里芋の芽の食べ方
里芋の芽は、どのような食べ方をすれば美味しく味わえるのでしょうか。ここでは、里芋の芽の食べ方を紹介します。
必ずすること
里芋の芽を取った後は、食べる前にあく抜きをしてください。食べられるといっても、あくが強いです。あく抜きをしないで食べるのはおすすめしません。あく抜きをしたらえぐみも緩和されて、問題なく食べられるでしょう。
煮物
食べ方として挙げられるのが、煮物です。皮むきをし、油揚げなどと一緒に煮ると美味しく食べられます。里芋の芽はだし汁を吸いやすいため、ほかの食材に味がなじんでから入れると、より美味しく食べられますよ。
炒め物・天ぷらでも美味しい
里芋の芽は油との相性もよく、炒め物や天ぷらにして食べるのも美味しいです。炒める前や油の中に入れる前に、茹でた里芋の芽の水気を拭き取ることがより美味しく食べられるポイントです。
調理をしないで食べる
あく抜き後、そのまま味わうという食べ方もあります。一度火を通しているため、特別な調理をしなくても大丈夫です。そのまま食べるときも、水気をよく取るのがポイントです。味噌をつけたり、刺身のつまと一緒に千切りにしたりするのもおすすめです。里芋の芽そのものを味わえる食べ方といえますね。
ボタニ子
いろんな食べ方があるね!色にあわせた調理方法をおすすめ。お祝い事の煮物なら、赤い芽が映えそうだね!
続いて、里芋の保存方法についてご紹介です。
里芋の保存方法
里芋から芽が出たら、どのように保存すればよいのでしょうか。芽が出ていなくても、里芋の正しい保存を知らない人も少なくありません。ここでは、里芋の芽と里芋の保存方法を紹介します。
芋の部分の保存方法
里芋は暖かいところで生まれた野菜のため、常温で保存します。適温は10~25℃といわれています。土がついたままでも大丈夫です。里芋についている土を落としてしまうと、早く乾燥して品質が落ちてしまうため、そのまま保存しましょう。土をつけたまま新聞紙で包み、風通しのよい場所で保存します。傷がついているものは傷みやすいため、早めに食べるようにしましょう。
冷蔵庫では保存しない
里芋を冷蔵庫に入れて保存するのは避けましょう。冷蔵庫に入れて保存すると、低温障害を起こし、早く傷んでしまうことがあるからです。
冷凍保存もできる
里芋は、冷凍保存もできます。皮むきをして茹でてから冷凍する方法と、茹でてから皮むきをして冷凍する方法があります。違いは皮むきのタイミングです。先に皮むきをした場合なら、あく抜きもできています。茹でてからの皮むきは、あく抜きが十分ではないことも多く、食べたときに喉がイガイガするかもしれません。あくまでもあく抜きが十分ではないだけで、食べられることには変わらないです。
芽の部分の保存方法
里芋の芽の部分は日持ちしません。冷蔵庫に入れて保管すると、芋の部分同様に低温障害を起こします。そのため、すぐに食べられない場合はあく抜きをし、茹でるか干すかして保存するのがおすすめです。
芽も冷凍保存できる
芽は冷凍保存できます。芽が出たら芋部分から取り、まずはあく抜きをして茹でます。そのあと軽く水をかけ、芽同士がくっつかないように保存します。使うときは必要な分だけ取って自然解凍を待つか、お浸しなどの食べ方の場合はそのままお湯の中に入れて大丈夫です。
里芋ってどんな植物?
煮物や炒め物など、さまざまな料理に使える里芋とは、そもそもどのような植物でしょうか。ここでは、里芋の歴史や見分け方などを紹介します。
サトイモとは
里芋とは、サトイモ科サトイモ属の野菜です。東南アジア原産で、水田でも育てられる野菜としてしられています。15品種もの里芋が市場へ出回っています。里芋の特徴は、親芋のまわりに子芋がつき、さらに子芋のまわりに孫芋がつくというところです。市場へ出回っているのは子芋・孫芋ですが、親芋を食べる品種もあります。日本では食用として親しまれている一方で、欧米では葉の特徴的な姿から観葉植物として親しまれています。
里芋の旬
里芋の旬は秋です。しかし、貯蔵性に優れた里芋もあることから、ほぼ一年中流通しています。
里芋の歴史
里芋の歴史は古く、稲よりもはやく日本に伝わったといわれています。稲作が日本で始まったのは弥生時代からで、その前の時代である縄文時代には、すでに主食として食べられていました。
芋名月
「芋名月」という言葉を聞いたことはありますか?芋名月は「中秋の名月」を指します。中秋の名月は、旧暦8月15日に見られる満月のことです。ススキと月見団子を飾るという風習がありますが、ここ飾るものには里芋も含まれていました。そのため、里芋を飾ることから「芋名月」と呼ばれることがあります。
子孫繁栄の象徴
里芋は子孫繁栄の象徴としても親しまれています。なぜなら、親芋から子芋、子芋から孫芋とどんどん芋が増えていくからです。この様子を子孫繁栄になぞらえています。
美味しい里芋
美味しい里芋の選び方は、難しくありません。ふっくらと丸みがあり、表面に傷がついていないものを選びましょう。表面に傷があると、里芋はすぐに傷んでしまいます。匂いをかいで、カビ臭くなっているものも避けましょう。カビ臭い里芋は、古くなっている可能性があります。
美味しい里芋の芽の見分け方は?
