 翌年4月~6月 |
秋に苗を植え付けると、開花時期は翌春~初夏です。種まきから育て始める場合は、初夏までに種まきすると翌年に花が咲きます。秋まきでは翌年の開花に間に合わず、翌々年咲きになることがあります。
秋まきで翌春咲く改良品種の一年草もあります。
カンパニュラは庭植え・鉢植えどちらでも育てられます。カンパニュラ・メディウムは花壇の中心や後方、ボーダーガーデンに適しています。鉢植えには、大きな鉢を準備してください。カンパニュラ・アルペンブルーは、ハンギング鉢などで垂らすこともできます。
風通しと日当たりのよい場所に植えてください。日陰では生育が悪くなります。鉢植えも、日の当たる場所に置きましょう。
カンパニュラは水はけがよく、中性から弱アルカリ性の土壌を好みます。庭植えは、苦土石灰をまいてよく耕し腐葉土を混ぜておきましょう。鉢植えには、酸度調整済みの草花用培養土か、赤玉土と腐葉土を6:4の割合で混ぜた用土を使ってください。
鉢植えは、土の表面が乾いたら水やりします。庭植えは降雨のみで育ちますが、乾燥が続いたときは水やりしてください。
秋の植え付け時に緩効性肥料を元肥として与えます。茎が伸び始める3月頃に追肥してください。鉢植えには、5月頃にもう1回追肥します。
気を付けたい害虫はヨトウムシやナメクジです。どちらも葉を食害します。また、多年草のカンパニュラは夏にハダニがわくことがあるので、葉裏などをこまめにチェックしてください。
カンパニュラがかかる病気の多くは、地表近くから発症します。下葉から黄色くなってやがて株が枯れる白絹病や、地表に近い葉に白いカビが発生する菌核病などです。早めに見つけて摘み取るなど対処してください。風通しと水はけをよくして予防しましょう。
花後は、短い花柄(かへい)のところで花がらを摘み取ると、つぎつぎに新しい花を咲かせます。種を採取したいときは、枯れたままにしておきましょう。
育苗箱か、セルトレーに種まき用土かバーミキュライトを入れてタネをばらまきます。土はかぶせず、霧吹きなどで水やりして管理してください。本葉が出た頃に、育苗ポットに1株ずつ鉢上げします。
それほど多くの苗を育てない場合は、最初から育苗ポットに種をばらまき、間引いて1ポットに1株にする方法でもOKです。
苗から育てるときは、病気や枯れた葉がなく、葉が多くて色の濃い苗を選んでください。植え付け時の秋頃は、まだ茎が伸びすぎていない苗のほうがその後の生育がよいです。
株間を40cmほどあけ、根を傷つけないようにして植えてください。二年草のカンパニュラ・メディウムは、一度植え付けたら植え替えの必要はありません。そのほかの多年草のカンパニュラは、鉢植えは2~3年に1回、株分けを兼ねて植え替えてください。庭植えは、混みあってきたら株分けして植え替えましょう。
高性のカンパニュラ・メディウムは自立しますが、強風で倒れることがあります。草丈が伸びる頃に支柱を立てておくと安心ですね。
カンパニュラ・メディウムは、花が咲き終わったら花がらを摘み取ります。そのときに近くの芽を摘み取らないように気を付けましょう。次々に花芽が付きます。カンパニュラ・アルペンブルーは繁り過ぎたときに、軽く剪定してください。下の奥のほうの枯れた葉なども摘み取って風通しをよくしましょう。
カンパニュラ・メディウムは、花が終わると種を残して枯れる二年草です。種から育てる場合、発芽直後の最初の夏は、涼しい場所に置いてください。そのほかの多年草のカンパニュラは、株が蒸れないように1/2くらいに切り戻しましょう。
カンパニュラはどの種類も耐寒性があり、暖地や中間地ではそのまま冬越しできます。冬の寒さを経験したほうが、花芽が付きやすい傾向があります。ただし、寒冷地では土を凍結させないように腐葉土などでおおい、鉢植えは軒下などに取り込みましょう。
カンパニュラは種を採取して増やせます。カンパニュラ・メディウムは、6月下旬頃までに採りまきすれば、翌年も咲かせられます。カンパニュラ・アルペンブルーは、こぼれ種でも増やすことが可能です。
カンパニュラ・アルペンブルーやカンパニュラ・ベルフラワーなど多年草の種類は、株分けでも増やせます。大きく育ったら秋の植え替え時に、それぞれに芽がついていることを確認して、分けやすい箇所で切り分けましょう。
カンパニュラは種や株分けで増やすのが一般的なので、挿し木はあまりおこなわれません。
出典:写真AC