ムラサキシキブは、シソ科の低木落葉樹です。秋に紫の小さな実を枝につけるところから、ムラサキシキブ(紫式部)という名前がつけられました。小さくとも存在感ある美しい実は、庭に秋の趣を添えてくれます。
園芸部類 | 庭木・低木 |
形態 | 落葉樹 |
樹高・草丈 | 2~3m |
花の色 | ピンク |
耐寒性 | 高い |
耐暑性 | 高い |
特性・用途 | 観賞用 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ムラサキシキブは、夏にピンクの小さな花を咲かせた後、紫色の実をつけます。落葉樹ですので、葉はやがて紅葉して散りますが、実は冬まで落ちません。枝がやがて枯れても実は残り、季節の移ろいとともに変わりゆく姿を長く楽しめるのも魅力です。
ムラサキシキブは、低木です。伸びた枝先は枝垂れるような樹形を作ります。枝にたわわについた和を感じさせる紫色の実と枝垂れた樹形の相性のよさは、ほかの庭木にはない魅力といえるでしょう。
日本が原産地であるムラサキシキブは、高温多湿な環境でも育てやすく、耐寒性・耐暑性も高いのが魅力です。低木ですので植える場所をさほど選びません。ガーデニング初心者にもおすすめします。
コムラサキシキブ
参考価格: 816円
コムラサキは、コムラサキシキブとも呼ばれ、ムラサキシキブの近縁種です。庭木に使われるムラサキシキブの中でとくに人気が高いです。枝が長く垂れ下がるような樹形が美しく、ムラサキシキブに比べて多くの実をつけます。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
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サイズ | 15cmポット |
シロシキブ
参考価格: 1,100円
ムラサキシキブの実が白いものをシロシキブと呼び、コムラサキの実が白いものをシロタマコシキブと呼んでいました。近年はシロシキブといえば「シロタマコシキブ」をさすことが多く、シロタマコシキブの方が実のつきもよく、観賞価値があります。育て方はムラサキシキブと変わりません。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
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サイズ | 5号苗 |
オオムラサキシキブは、名前のとおり実の一つ一つが大きく、葉もコムラサキシキブやムラサキシキブと比べて大きいのが特徴です。コムラサキシキブなどよりも、さらにはっきりした存在感が欲しいときに選ばれます。
植え付け時期 | 2~3月 |
実がつく時期 | 9~11月 |
肥料の時期 | 1~3月、6月 |
花が咲く時期/開花時期 | 6月頃 |
ムラサキシキブの植え付け時期は?
ムラサキシキブの植え付けは、根の動かない2~3月におこないます。ただし、寒冷地で霜が降りるような地域では、10~11月の秋か、4~5月の春先にずらすのが賢明です。
ムラサキシキブは、本来、雑木林などの湿度がある環境で自生していた植物です。落葉樹から落ちた自然の腐葉土に恵まれ、栄養が豊富な環境で育ってきたため、家庭で栽培する際は「水」と「養分(肥料)」に気を配ります。
ムラサキシキブは鉢植えや盆栽に仕立てて栽培可能です。ただし、乾燥を嫌い肥料切れを起こしやすいため、鉢植えの場合は水切れに注意し施肥を忘れないようにします。成長速度はあまり早くありません。2~3年に1回、一回り大きな鉢へ植え替えします。
ムラサキシキブは庭植えも可能ですが、乾燥した環境を嫌います。適切な場所選びが重要です。
ムラサキシキブは耐寒性・耐暑性と、どちらも高い植物であるため、室内でも屋外でも栽培可能です。強い西日や乾燥しやすい環境は苦手ですので、鉢植えで管理する場合は日当たりに応じて場所を変えます。
ムラサキシキブは、乾燥が苦手で水切れを起こしやすい特徴があります。しかし、その一方で日陰では花付きが悪く、秋に実がつきません。庭植えする場合は、西日が強く当たる場所は避け、日中の穏やかな日差しが降り注ぐ場所を選びます。鉢植えの場合は、日当たりに応じて鉢を移動させましょう。
ムラサキシキブの用土は、多湿性と通気性が必要です。水はけがよすぎると、水切れを起こして枯れの原因となってしまいます。黒土と腐葉土を6:4の比率でブレンドし、そこへ緩効性肥料を元肥として加えましょう。
ムラサキシキブの管理で、水やりは重要なポイントです。とくに夏場は庭植え、鉢植え問わず、水切れを起こさないように、涼しい午前中にたっぷりと水を与えましょう。水切れを起こすと、落葉期ではないにもかかわらず葉の一部が枯れたり、落ちたりします。葉の先端に変色が起こり始めると要注意で、水切れのサインです。
実をたくさんつけるムラサキシキブは、肥料切れを起こしやすい植物です。植え付けの際に、油粕や有機肥料などを元肥として土にいれます。さらに、花をつける6月に追肥し、実をつけ終わった冬に寒肥を与えましょう。鉢植えの際は、植え替え時に化成肥料を忘れないようにします。
ムラサキシキブにつきやすい害虫はほとんどありません。しかし、風通しが悪かったり、木の成育速度が落ち込んでいたりすると、まれにカイガラムシが発生します。手で取り除けるものは取り除き、数があまりに多い場合はオルトランなどの薬剤を使用するのが対策方法です。
ボタニ子
ムラサキシキブがかかりやすい病気はとくにありません。
ムラサキシキブの花後にする管理はとくにありません。この時期に剪定などをしてしまうと、秋の実がつきません。あまりに枝がしげって込み入っているようなときは花をつける前に剪定します。
ムラサキシキブは落葉樹のため、植え付け適期である冬の苗は落葉し、枝だけの姿です。枝に水がとおっていないとカサカサとしており、枯れているのがわかります。また、カイガラムシなどの害虫が枝についていないかも確認しておきましょう。
鉢植えで管理している場合は、2~3年に1度、植え替えが必要です。現状より一回り大きな鉢を用意し、新しく加える用土には化成肥料を追肥します。地植えのムラサキシキブを植え替える際も、鉢植えと同様、根の動かない2~3月が適期です。
ムラサキシキブに、定期的な剪定は不要です。ただし、ムラサキシキブは枝が伸びて枝垂れていく樹形のため、枝が伸び切ると樹形が乱れます。冬に枝先を切り詰め、樹形を整えておくのが翌年美しい株を楽しむポイントです。また、枝が込み合って風通しが悪くなると害虫発生の原因ともなるため、枝の整理は適宜おこないます。
ムラサキシキブは暑さには強いですが、乾燥には弱いため、水切れをおこさないように水やりを続けます。
ムラサキシキブに冬越しの対策はとくに必要ありません。
家に苗がなく、実だけがあるような場合は実から種を取り出して増やせます。種まきで注意すべきポイントは種を乾燥させないことです。秋~冬に収穫した種は、土にまいても春まで芽が出ません。忘れないように根気強く水やりを続ける必要があります。
ムラサキシキブは挿し木で増えやすく、1つ苗があれば簡単にできます。挿し木の適期は3月頃か成育旺盛な5~9月で、成功すると1か月ほどで発根が確認できるはずです。
ボタニ子
一般的な挿し木の方法について詳しく解説した記事はこちらです。
ムラサキシキブ
参考価格: 1,980円
ムラサキシキブはガーデニング初心者でも育てやすく、低い生垣などにもおすすめです。樹高も0.5mほどある状態で販売されているため、翌年にはある程度の大きさになることが期待できます。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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サイズ | 15cmポット |
カイガラムシをそのままにしていると、樹液を吸われ植物が枯れてしまいます。対策方法について解説した記事はこちらです。