ニンニクの栽培時期カレンダー
季節別にするべきこと
ニンニクの栽培は秋に始まります。北海道のような冷涼な地域と沖縄のような温暖な地域では、栽培時期に多少のずれが生じますが、おおまかな季節は同じです。秋に植え付けを済ませたら、冬は追肥で成長を促します。春にはニンニクを大きく育てるために摘蕾(てきらい)をし、夏に収穫を迎えます。ニンニクの栽培は簡単で、家庭菜園におすすめです。
ニンニクのプランター栽培【道具】
準備するもの
- ニンニクの種球
- 深型プランター
- 用土
- 肥料(元肥)
- 鉢底石
ニンニクは根の伸びがよく、実は土の中で大きく育つため、プランターは大きめの深型タイプを選びましょう。幅60cm×奥行20cm×深さ25cm、容量25L以上のものであれば問題ありません。6個~8個のニンニクが栽培できる大きさです。加湿状態を嫌う性質を持つため、水はけをよくするためにも鉢底石を忘れずに準備してください。
【アイリスオーヤマ】ベジタブルプランター深型
プランター深型650
参考価格: 2,234円
アイリスオーヤマの深型プランターは、8個程度のニンニクを大きく育てるのにぴったりの容量です。すのこ付きで通気性も確保でき、加湿を嫌うニンニクに適しています。
サイズ | 65x45x38cm |
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容量 | 70.0L |
ニンニクの種球の購入方法
ニンニク栽培には、種球(たねきゅう)と呼ばれる丸のままの状態のニンニクが必要です。園芸センターや通販で栽培用の種球を購入しましょう。スーパーなどで購入できる食用のニンニクを使っても育てられますが、成長しにくかったり病気にかかりやすかったりするため避けたほうが安心です。
ボタニ子
ニンニクの品種の選び方
ニンニクにはたくさんの種類がありますが、温暖な地域と寒冷な地域で育てやすい品種が変わります。ニンニクは暑いと休眠状態に入り、寒いと成長がストップする性質を持っています。栽培地域に適した品種選びを心がけましょう。栽培の仕方はいずれもほとんど同じです。
温暖な地域での栽培におすすめの品種
品種名 | 特徴 |
平戸ニンニク | 大球に育つ。香りも味もまろやか。 |
島ニンニク | 沖縄原産の小ぶりタイプ。強い香りと辛みを持つ。 |
紫々丸 | 外皮が赤紫色。鱗片は小さいが数が多い。 |
上海早生 | 九州四国で栽培が盛ん。熟期が早い。 |
寒冷地での栽培におすすめの品種
品種名 | 特徴 |
ホワイト六片 | 1片が大きく、味も香りもバランスがよい。 |
北海道在来 | 栄養価が高く、アリシンが豊富。香りも味も強め。 |
富良野 | 北海道原産。濃厚で甘みが強い。加熱に向く。 |
冬が寒い北海道でもニンニクをプランターで栽培できますか?
北海道原産の品種もあるように、もちろん冬が寒い北海道でもニンニクを栽培できます。品種選びに注意し、それでも寒さが気になるようであれば、冬の期間だけ株元をワラなどでマルチングして対応しましょう。
ニンニクのプランター栽培【土作り】
ニンニクは土壌適応性が高く、どのような用土でも育ちやすいのが特徴です。しかし、乾燥と酸性土壌は苦手です。土作りの際は可能であれば、養分が多く保水性に優れる弱酸性の用土を準備しましょう。酸度の目安は5.5~6.5です。
市販の培養土を使う場合
家庭菜園初心者の方にとって、土作りはハードルが高いため、市販の培養土を使うのがおすすめです。肥料入りタイプを使う場合は、元肥は必要ありません。用土の選び方で特別に注意するポイントはありませんが、酸度の確認だけしておきましょう。
自分で土作りする方法
用土を自分で作る場合は、まず赤玉土7:腐葉土2.5:バーミキュライト1.5を混ぜましょう。そこに、酸性度を調整するために、苦土石灰を10Lあたり約20g混ぜ込んでください。最後に元肥として化成肥料を入れて完了です。腐葉土やバーミキュライトを使うことで、水はけと水持ちのよい用土に仕上がります。
土作りの際に気をつけたいポイント
家庭菜園初心者の方が陥りやすい問題のひとつに「土作りでの失敗」が挙げられます。せっかく腐葉土など必要なものを揃えても、使い方を誤れば意味がありません。ニンニク栽培の土作りの仕方で特に注意したいのが、苦土石灰の扱い方です。苦土石灰は土の酸度を和らげる効果がありますが、入れ過ぎるとアルカリ性に傾くため注意しましょう。
ボタニ子
強い酸性土壌もアルカリ性土壌も、ニンニクには育ちづらい土よ。生育不良が起きるの!
