園芸部類 | 果樹 |
形態 | 落葉低木 |
樹高・草丈 | 200~300cm |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 生垣・観賞用 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
カラタチは、鋭いトゲや枝が特徴的な落葉低木のひとつです。日本には1300年前に中国から伝来したといわれています。病気に強くやせた土地でも育てやすいため、栽培難易度は低めです。初心者でも挑戦しやすい樹木でしょう。柑橘系の中では特に寒さに強く、北海道~沖縄まで日本全土で育てられます。カラタチの実は苦みが強く、生食には向いていません。果実酒や生薬として利用されることがほとんどです。
カラタチの大きな特徴である鋭いトゲは、侵入者防止やイノシシ除け目的で古くから生垣に利用されてきました。現在ではコンクリート塀やブロック塀の導入が進み、手入れに手間のかかる生垣利用は少なくなってきています。
カラタチの樹木は、日本では温州ミカンなどの台木(※接ぎ木の元になる木のこと)として利用されます。カラタチの台木は病気に強く、実がつくのが速くなりやすいのが特徴です。しかし、やや寿命が短いという欠点もあります。
雲竜カラタチ
参考価格: 7,700円
ヒリュウは、カラタチの変種のひとつです。市場に出回るときは「雲竜カラタチ」という名で販売されています。その名の通り竜のような湾曲した枝やトゲが大きな特徴です。見た目がとても勇ましいので、観賞用として古くから利用されていました。また、ヒリュウは柑橘類の台木として利用されることも多く、コンパクトで糖度が高くなることから、日本だけではなくアメリカでも期待されています。
レア度 | ★★★☆☆ |
---|---|
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
植え付け時期 | 4~9月 |
肥料の時期 | 2~3月、8~9月 |
果熟の時期 | 10~11月 |
剪定の時期 | 12~3月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4~5月頃 |
カラタチの植え付けは4~9月の間なら可能です。しかし、新芽が伸び始めてくる4月後半~6月頃はカラタチの負担になりやすいため、なるべく避けたほうが無難でしょう。気温が上がり始めた4月の前半か、夏以降の植え付けをおすすめします。
カラタチは鉢植え、庭植えのどちらでも問題なく育ちます。
カラタチは寒さに強いので、日本であれば北海道~沖縄までどの地域でも育てられます。そのため、庭植えに適しているといえるでしょう。やせた土壌でも育つので、初心者でも失敗しにくいです。200~300cmほどの大きさまで育つので、広めの場所で育てることをおすすめします。
カラタチを鉢植えでも育てられます。観賞用で育てる場合は2~3年に2度の植え替えが必要です。結実するとその分重くなるため、鉢はどっしりとした素焼きのものかふた回りほど大きいサイズのものにするとよいでしょう。
カラタチは室内、屋外問わず育てられます。しかし、日光が好きな植物なので、日の光が当たりやすいところで管理しましょう。また、室内で育てる場合は、エアコンの吹き出し口に注意が必要です。風が強い場所に置くと株が弱くなり、枯れやすくなってしまうため、自然の風が入るベランダや窓辺での管理をおすすめします。
カラタチを庭植えで育てる場合は、日当たりがよい場所を選ぶとよく育ちます。冬に霜が降りにくい、からっとした場所が最適です。また、強風にさらされると株が弱って枯れてしまうため、建物と建物の間など常に風が強い場所も避けましょう。日の光がたっぷりと当たり、風が強すぎない場所がおすすめですよ。鉢植えで育てる場合も同様に、日当たりと風に気をつければ問題なく育ちます。
カラタチはどんな土壌でも育ちやすいため、一般的な用土であれば問題なく育ちます。自分で用土を作る場合は、鹿沼土と赤玉土、腐葉土を4:3:3の割合で混ぜたものがおすすめです。また、大きく育てたい場合は元肥が含まれている市販の培養土を利用してもよいでしょう。実を採取したいときは果樹用の土が便利です。カラタチの栽培目的にあわせて選びましょう。
カラタチの水やりは、季節によって頻度を変える必要はないので、比較的手間がかかりにくいです。庭植えで育てている場合は、降雨のみで問題なく育つため水やりは必要ありません。何日も雨が降らないような日照りが続いてしまった場合のみ水を与えましょう。鉢植えで育てている場合は、土の表面が乾いたら水を与えます。鉢底から水があふれるくらいたっぷりと水やりするとよいでしょう。
カラタチは肥料を施さなくても問題なく育ちます。しかし、大きく育てたい場合や実をしっかりと実らせたい場合は施肥するとよいでしょう。肥料の適期は2~3月と8~9月です。化成肥料、有機肥料どちらも利用できます。ただし、窒素分の多い肥料だと開花しにくくなったり、害虫被害にあいやすくなったりするため、リン酸やカリが多いものが好ましいです。