美味しい里芋の芽かどうかの見分け方もあります。里芋の芽はしなびてないものを選びましょう。張りがあり、太くてしっかりしたものを選ぶと美味しい里芋の芽を食べられるでしょう。
赤ズイキ
赤いズイキは、茹でても赤色が落ちることはありません。色が残ったままきれいに茹で上がります。せっかく食べるなら、見た目も美しいほうがよいですよね。できるだけ鮮やかな赤色のものを選びましょう。
白ズイキ
白いズイキは、柔らかくあくが少ないのが特徴です。あく抜きが心配な方は、白いズイキを選ぶのがおすすめです。
なぜ触ると手がかゆくなるの?
里芋を皮むきをしていると、手がかゆくなることはありませんか?かゆくなるのは、里芋にシュウ酸カルシウムの結晶が含まれているからです。結晶の変化はかゆみを引き起こします。はじめは針状の結晶になっていますが、皮むきをすると結晶がバラバラになり、それが手に刺さることによってかゆくなるのです。
かゆくなったときの対処法
皮むきをしてかゆくなったときは、かかないことが大切です。かゆいときは、ショウ酸カルシウムの針が手に刺さっている状態です。そのため、かけばかくほどこの針は刺さってしまいます。かゆみを取るには、流水で洗い落とせば大丈夫です。
ボタニ子
かゆみを取るには、まず流水で手洗い。それでもだめなら石鹸で手洗い。薄めた酢水に手先を浸けても大丈夫!
かゆくならない皮むき
かゆみを抑える手軽な方法は、手袋をつけて皮むきをすることです。手袋をしていると、シュウ酸カルシウムの針は手まで届かなくなります。また、シュウ酸カルシウムは熱を加えるとその性質が弱くなります。そのため、一度里芋を茹でてから皮むきをするのもよい方法です。水洗いをしてから、乾燥させたものでもかゆみが抑えられますよ。
里芋の仲間
一口に里芋といっても、里芋にはたくさんの品種があります。そのなかでも、広く知れている品種を紹介します。
八つ頭(やつがしら)
八つ頭は、里芋の品種の一つです。八つ頭の子芋は孫芋をつけないため、親芋と子芋で流通しています。この親芋と子芋の塊の姿が「頭が8つ固まっているように見える」とのことから、八つ頭という名前がつけられました。子芋がどんどん増えるため、子孫繁栄の意味や「8つの頭=人の上に立つ」などの意味を込められておせち料理に利用されます。
八つ頭の芽
八つ頭の芽は「赤ズイキ」と呼ばれているものです。あく抜きをしたら美味しく食べられるため、八つ頭から芽が出たら取ることをおすすめします。好みの食べ方で美味しく味わいましょう。
土垂(どだれ)
土垂は、里芋のなかでも広く知られる品種です。小柄で、主に子芋が流通している里芋です。親芋も出回らないことはありませんが、大体は地元で消費されています。貯蔵性が高く、ほぼ一年中出回っている里芋です。煮物、炒め物など、さまざまな食べ方で味わえます。
石川早生(いしかわわせ)
石川早生も、土垂と同じく里芋のなかではポピュラーな品種です。小ぶりで、名前からわかるとおり早生品種です。里芋の旬は秋ですが、石川早生は早いところで7月から収穫が始まります。中秋の名月で「きぬかつぎ」として使われているのがこの石川早生です。
タロイモは?
タロイモは食用として出回っているサトイモ属全般のことを呼びます。また、里芋の原種は東南アジア原産の原住民が主食として食べていたタロイモが原種といわれています。日本で、昔「太郎」という呼び名が多かったのは、タロイモからきているという説もあるのです。
まとめ
芋類の芽には毒性があると思われがちですが、里芋は大丈夫です。里芋の芽には毒性はないため、安心して食べられます。むしろ、美味しくて栄養も豊富です。家で保存していた里芋から芽が出たら、好みの食べ方で食べることをおすすめします。食べる際は、必ずあく抜きをしましょう。
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出典:写真AC