にんにくとは?
みなさん、一度はニンニクを食べたことがあるのではないでしょうか。そんなニンニクですが、風邪やインフルエンザの予防に、にんにくが効果ある? 風邪を早く治す為ににんにくが役に立つ? そもそもにんにくってどんな植物なの? 滋養強壮のイメージの強いにんにくは臭いのおかげ? など、この記事ではそんな疑問を解説していきます。
にんにくの概要
にんにくはどんな植物?
にんにくはユリ科です
にんにくはユリ科ネギ族の多年生草本です。保存性が高く年中スーパーで見かけますが、収穫時期は初夏。冷涼を好み気温15度~20度が生育適温で、25度で生育が停止します。また、夏には枯れて休眠します。植え付けの翌春にとう立ちして花が開きますが、種はほとんど付けません。
にんにくの栽培
現在、栽培されている主要品種は、寒冷地栽培に向いた「ホワイト6片種」、暖地系の品種は「壱州早生」などがあげられます。その他、無臭にんにくや、通常の4~5倍ほどの大きさになるジャンボにんにくはネギ類の「リーキ」の仲間です。肥沃な土地と日照を好み、病害虫が少ない植物で、家庭菜園でも栽培可能。プランターでも育てられます。
にんにくは球根?!
普段私たちが「にんにく」として食べている部分、球根だと思われがちですが「鱗茎(りんけい)」といわれる葉が何層にも重なったものです。玉ねぎやラッキョウなども同じく鱗茎を食べる野菜です。また、にんにくの芽として売られているものは、実際には芽ではなく、花茎(かけい)といって花をつける部分が伸びたものを、花が咲く前に早く刈り取ったものです。
にんにくの芽
現在にんにくの芽として流通している商品は、ほとんどが中国産で、流通用に品種改良された品種が専用に栽培されたものです。なお、日本のにんにく栽培においても、花茎は出てくるため、そのごく一部が、花が咲く前に刈り取られ、道の駅などで販売されています。ただし、中国産の流通用とは異なる品種であるため、日本のにんにくの芽は柔らかく、スーパーで見るにんにくの芽とは印象も違うようです。
にんにくの歴史
古い記録をたどると
にんにくの歴史は5000年以上前まで遡り、早くから古代エジプトやギリシャで栽培、利用されていました。ツタンカーメン王の墓の中からみつかったものが、一番最初だといわれています。同時期に、ピラミッドを作る労働者に、強壮食品として食べさせていたという記録も残っているそうです。その後ヨーロッパの国々の軍隊の隊員に食べさせたなどの記録もあり、その栄養や成分は古来より注目され今日まで利用されています。
日本では
古墳時代に中国から持ち込まれたとされ、古事記にはその記録がのこっています。古語では蒜「ひる」と呼ばれ食品というよりは、薬や薬草として栽培され珍重されていました。一般的に調理使われるようになったのは近代になってからといわれています。
仏教では
一部の寺ではでは「不許葷酒入山門」と山門に記載されています。「葷」がにんにくやネギなどのにおいの強い野菜を指します。酒と同じで、強壮作用が煩悩を増長させるとして戒律で禁止された歴史も持っています。
にんにくに含まれる成分栄養
にんにくの栄養成分表
エネルギー | 138kcal | |
水分 | 60.3g | |
タンパク質 | 8.4g | |
脂質 | 0.1g | |
炭水化物 | 糖質 繊維 |
28.7g 0.9g |
灰分 | 1.6g | |
無機質 | カルシウム リン 鉄 ナトリウム カリウム |
15mg 200mg 1mg 6mg 720mg |
ビタミン | B1 B2 ナイアシン C |
0.21mg 0.11mg 0.9mg 19mg |
ニンニク食品成分表(可食部100gあたり、生)
にんにく成分の特徴
主成分は炭水化物
にんにくは60%以上が水分です。その他はほぼ炭水化物で主に糖質で構成されており、可食部100gあたりのカロリーは138kcal。野菜のなかでは高カロリーの部類に入ります。又タンパク質が多く含まれているのが多きな特徴です。
他の野菜と比べると
仲間の玉ねぎであれば水分量90%、エネルギー35kcal、タンパク質は1gです。過熱した際のほくほくした食感がにているサツマイモなら水分量68%、エネルギー123kcal、タンパク質1.2gです。他の野菜と比べても高カロリー高たんぱくな栄養豊富な食品であることがわかります。
にんにくの独特の臭いの理由
にんにくの特徴は臭い
にんにくの特徴といえば、やっぱりあの独特の臭いです。あの臭いで敬遠されている方も多いのではないでしょうでしょうか。しかし、臭いの成分は沢山の研究がなされ色々な効果や作用があると考えられています。
臭いの元になる成分は「アリイン」
これは硫黄を含むアミノ酸の一種でにんにくに含まれているます。しかし、「アリイン」自体はほとんど臭いはありません。細胞が壊されることにより、「アリイナーゼ」という酵素が活性化しアリインを分解し、「アリシン」という成分を生成しこのアリシンが強烈な臭いを発生させるのです。
害虫、害獣を避けるために
にんにくは動物や虫などにかじられると刺激臭を出し、臭いで撃退します。個体を守るために身につけた作用と言われています。料理をする際にまるまるのにんにくに刺激臭はありませんが、包丁を入れたり、すりおろしたりしたとたん臭いがたちます。
過熱すると臭いがおさまる
アリインをアリシンに変化させる酵素の発生を抑える方法が過熱です。熱を与えることによりこの酵素アリイナーゼが壊され不活性化します。フライパンでにんにくを加熱することにより、臭いが穏やかになっていくのはこのためです。皮ごと油で揚げる、蒸すなどの調理方法が一番臭いを抑えることができます。
ニンニクにはいわゆる特有のニンニク臭があるが、これは、含硫黄アミノ酸であるアリイン(Alliin)を含むためである。
臭う成分「アリシン」ってどんなもの?
優れた殺菌効果
臭いの元となるアリシンは、にんにくが虫や動物などに齧られた場合その傷口に発生します。アリシンは撃退の効果に合わせ、その傷口を腐敗や病気から守る優れた殺菌作用も持っています。また、アリシンは不安定で放置すると徐々に失われ、熱や油で変化します。過剰摂取すると腸内の細菌まで殺してしまい胃腸障害を起こす事もあると言われています。
ビタミンB1の吸収を促進
ビタミンB1は水に溶けやすく調理中に失う量が多い栄養素です。取り込んでも吸収率は低く体内に貯蔵できる量は少ないという性質があります。アリシンはこのビタミンB1と結びつき「アリチアミン」という成分に変わり油脂に溶ける性質をもちます。その作用によりスムーズに吸収され、ビタミンB1の働きを倍増させると言われています。
ビタミンB1は疲労回復に効果あり
ビタミンB1は別名チアミンと呼ばれ、炭水化物をエネルギーとして代謝する際に必要不可欠な栄養素です。豚肉や酵母、胚芽、豆類などに多く含まれています。欠乏すると脚気、神経痛、筋肉痛などを引き起こすといわれています。取りすぎた事による過剰症の報告はないそうで、積極的にとりたい栄養素です。
ビタミンB1がニンニクの成分「アリシン」と結びついて新しい物質に変化していたことが判明しました。
出典:写真AC