ニンニクのプランター栽培【植え付け】
ニンニクの植え付けは秋ですが、栽培する環境によって若干時期が異なります。ニンニクは暑さが苦手で夏越しの際に腐る危険性が高です。温暖な地域では残暑が過ぎ去った10月中旬~11月上旬を目安に植え付けましょう。また、寒いと育成が悪くなるため、冬前に根を張らせる必要があります。寒冷地では9月中には植え付けを済ませてください。
植え付けの手順
手順①種球を1片ずつにばらす
ニンニクは丸ごとではなく、1片ずつ分けて植え付けます。外皮を剥いて、1片ごとにばらしていきましょう。薄皮を剥かずに植えると、外からの湿気の影響を受けにくく失敗が減ります。薄皮は剥いても構いませんが、土からの影響を受けやすく、傷みや寒害にあう可能性が高まるため避けたほうが安心です。
手順②プランターに用土の準備をする
プランターの中に鉢底石を敷いて、用意していた用土入れましょう。用土の量は、ウォータースペース確保のためにも、プランターの上から2~3cmの高さを目安にしてください。一気に土を入れるやり方のほかに、プランターの半分の高さまで土を入れ、種球を植え付け、土をかぶせる方法もあります。
手順③種球の大きさにあわせて穴をあける
土の表面に、横に2本平行線を描くように溝を作りましょう。それぞれの線上に、株間が10cm程度、深さ5cmの穴を開けます。1つの線上に種球が3~4個ずつ並ぶのを目安にしてください。種球を直接土に押し当ててグリグリと植え付ける方法もありますが、種球に傷が入り生育に悪影響を及ぼす危険性があるため控えたほうがよいでしょう。
手順④種球を植え付ける
③で開けた穴に、種球の尖ったほうを上にして1つずつ入れていきます。向きを間違うと発芽しなかったり変形したりするため、十分注意してください。種球を入れ終わったら、上から土をかぶせ、手のひらで軽く押して落ち着かせましょう。
手順⑤水やりする
植え付けが終わったら、最後に水やりをしましょう。加湿を嫌うため、植え付け以降は発芽するまで水やりはしません。発芽までの間に極度に乾燥しないためにも、植え付け時にたっぷりと水やりしてください。
ボタニ子
次は、ニンニクのプランター栽培するときの肥料の与え方について説明するよ!
ニンニクのプランター栽培【肥料】
元肥
市販の肥料入り培養土を使う場合以外は、元肥の準備が必要です。元肥には化成肥料を使いましょう。用土10Lあたりに化成肥料約20gを目安に混ぜ込みます。窒素、リン酸、カリがほぼ同じ分量入っているものがおすすめです。
追肥
ニンニクを大きく育てるには、追肥が欠かせません。元肥と同じように化成肥料を使いましょう。化成肥料には粒状のものと液状のものがありますが、どちらを使っても構いません。ただし、扱い方が異なるため、追肥の仕方に気をつけてください。
追肥の時期
追肥の時期は、粒状タイプを使うなら「植え付けの3カ月後」「初回追肥の2カ月後」「2回目の追肥の1カ月後」の3回です。温暖な地域は「12月、2月、3月」、寒冷地は「12月下旬~1月上旬」「2月下旬~3月下旬」「3月下旬~4月下旬」にあたります。液状のものを使うときは、植え付け1カ月後から月に1回、3月まで与えましょう。
追肥の仕方
1つのプランターに化成肥料5~7gの量を目安に、株まわりにパラパラとまきましょう。追肥の2回目と3回目の追肥後に土を株元に寄せる作業をすると、株倒れを防げます。液体肥料を使う場合は、決められた濃度かそれよりも薄めに希釈して与えてください。濃すぎると肥料焼けをおこすため注意が必要です。
ニンニクのプランター栽培【日常管理】
管理①置き場所
ニンニクの成長を促し実を大きく育てるには、置き場所に気をつけましょう。植え付けから発芽までは、種球が腐るのを防ぐためにも、半日陰で涼しい場所に置く必要があります。芽が出たら、日当たりと風通しのよい場所で管理してください。日を浴びることで、ニンニクの成長を促せます。
管理②水やり
ニンニクを大きく育てるには、発芽後の水やりの仕方が大切です。多湿を嫌うため乾燥気味に育てます。土表面だけでなく、指を土の中に差し込んで乾燥状態を確認し、乾いていたらたっぷり水やりしてください。冬は成長が遅くなるため、水やりは控えめにしましょう。
管理③摘蕾(てきらい)
摘蕾とは、花芽を摘み取ることをいいます。主にニンニクを大きくすることを目的とした作業です。あまり花芽が小さい時期に摘蕾すると、成長点に傷をつけてしまう恐れがあるため、葉と同じくらいに芽が大きく育つまで待ちましょう。摘蕾の仕方は簡単で、手でつかんで上に引っ張るかポキッと折るだけです。
摘蕾しないとどうなりますか?
