すだちは日本の徳島県原産の柑橘類で、ユズやカボスの仲間です。酸味が強く香りの高い果汁をもち、焼き魚などの料理に果汁をかける際によく添えられます。
園芸部類 | 果樹 |
形態 | 中高木 |
樹高 | 1.5~2m |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | ふつう |
耐陰性 | ふつう |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
すだちは元々食酢として使われており、同じ柑橘類である橘に似ていたことから「酢の橘」と呼ばれていました。この「酢の橘」が転じて「すだち」と呼ばれるようになったといわれています。
すだちはよくカボスと間違えられますが、すだちの実が30~40gなのに対し、カボスは100~150gと、大きさが全く違います。また、すだち栽培はおいしい実が採れるまで2~4年ほどかかります。そのため苗木はあらかじめ2~3年育てたものが販売されています。
すだちは種を撒いてから木が育ち実が収穫できるまで2~4年かかるため、苗木はある程度育ったものが販売されています。よく販売されているのが「2年生」と「3年生」です。それぞれ、接木をしてから2年、3年経った苗木という意味です。すだちを栽培するときは、基本的に2年生、または3年生の苗木を購入して育てましょう。
植え付け時期 | 2月末~4月上旬 |
花が咲く時期 | 5月 |
実がなる時期 | 9~12月 |
収穫時期 | 9~12月 |
すだちの栽培適期は暖かくなってからです。地温が10℃を超えるようになると少しずつ根から養分を吸収し始めて、新梢の成長が始まります。
すだちはプランターでも露地栽培でも育てられます。プランターで栽培する場合は、プランターの中で根が詰まってしまうのを防ぎ、通気性をよくするために、2年に1回程度は植え替えるようにしましょう。また、プランター栽培では水や肥料の管理も入念に行う必要があります。
すだちは基本的に屋外で育てます。耐寒性も強いため冬場でも屋外で問題はありませんが、まだ成長しきっていない幼木は寒さに弱いので、冬場は室内に避難させるほうが安心です。
すだちの置き場所は日当たりや水はけ、風通しがよく冬に寒風が当たらない場所が適しています。
すだちの用土には果樹用の培養土に緩効性の固形肥料を混ぜます。プランターで栽培する場合は底石を入れ、その上から培養土をかけます。露地栽培の場合は、腐葉土などを使って水はけをよくすることが大切です。
すだちは暖かくなる2月下旬~4月上旬にかけて、寒風の当たらない日当たりのいい場所に定植します。日当たりがよいと、おいしい果実ができやすいです。
プランターですだちを定植するとき、苗は50cm間隔で植えます。苗を植えたら、苗を支柱で固定しましょう。
すだちは成長に多くの肥料を必要とするので、肥料を切らさないように注意が必要です。元肥には緩効性の固形肥料か、油粕、牛糞、鶏糞などの有機肥料を使います。苗を植え付ける場所に肥料を入れて、その上から腐葉土と培養土をかぶせて用土を作ります。
定植直後や乾燥する時期はたっぷりと水をやります。特に夏場は土が乾燥しないように注意が必要です。プランターの場合は特に乾燥しやすいので、土の表面が乾いたら水やりしましょう。
苗木の定植直後には風で苗木が倒れないように支柱が必要です。このとき、地上部を40~50cmで切り戻しておきます。
すだちを栽培するうえで、剪定は重要な管理のひとつです。剪定の適期は3月で、混みあった枝を間引くことで木の内側まで日光が当たるようにします。また、風通しをよくして木の生育を助けます。
追肥のタイミングは花が咲いた後と収穫後です。また、必要であれば果実の成長期にも行います。
すだちをはじめとする柑橘類の実がならない原因には、樹勢の強さがあります。樹勢とは、樹木の成長する勢いのことです。樹勢が強いと枝ばかり伸びて実を成長させる方に養分を使いません。対策としては、窒素肥料を控えたり上方向に伸びる枝を水平方向に誘引したりして、樹勢を弱めることが必要です。
すだちの実が勝手に落ちるのは、植物本来の性質によって自然に果実が落下するのが原因であるため、特に問題はありません。どうしても気になる場合は、摘果するなどしてあらかじめ実を落としておきましょう。
かいよう病は梅雨に発生しやすい細菌性の病気です。傷口から細菌が侵入して黄色い斑点ができ、感染した部分が固くなります。対策としては、傷の原因となるとげを取り除くことが有効です。もしかいよう病にかかってしまったら、感染した部分を取り除いて焼却処分しましょう。
5~9月頃に葉、枝、果実に小さい黒い斑点が出現します。枯れ枝で越冬した病原菌が原因であるため、枯れ枝を取り除いて焼却処分するのが有効的な対策です。
新芽が伸び始める頃に現れます。葉の裏に群生しているので、時々葉の裏を確認して、発見したら水で吹き飛ばすか捕殺しましょう。
カイガラムシは枝葉に集団寄生する害虫です。樹液を吸って枝を枯れさせるので、ブラシなどでこすり落とします。
すだちの木が幼いときに発生しやすく、葉を食害します。対策としては見つけ次第捕殺することと、葉の裏を見て卵があれば取り除くことです。
すだちは種からでも育てられますが、実を収穫できるまで4~6年もかかります。そのため、すだちを栽培する際は苗木を購入するのが一般的です。通常すだちなどの柑橘類は種まきをするのではなく、接木で栽培します。接木栽培はある程度育った台木に作物の穂木を固定するため、種から育てる場合に比べ成長が早くなります。種からじっくり育てたい場合を除き、すだちは苗木を購入して育てるのがいいでしょう。