カラタチの8~9月の肥料は、補助的な扱いで問題ありません。株のようすを見て追肥するかどうかを決めましょう。株に元気がなさそうだと感じたら、少量を施肥してください。
カラタチの主な害虫被害は、アブラムシとアゲハチョウの幼虫です。どちらもとても被害にあいやすいですが、食害による枯れはあまり起こらないので致命的なダメージにはなりにくいでしょう。しかし、そのまま放置すると見た目が悪くなるほか、株自体が弱くなるため、対策しておくにこしたことはありません。
アブラムシはアミノ酸を好む性質があります。そのため、アミノ酸をたくさん生成する窒素分を多く含む肥料は、アブラムシを呼び寄せてしまうことになりかねません。窒素分を含む肥料を与えすぎないことが予防となるでしょう。また、アブラムシは枝葉が茂って風通しが悪い環境でも発生しやすいため、剪定をしっかりすることも予防になります。もしアブラムシが発生してしまったら、市販の殺虫剤などを利用して駆除しましょう。
アゲハチョウの幼虫の予防は、産卵を防ぐことが大切です。効果的なのは植え付けたカラタチを防虫ネットで覆うことですが、生垣や観賞目的で育てていることが多いので現実的ではありません。したがって、アゲハチョウの幼虫は、見つけ次第駆除するという方法を取りましょう。幼虫は大きく見つけやすいので、ピンセットでつまんで取り除くか、市販の殺虫剤を使って駆除してください。
カラタチは病気にはかかりにくい植物です。そのため、対策は特に必要ありません。
カラタチの花後の管理は特に必要ありません。
カラタチの種まきは2~4月頃が適期です。種は乾燥すると発芽しなくなるため、実から採取したものを利用する場合は、乾燥しないように保管する必要があります。採取した種は湿った土の中に埋めておくか、濡らしたティッシュなどで種を包み、保存用の袋に入れて冷蔵庫で管理しましょう。
カラタチの種は、種まき前に水に3日間ほどつけておきます。育てたい場所に種をまいたら、用土を1cmほど覆って日当たりのよい場所で管理してください。直播きでも育苗して定植する方法でもどちらでも育つので、栽培環境にあわせるとよいでしょう。
カラタチを苗から育てる場合は、葉や茎がつやつやしていて元気のあるものを選びましょう。茎や葉の裏にアブラムシなどの害虫がついていないかもチェックしてください。カラタチは食害に強く、被害にあっていても枯れにくい特徴があります。しかし、苗の時点で害虫が発生していると、株自体が弱りやすくなるため注意が必要です。
カラタチの種から苗を育てる場合は、小さめの鉢に種をまきましょう。日当たりのよい場所で管理し、30cmほどの高さまで育ったら定植します。成長はとてもゆっくりなので、焦らず育ててください。例えば3月に種をまいた場合だと、同じ年の晩秋くらいにようやく20cmほどの高さになる成長速度が一般的です。葉をしっかり育てるために、育苗時に限っては窒素分の多い液体肥料を施すのもよいでしょう。
カラタチを庭植えで育てている場合は、植え替えは不要です。鉢植えで育てている場合は、2~3年に1度の頻度で植え替えを行いましょう。カラタチの根はとても細いので、植え替えのときに傷つけないように気をつけてください。根が切れてしまうと花や実がつきにくくなることがあるので、注意が必要です。トゲでけがをしないように軍手などで手を保護してから植え替えると安心ですよ。
カラタチは樹形が面白く育つので、剪定せずに管理しても個性的な樹形を楽しめます。しかし、生垣で利用する場合や、害虫予防をしたい場合は剪定を行いましょう。剪定の適期は葉が落ちた12~2月です。カラタチの枝は内部から枯れていくので、内側の枝が混み入った部分や、下向きに伸びている枝を剪定してください。剪定のときはトゲでケガをしないように長袖の服と軍手で肌を防護すると安全です。
カラタチの夏越しの対策は特に必要ありません。
カラタチは柑橘系の植物の中でも寒さに特に強い植物です。そのため冬越しの対策は必要ありません。
カラタチの増やし方は、種まき、挿し木の2種類です。
カラタチは種まきでの増やし方が一般的です。購入した種を使用するか、花後の実から種を採取した種を使って増やしましょう。
カラタチを挿し木で増やす場合は、6~9月の休眠期に入る前に行いましょう。用土を用意し、挿し木用の枝を挿して育てます。通常のカラタチと変わらず、日の光が当たる場所で管理するとよいでしょう。
カラタチの種
参考価格: 770円
カラタチの種は、園芸ショップや大手ネット通信販売サイトで購入可能です。種からカラタチを育てる場合は、時間がとてもかかります。その分愛着もわきやすいので、育てる楽しみを十分に味わえますよ。
手軽さ | ★★★★★ |
---|---|
育てやすさ | ★★★★☆ |