摘蕾しないと、ニンニクは「とう立ち」を起こします。とう立ちとは、生殖成長が止まることを意味し、ニンニクの実はそれ以上大きく育ちません。摘蕾した芽は、ニンニクの芽として食べられます。
管理④増やし方
ニンニクの増やし方は簡単で、収穫したニンニクを種球として保管し、植え付けるだけです。増やし方のコツは種球の保管の仕方にあります。夏に採れたニンニクを種球として使うなら、秋の植え付けまで高温多湿状態で腐らせないように注意しましょう。植え付けに適した状態を保つためにも、通気性が確保できるネットに入れて、風通しのよい冷暗所で管理してください。
ボタニ子
冷蔵庫や冷凍庫で保管すると発芽能力が弱まるんだって。北海道のような寒冷地では冬に外で保管するのは危険かも。室内で保管してね!
種球を使う以外に増やし方はありますか?
ニンニクには種球を使う以外の増やし方はありません。ただし、ジャンボニンニクに限っては、鱗片の下に「木子(きご)」と呼ばれる種のようなものができるため、木子を使った増やし方も可能です。木子を使った栽培の仕方は、種球と同じです。
ニンニクのプランター栽培【収穫】
ニンニクは、「地上部の葉の色が8割ほど黄色になったとき」が収穫の最適期です。株元の茎を手で掘り、上に引っ張り上げましょう。簡単に引き抜けないときは、まだ収穫時期ではありません。用土が湿っていると収穫しにくいため、収穫前は水やりをストップして乾燥させるのがコツです。
収穫後のニンニクの保管の仕方
収穫後は根は切り落とし、茎はついたままの状態で2~3日乾燥させてください。乾燥後は茎を切ってネットに入れ、冷暗所か冷蔵庫の野菜室で保管しましょう。乾燥させても内部が湿っているものは、収穫時期が早すぎた可能性が高いです。保管せずに早めに食べきることをおすすめします。
ニンニクのプランター栽培での注意点
注意点①害虫
家庭菜園で育てるニンニクには害虫がつきにくいため、害虫対策は特に必要ありません。強いて挙げるならば「ネギアブラムシ」に気をつけましょう。アブラムシは増えやすく、吸汁加害します。見つけ次第すぐに取り除いてください。
オルトラン水和剤【住友化学園芸】
住友化学園芸 殺虫剤 家庭園芸用GFオルトラン水和剤
参考価格: 800円
オルトラン水和剤は、水で薄めて使うタイプの殺虫剤です。葉や茎から吸収された薬剤は植物全体に行き渡り、散布部分だけでなく広範囲への効果が期待できます。目につく害虫はもちろん、散布後に発生した害虫にも効き目があり、家庭菜園での害虫防除薬としても使えます。
容量 | 1g×10袋 |
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対象害虫 | アブラムシ、カイガラムシ、ハマキムシなど |
有効成分 | アセテート |
注意点②病気
害虫と同様に、家庭菜園で育てるニンニクは病気にかかりにくいですが、「さび病」や「モザイク病」に気をつけましょう。加湿やアブラムシなどの害虫を介して感染する病気のため、通気性をよくし、害虫駆除を心がけてください。
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ダウ・アグロサイエンス 殺菌剤 ジマンダイセンフロアブル
参考価格: 1,043円
ジマンダイセンフロアブルは、植物に付着して胞子の発芽を強く抑制し、病原菌の侵入を阻害して殺菌する保護殺菌剤です。殺菌効果が高いにもかかわらず、マルハナバチやミツバチなどの有用昆虫に対する影響が少ない点も魅力です。予防効果の高い薬剤のため、病気が発生する前に予防措置として散布しておくことをおすすめします。
内容量 | 500mL |
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対象の病気 | さび病、ベト病、疫病など |
有効成分 | マンセブ |
注意点③連作障害
プランターでニンニクを栽培する際、同じ土を使いまわすことで起こる連作障害に注意しましょう。基本的に、ニンニクは連作障害を起こしにくい植物です。しかし、同じユリ科の植物を植えた後に同じ場所に植え付けすると、連作障害を起こすことがあります。同じ土を使ってユリ科の植物を育てるのは、避けたほうが無難です。
ボタニ子
ユリ科にはタマネギやニラがあるよ!家庭菜園で連作するときは用土を替えようね!
プランターを使ってニンニクの家庭菜園にチャレンジ!
ニンニクは、環境に適した品種を選んで道具を揃えれば、気軽に家庭菜園で楽しめる野菜です。北海道のような寒い地域でも沖縄のような暖かい場所でも、コツを知っておけば失敗なく栽培できます。増やし方も簡単で手間がかからないため、通年栽培を楽しめるのも魅力です。プランターでのニンニク栽培にぜひ挑戦してみてくださいね。
種球は、小ぶりなものや傷がついているものはウイルス感染している可能性が高いよ!選ぶときは注意してね!