かりんとは
肌寒さを感じる季節になると黄色く色づくかりんの果実、よくのど飴の材料として使われているのはご存じの通りですが、かりんとはどんな果物なのか知らないという方も多いのではないでしょうか。そんなかりんの美味しい食べ方を詳しく見ていきましょう。
基本情報
科 | バラ科 Rosaceae |
属 | カリン属 Pseudocydonia |
学名 | Pseudocydonia sinensis |
英名 | Chinese quince |
和名 | カリン(榠樝、花梨) |
生薬名 | ワモッカ(和木瓜) |
分類 | 落葉高木 |
原産 | 中国東部 |
植物としての特徴
長さ3~8cmの楕円状の卵型の葉には鋸歯があり先端が尖っています。かりんの花期は3~5月ごろピンクの花が咲きます。暑さには弱いのですが、寒さには強いのが特徴で、庭木としても人気があり実が成っても使いみちに困るというケースもあります。
かりんの果物としての特徴
栄養と効能
食物繊維、ビタミンC、タンニン、アミグダリンなどの栄養を含み、不溶性の食物繊維も豊富なので便秘予防や有害物質の排出に役立つ効能があるといわれます。のどの痛みや咳によいとされる効能の他、寒い季節にはうれしい栄養と薬効をもつ果物です。アミグダリンは生食して大量に体内にはいると毒性の物質に変化するので注意が必要です。
生では食べることのない果実
かりんの黄色い果実はワックスを塗ったようにベタベタしています。そして完熟した実を部屋に置くだけで芳香剤として使えるほどの甘く強い香りを楽しめます。その芳しい香りからジューシーで甘い果肉を想像しがちですが、残念ながらカリンの果実はとても硬く、強烈な渋みがあるのでそのままでは食べることはありません。
果実の硬さの理由
繊維質で石細胞が多く硬い上、渋みが強くとても生では食べられません。かりんの果実に含まれる石細胞が硬さの理由です。石細胞という名前からもその硬さが伝わってきますね。ちなみにナシのシャリシャリ感は石細胞によるものです。
果物の旬
かりんの果実の旬は10月初旬~12月初旬ですが、店頭に並んでいる姿を目にする機会は多くありません。手に入ればぜひ料理に挑戦してください。冷蔵庫にいれなくても新聞紙で包んでおくだけで長期間保存できます。実の中心部には無数の種があり、この種にも効能が隠れているので捨てずに料理に利用します。
果実の料理法
そのままでは食べることのないかりんも加熱すると渋みが消えてやわらかくなり、色は鮮やかなルビー色に変わります。そのためジャムやコンポート、シロップ、薬用酒などが一般的な使い道です。生のままでは心配な毒性もこの方法なら消えてしまいます。
次のページでは、かりんの美味しい食べ方をご紹介します。