カモマイルは古くからヨーロッパでは「お母さんのハーブ」とよばれています。リラックス効果や鎮痛作用もあり、あまいリンゴのような香りでハーブティーなどでおなじみの植物です。
園芸部類 | ハーブ、草花 |
形態 | 一年草、多年草 |
樹高 | 20~60cm |
耐寒性 | 多年草は強い |
耐暑性 | 弱い |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
カモマイルは一年草または多年草の植物で、春から初夏にかけて黄色の花芯と白い花びらのコントラストが美しい花を咲かせます。
カモマイルは大きくわけると、一年草のジャーマンカモマイルと多年草のローマンカモマイルの2タイプがあります。
ジャーマンカモマイルの特徴は、香りは花だけにあります。一年草ですがこぼれ種でもふえるほど繁殖力がつよく、初心者でも管理しやすい種類です。
ローマンカモマイルは多年草で、ジャーマンカモマイルより花は大きくマーガレットに似ています。花にも葉にも香りがあり踏みつけにもつよいので、香りのカーペットとしてグランドカバーにも使われます。
一年草のジャーマン種と多年草のローマン種では、育て方が少しちがうのでそれぞれご紹介します。
種まき時期 | 2~3月、10~11月 |
植え付け時期 | 1~3月、11月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4~6月 |
収穫時期 | 4~6月 |
種まき時期 | 3~4月、10月 |
植え付け時期 | 3~4月、10月 |
花が咲く時期/開花時期 | 5~6月 |
収穫時期 | 5~6月 |
非耐寒性一年草のジャーマン種と耐寒性多年草のローマン種のいずれも、10月に種まきをして苗をつくり冬越しをするとよいです。梅雨前に収穫するために、早春に植え付けると苗が大きく花もたくさん咲きます。
種は秋まきと早春からの春まきができますが、おすすめは10月の種まきです。暑くなると枯れるので10月にまいて苗づくりして、早春に植え付けるとたくさん収穫ができます。
ローマン種は多年草ですが、夏の暑さや蒸れによわいので秋まきの10月がおすすめです。耐寒性はつよいので冬越しは心配ありません。3月に入ったら育苗した苗を植え付けます。
開花後、中心の黄色の部分が盛り上がったら収穫のサインです。晴れた日の午前中に花だけ摘んで、風通しのよい日陰で乾燥させます。乾燥材を入れて保存や、冷凍保存もできます。
ジャーマン種とローマン種の両方とも蒸れることをきらうので、植え付ける容器や用土も乾燥気味に管理できるものを選ぶとよいでしょう。ローマン種はグランドカバーにできるので地植えもおすすめです。
プランターはプラスチック製のものが多いですが、テラコッタ製のほうがおすすめです。鉢植えの場合は素焼き鉢をえらぶとよいでしょう。
プランター | プラスチック製の場合はスタンドなど使う |
鉢植え | 素焼きやテラコッタ製がよい |
地植え | 乾燥気味の場所をえらぶ |
プランターや鉢植えの用土はハーブ専用土をつかうと生育がよいです。地植えは過湿にならないように用土を調整します。
プランター | ハーブ専用土・野菜用培養土に川砂を1割まぜる |
鉢植え | ハーブ専用土・野菜用培養土に川砂を1割まぜる |
地植え | たい肥・腐葉土・中粒の鹿沼土で調整 |
ジャーマン種とローマン種で苗選びは共通ですが、下葉が枯れこんだり黄色になっている苗はさけましょう。また、ひょろひょろとした苗は根腐れしている可能性があります。
カモマイルは種の発芽率もよく、こぼれ種でふえることもあります。苗も秋に種まきから作ると、早春の植え付けができ生育もよいです。
カモマイルの種はたいへん細かいので、あらかじめ湿らせておいた用土にばらまきします。覆土の必要はありません。
園芸店での販売は4~5月とすこし遅めなので、できるだけ秋に種をまいて苗づくりをした方が、大きく育ち管理がしやすいです。苗を植え付けるときは、根鉢をくずさないように植えます。
カモマイルの置き場所は、基本的に野外の日当たりと風通しがよい乾燥気味の環境が栽培に適しています。ジャーマン種は夏には枯れてしまいますが、ローマン種は夏に蒸れない環境をつくります。
室内は蒸れやすいので栽培には適していません。
日当たりよく風通しがよい場所が適しています。ジャーマン種は夏には枯れますが、ローマン種は地植えでない場合は半日陰にハンギングさせるとよいでしょう。グランドカバーとして植えているときは、夏まえに刈り込み剪定をして蒸れをふせぎます。
カモマイルは乾燥気味に育てるので、鉢植えやプランター栽培でも水やりを控えめにしたほうが蒸れません。地植えでは、植え付け直後以外の水やりは必要ありません。
春の生育期は、用土が乾いてからたっぷりと水やりをします。水が足りないと下葉が枯れこんで花付きが悪くなります。蒸れ防止のために、水やりは朝のうちに行うとよいでしょう。
ジャーマン種 | ローマン種 | |
春 | 用土が乾いたらたっぷり | 用土が乾いたらたっぷり |
夏 | 生育終了 | 蒸れない程度に水やり |
秋 | 種まき後は乾いたらたっぷり | 地植えは必要なし |
冬 | 育苗中は乾かし気味 | 地植えは必要なし |
カモマイルは蒸れにはよわいですが、病気はほとんどなく害虫もすくないハーブです。肥料が多すぎると葉ばかりしげります。
植え付けの時に肥料入りの培養土を使えば、その後は肥料を施しません。地植えの場合は植え付け前に緩効性肥料を施しておくとよいでしょう。
病気はほとんどありません。害虫は春先の「アブラムシ」と高温乾燥期の「ハダニ」に注意します。
カモマイルはハーブティーの原料や、ハーバルバスにつかうことが多いので農薬は使用しません。アブラムシ対策としては、薄めた牛乳を霧吹きで散布します。無害な重曹水を散布するのも有効です。
ハダニは高温で乾燥すると発生します。そのため、朝のうちにシャワー散水でハダニを洗い流すとよいです。
ジャーマン種とローマン種ともに、こぼれ種でふえることも多くたいへん丈夫なハーブです。高温多湿期になる前の花後に、多年草のローマン種は切り戻し剪定をします。
ジャーマン種は一年草なので、夏前に収穫をすると生育は終了します。ローマン種は地植えの場合、株分けをかねた植え替えをします。ローマン種は株張りが旺盛なので、20cmくらいあけるように植え替えします。
ジャーマン種は枝分かれしながら大きくなるので、蒸れ防止のために枝すかし剪定をします。ローマン種は多年草なので、夏前に10cmくらいの切り戻し剪定をして蒸れを防止します。
発芽率がよいので、増やし方は種まきがおすすめです。
ジャーマン種 | ローマン種 | |
種まき | 10月種まき | 10月種まき |
株分け | しない | 3~4月・10月 |
挿し芽 | 5~6月 | 3~4月・10月 |
出典:写真AC