ジャンボニンニクとは
ジャンボニンニクは大きいニンニクのような外見ですが、どちらかというと「リーキ」と呼ばれる西洋ネギの近縁種でニンニクとは違った特徴があります。まずはジャンボニンニクの産地や栄養素などの基本情報とあわせて詳しくご説明します。
基本情報
分類 | ヒガンバナ科ネギ属 |
学名 | allium ampeloprasum var. ampeloprasum |
別名 | エレファントガーリック・ジャンボリーキ |
原産 | 地中海東部 |
産地 | 鹿児島県・佐賀県・福岡県・兵庫県・滋賀県など |
旬の時期 | 7月~8月 |
形態 | 球根性多年草 |
ジャンボニンニクはその大きさから、別名「エレファントガーリック」「ジャンボリーキ」と呼ばれています。もともとは地中海東部に自生していた野生種が植民地時代にアメリカに持ち込まれ、栽培が始まりました。日本では主に九州を中心とした西日本で、各地域特有のジャンボニンニクを栽培しています。主に5月~6月に収穫したものを乾燥させて7月~8月の夏場に出荷します。
主な生産地域について
長崎県の佐世保市では、独自の液肥や地元の牡蠣殻を使った土壌改良材を使うことで、腐敗しにくいジャンボニンニク作りをしています。福岡県遠賀郡水巻町では恵まれた肥沃な土地でていねいに育てた品種が採れます。そのほか、鹿児島県の大隅半島や、兵庫県南あわじ市、滋賀県長浜市などで独自の方法のジャンボニンニク栽培が行われています。
栄養素
サポニンで肝機能・免疫力向上
サポニンは苦みやえぐみの元である有機化合物です。中性脂肪やコレステロールなどの酸化を防ぎ、肝臓の機能を守ったりコレステロールを下げたりするといわれています。血小板が固まるのを防いで、血流を改善することにより冷えの予防にも期待できます。また免疫細胞であるナチュラルキラー細胞を活性化させて、免疫力を向上させる効果が期待されています。
イヌリンにより血糖値上昇を抑える
イヌリンは多糖類の一種であり糖質の吸収を抑制する働きがあります。また善玉菌の栄養となり菌の働きを活性化させるため腸内環境を良好に整えたり、インスリンの感受性を向上させて血糖値の急上昇を抑えたりする効果が期待されています。
ジャンボニンニクの特徴
ジャンボニンニクは球根性の多年草で、地中の小りん茎から繁殖する「栄養繁殖」で増えます。種子繁殖と異なり同じものを増殖するので安定した品質のものを生産できますが、ウイルスに感染するとその影響を持ったまま増えるため注意が必要です。花は紫色の球状花序で、葉はへん平型の緑もしくは薄緑色をしています。
よく似た植物
アリウムも、ジャンボニンニクと同じネギ属の植物で、球根で繁殖する多年草です。ジャンボニンニクとよく似た紫色の花を咲かせます。
ジャンボニンニクと他のニンニクの違い
ジャンボニンニク | ニンニク | |
味 | マイルド・少し苦みあり | 刺激が強い味 |
におい | ほぼ無臭 | 強い |
大きさ | ニンニクの6~8倍 | 5cm程度(小りん茎) |
見た目や成分上の違い
ジャンボニンニクの特徴は見た目の大きさで、ニンニクよりも全体的に肥大し花も咲かせます。ニンニクは品種によっては花を咲かせないものもあります。またジャンボニンニクはニンニクのにおい成分である「アリシン」が少ないため、独特のにおいがほどんどありません。食感や味はタマネギやゆり根のようにほくほくとした甘みの中に少し苦みがあり、とてもマイルドです。
生産方法の違い
ジャンボニンニクの育て方の基本はニンニクと同様ですが、ジャンボニンニクのほうが種子が大きいため、株間を広くとることが大切です。また窒素過多になると葉が大きくなりすぎて日照不足になり、病害虫が発生しやすくなるため、肥料はニンニクよりも控えめにします。
ジャンボニンニクの選び方
ジャンボニンニクは外皮がよく乾燥していて全体的にふっくらとしているものを選びましょう。長期保存をする際はネットに入れて風通しがよく、暗いところに置けば1~2ヶ月は保存できます。生の場合はラップをして冷蔵庫に入れるか、しょう油漬けなどに加工しましょう。外皮をむいたときに日焼けをして緑色になっているところは、苦みや辛さが強くなるため取り除きます。
ジャンボニンニクの食べ方
ジャンボニンニクはにおいを気にせずに食べられるので、その大きさを生かしてさまざまな料理にアレンジしてみましょう。栄養も豊富なので普段の食卓の1品に取り入れるとよいかもしれませんね。
ギョーザ
ニンニクといえばギョーザを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ジャンボニンニクは無臭なので、口臭が気になる方でもおいしく食べられます。食感を味わうために少し大きめにカットして具材に混ぜてみてはいかがでしょうか。
ホイル焼き
ジャンボニンニクは味のくせが少ないため食べやすく、ホイル焼きにするとゆり根やじゃがいものようにほくほくとした食感を味わえます。大きめにカットしたジャンボニンニクにお好みの具材を入れていただきましょう。
【レシピ】鶏むね肉とジャンボニンニクのホイル焼き
鶏むね肉を使っていますが、具材は鶏モモ肉やサケなどお好みのものを入れましょう。
- ジャンボニンニクを大きめにカット
- エリンギ・ぶなしめじ・タマネギなどお好きな具材をカット
- 鶏胸肉は塩を振って10分ほど置く
- ホイルに野菜やキノコを敷く
- 鶏胸肉とジャンボニンニクを載せる
- 軽く塩コショウ、オリーブオイルを振る
- 上にバターを乗せて、ホイルを包む
- フライパンにホイルを置いて蓋をし、15分で完成
- お好みでポン酢をつける
揚げニンニク
ジャンボニンニクの大きさを活かして、揚げニンニクにするのもおすすめの食べ方です。中はほくほく外はカリッとした食感で、素材の味をしっかり味わえますよ。
しょう油漬け
保存食や調味料の1つとして、ジャンボニンニクのしょう油漬けはいかがでしょうか。調味料を混ぜて1週間程度冷蔵庫で漬けこむだけで簡単にできます。そのまま食べるだけではなく餃子の具材や焼いた厚揚げの上にのせたり、チャーハンに混ぜたりしてもおいしいですよ。
炒め物
ジャンボニンニクを大きめにカットして、イカやネギなどの具材とともに炒めてもおいしいですよ。焦がすと苦みが強く出るので注意が必要です。シンプルに塩コショウとしょう油でも、マヨネーズやみそでこってりと仕上げてもいいですね。お好みの味付けで調理してみましょう。
アヒージョ
ジャンボニンニクをまるごと使ったぜいたくなアヒージョもおすすめです。レシピは魚介類やマッシュルームなどの具材やたかの爪・塩とともにオリーブオイルで煮るだけで簡単にできます。フランスパンなどにオイルをつけながら、優雅にスペイン気分を味わってみてはいかがでしょうか。
まとめ
ジャンボニンニクはニンニクを大きくしたような形ですが「リーキ」の近縁種です。栄養が豊富で肝臓を守り、肥満予防や血流改善・血糖値急上昇抑制の効果が期待できます。にんにくとは違いにおいも少なく、人と会うときでも安心して食べられますね。ぜひいろいろなジャンボニンニク料理を作って、毎日の食卓の1品に取り入れてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC