パンノキは、ポリネシア原産の熱帯植物です。現地では果実を食用とし、焼いた時の食感がパンに似ていることから名づけられました。耐寒性が弱く樹高が高くなることから、日本では鉢植えで流通し観葉植物として親しまれています。
園芸部類 | 観葉植物 |
形態 | 常緑高木 |
樹高・草丈 | 10m |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 弱い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
パンノキは樹高10mほどになり、20~30cmの大きな果実をつけます。果実はジャックフルーツやドリアンに似た球状で、未熟なうちは緑色ですが、熟すと黄色になります。果実に種子がある系統とない系統がありますが、品種として区別されてはいません。
植え付け時期 | 5~7月 |
植え替えの時期 | 5~7月 |
施肥の時期 | 4~10月 |
剪定の時期 | 2~4月 |
パンノキの植え付けや植え替えに適している時期は、生育期初期の5~7月頃です。熱帯地方の植物なので、夏以降に植え替えをするとその後の生育が十分にできなくなります。
パンノキは熱帯植物なので、沖縄地方をのぞいて地植えでの越冬ができません。そのため鉢植え栽培をし、寒い時期は室内への移動が必要となります。基本的には単独で栽培しますが、小さなうちは寄せ植えも可能です。
パンノキの置き場所には、暖かくて風通しのよい場所が適しています。基本的に夏場は屋外、冬場は室内で栽培してください。室内に取り込んだ際、エアコンの風が直接当たると枯れる原因となるので注意しましょう。
パンノキには、水はけのよい用土を使用してください。市販の観葉植物用の用土であれば、あらかじめバランスよく配合されているのでおすすめです。自分で配合する場合は、赤玉土:腐葉土を1:1で混ぜ合わせたものをベースに栽培環境に合わせて調整しましょう。
パンノキは葉が大きいので水分の蒸散も多く、水やりを多く必要とします。暖かい時期は週に2~3回、鉢の表土が乾いたらたっぷりと水やりをしてください。冬場は成長も止まるので1週間に1回程度で大丈夫ですが、たまに霧吹きで葉水を与えましょう。
パンノキに与える肥料は、成長期である4~10月に与えます。粒状の緩効性肥料を株元に置き肥として与えて、2~3週間に1回、水やりを兼ねて液体肥料を与えるのも効果的です。
パンノキは乾燥すると、ハダニに寄生されやすくなります。乾燥しすぎる場合は霧吹きで葉水を与えると予防になりますし、葉についているハダニが水で洗い流されます。万が一、大量に発生した場合は市販の殺虫剤を散布して対処しましょう。
パンノキは水はけや風通しの悪い環境で育てると、炭そ病などの病気にかかりやすくなります。水はけのよい用土を使用し、水やりのやりすぎには注意してください。また枝が混み入っている場合は剪定して風通しをよくしましょう。
沖縄地方を除いて、国内では熱帯植物であるパンノキを開花させることは現実的ではありません。開花した場合でも、花後の管理は特に必要ありません。
パンノキの種まきは、4~6月頃に行います。市販の種まき用土を鉢に入れ、種を植え付けたら乾燥しないように管理してください。発芽まで数週間~2か月程度かかることもあります。本葉が展開したら徐々に水やりを減らし、通常の管理へと移行していきます。
パンノキの苗を購入する場合は、幹が太く、葉に光沢があるものを選びましょう。また、葉の裏側や枝の隙間にハダニやカイガラムシなどの害虫が隠れていないか確認してください。
パンノキの植え替えをする場合は、苗よりも一回りから二回り大きな鉢を用意します。古い鉢から苗を抜いたら、余分な土を落として根をほぐします。傷んだ根や細すぎる根を取り除いてから植え付けましょう。植え替え後はたっぷりの水やりをして、数日日陰で管理し徐々に明るい場所へと移動させます。
パンノキの剪定は、混み入った枝を整理する程度です。剪定に適した時期は、2~4月の、成長期に入る前の時期です。特に、枝が混み入ってしまうと病害虫の被害にあいやすいので定期的に剪定しましょう。
熱帯植物であるパンノキは、冬も15℃以上の環境での管理が望ましいです。20℃を下回ると徐々に生育がとまり、10℃をした回ると枯れ始めてしまいます。夏が終わったら室内に取り込むか、ビニール温室内で管理しましょう。温度が保てない場合は、園芸用ヒーターを使用したり、不織布を株に巻き付けたりして温度を維持してください。
パンノキの増やし方は、根伏せが一般的です。植え替えの際に太くて張りのある根を5~6cmほど切り取り、挿し木用の用土に植え付けます。乾燥しないように管理し、新たな根と芽が出てきたら通常の用土に植え替えます。
出典:写真AC