園芸部類 | 果樹 |
形態 | 落葉樹 |
樹高 | 3m~5m |
花の色 | ピンク |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 実がなりにくい |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
カリンは中国原産の高木で、4月頃に愛らしいピンク色の5弁の花が咲き、花後に香りのよい実を結びます。葉は、縁に細かなギザギザが入る楕円形で、秋には色づいて枯れます。幹は紫色がかった灰緑色で、成長すると樹皮の一部が剥がれてさるすべりのような滑らかな木肌を見せ、独特のまだら模様になるのも魅力の一つです。
カリンの実は握りこぶしよりも大きく、やや無骨ながら趣のある黄色い楕円形です。果肉は生食には適さないため、はちみつ漬けや砂糖漬け、カリン酒などに加工して味わいます。
植え付け適期 | 12月~3月 |
開花時期 | 4月頃 |
収穫時期 | 10月頃 |
カリンは、庭植え・鉢植えどちらも可能です。花木として植栽することも、実もの盆栽にもできます。たくさんの収穫を望むなら、庭植えにするのがよいでしょう。
カリン栽培には風通しと日当たりのいい所が適しています。やや冷涼な環境を好むので、庭植えでも問題なく冬越しできます。日陰でも育ちますが、花芽がつきにくくなるため、収穫量が減ります。
カリンには水はけと水持ちのバランスのよい土が適していて、やや湿り気のある土壌を好みます。庭植えは、植え穴を掘り出した土に腐葉土を混ぜてください。鉢植えには、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で配合した用土か、市販の培養土を使いましょう。
鉢植えには、土の表面が乾いたらたっぷり水やりします。庭植えは、降雨のみで育ちますが、植え付けて1~2年目の株には、晴天が長く続いたら水やりしてください。
植え付け時に、元肥として堆肥または骨粉入り油粕などを施します。追肥は、2月と10月頃に(鉢植えには5月頃にも)、有機肥料か化成肥料を与えましょう。
カリンは丈夫な植物ですが、環境によってはバラ科の植物によく見られる赤星病や黒星病を発症することがあります。早めに見つけ、薬剤などで対処しましょう。
病気 | 症状 |
赤星病 | 菌が付着した葉に赤い病斑があらわれ、葉が枯れる |
黒星病 | 葉に黒いシミのような斑点が広がり、葉が落ちる |
気をつけたい害虫はテッポウムシです。カミキリムシの幼虫で、幹に穴をあけ中に住み着いて内部を侵食し、オガクズのようなものを出します。針金で穴を突くか、薬剤で対処してください。
アブラムシは新芽に群生します。長い枝が密集していると集まりやすいので、風通しをよくし、早めに見つけて駆除しましょう。
シンクイムシは、実の中に入って食害します。袋がけをしましょう。
カリンは苗から育てるのが一般的で、ポット苗と根巻きの大苗が流通しています。ポット苗は、1~2年生の接ぎ木苗であれば、植え付け後3~5年程度で初収穫できるでしょう。一方、大苗は販売価格が高くなりますが、ポット苗より早く収穫が望めます。
カリンは種から育てられますか?
カリンの種は流通していませんが、収穫した果実から、採りまきできます(10月~11月頃)。発芽率は高いものの、実がなるまでに7~8年ほどかかるため、盆栽にして生育過程を楽しむか、接ぎ木の台木用に育てるのがおすすめです。果実から取り出した種はよく洗い、一晩水に浸してから種まき用土にまきましょう。
庭植えは、植え穴に腐葉土と堆肥(または有機肥料)を加えて植え付けます。鉢植えは、鉢底石を敷いてから元肥を混ぜて植え付けてください。鉢植えは、根詰まりを防ぐために2~3年に1回植え替えましょう。植え替えの適期は、葉が枯れた後の12月~3月頃です。庭植えは、植え替える必要はありません。
カリンの自然樹形は、逆さに立てた箒(ほうき)状です。直立性で縦に長く伸び、横にはあまり広がりません。横に広く育てたい場合は、若木のうちに支柱を立て、脇枝が横に広がるように誘引するといいでしょう。
カリンは、幹の近くのしっかりした短い枝に花芽をつけ、長く上に伸びる枝には花芽をつけません。上に長く伸びた枝は、1/3程度の長さに剪定して、短い枝をたくさん出させると花つきがよくなります。また、高木になると管理しづらくなるため、適度な樹高で芯止め(主幹の先端を剪定)しましょう。
剪定の時期はいつ頃ですか?
剪定の適期は、葉が枯れ落ちた12月~2月上旬です。夏頃から次の花芽の準備が始まっているので、短い枝は切り過ぎないようにします。梅雨頃に長く伸びた枝は、6月下旬~7月上旬に短く切りつめてもかまいません。
花後1カ月ほどで細長い梅のような小さな実がなり始め、4~5ケ月かけて黄色い実に成熟します。黄色がやや濃くなり、近づくとほのかによい香りがするようになったら収穫です。早めに採って追熟させると傷がつかずきれいです。高い位置にある実は、家庭ですぐに利用するのなら、熟して落ちるのを待っても問題ありません。
カリンは接ぎ木で増やします。種まきや挿し木でも増やせますが、実がなるまでに長い年月がかかるため、種まきで育てて2~3年経った株を台木にして、接ぎ木する増やし方が一般的です。
花梨(カリン)苗木 かりん
参考価格: 1,830円
1年生の接ぎ木苗で、苗のサイズは高さ約70~90cmですが、購入する季節によって大きさが若干変わることがあります。収穫は3~5年後です。
苗木の大きさ | 約70~90cm |
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種類 | 1年生の接ぎ木ポット苗 |
初収穫の時期 | 3~5年後 |
花が咲かない原因として考えられるのは、「日照不足」「花芽を剪定した」「花芽のつく枝が少ない」などです。日当たりが悪いと花芽が育ちにくく、花芽のつく短い枝が少なかったり切ってしまったりすると花は多く咲きません。日当たりをよくし、剪定を適切に行いましょう。
たくさん花が咲いても、カリンは弱い枝に咲いた花は結実しにくい傾向があります。実がならない原因としてもうひとつ考えられるのは、受粉できていないケースです。開花時期に雨が多いと、蝶や蜂による交配の機会が減ります。花びらの下の子房のより大きい花を選び、綿棒や筆でしべの部分を撫でて、人工受粉しましょう。
カリンは雄花と雌花がありますか?
カリンの花は両性花ですが、まれに雄花が混在することがあります。子房のついた両性花に受粉してください。子房の大きいほうが実つきがいいです。
受粉樹が別に必要ですか?
カリンは一株だけで結実するので、受粉樹は必要ありません。ただし、複数株あったほうが実つきはよくなります。
カリンに含まれる成分は咳を和らげる効果があり、のど飴などにも配合されています。