ササ(笹)はタケ(竹)の仲間で、古くから生垣や和風庭園の庭木として親しまれてきました。植物としての歴史が古く、縄文時代にはすでに日本で生息していたことが確認されています。庭木のほか、ザルやカゴなど生活用品の材料としても、古い昔から用いられてきました。一方で、生態についてはよくわかっていない点が多い植物です。
科名 | イネ科イネ亜科 |
原産地 | 日本 |
草丈・樹高 | 0.2m~5m(種類によって異なる) |
形態 | 常緑または半落葉多年草 |
開花時期 | 不定期 |
花の色 | 白、黄緑、褐色など複数 |
ササは細長く伸びた葉が美しい植物です。タケの仲間のなかでは草丈が低いことから、和風の生垣や玄関のアプローチなどによく利用されています。一方で花は地味です。しかもササの花は開花周期が不定期で、数十年に一度しか開花しません。ササの生態には不明な点が多くありますが、開花周期もその一つです。
ササの花言葉は「ささやかな幸せ」「節度」「節操のある」です。「ささやかな幸せ」は、ササが縁起物の植物を表す「松竹梅」で、竹(タケ)の代用となる場合が多いことと、タケに比べて小ぶりな植物であることからつけられました。「節度」「節操のある」はタケの花言葉でもあります。タケと同じく茎に節(ふし)があることが由来です。
ササはブナ林の林床として生息することが多いです。ブナ林の林床になるササの種類は地域によって異なるという特徴があり、太平洋側はスズタケ、日本海側はチシマザサが多くを占めています。また、河川周辺や道端、森林の伐採地にササが群生する例も日本各地で見られます。ササは繁殖力が高く群生する性質があり、適度な規模の群生なら土砂の崩落を防ぐ効果があるためです。
ササは地下茎で増殖する植物です。地中に伸びた地下茎が、どんどん新しい茎を生やします。このため短期間で密集した群落を形成します。一面に繁殖したササの群落は「笹原」と呼びます。ササは放っておくと藪となる植物です。ササの藪は小動物の隠れ家や昆虫の食草となる場合もあります。
ササは地下茎で増えるうえに地上部の成長も早いため、繁殖スピードがすさまじい植物です。ササが繁殖し過ぎると地中の水分を吸収して土をカラカラにしたり、成長した地上部がほかの植物の光合成を妨げてしまったりと、自然環境を破壊する恐れがあります。実際に北海道の大雪山や本州の立山や白山などで、ササの繁殖によって高山植物の生存がおびやかされる事態が発生しました。
ササの駆除方法として、農薬や除草剤などの薬剤による駆除があげられます。ササは地下茎で増えるため、根ごと枯らさないと効果がありません。薬剤による駆除の場合は、ササ専用の除草剤、もしくは効き目の強い除草剤が必要です。駆除方法はササの根元付近に穴をあけ、そこへ除草剤を直接注入してからガムテープでふさぎます。この作業を約1年間、定期的に数回繰り返しましょう。
ササを駆除するのに薬剤を使用したくない場合は、熱湯と塩でも駆除が可能です。やり方は難しくありません。ササに直接熱湯をかけ、その後根に塩をまきます。熱湯にはササのタンパク質を破壊し、養分を行き渡らせられなくなる効果があります。加えて根の水分吸収を妨げる効果を持つ塩で根を枯らすのです。しかし、塩をまくと周囲の植物まで枯らしてしまうため、使用する際は注意しましょう。
ササの予防・駆除の適期は9月~12月です。一年中緑をたもつササですが、生育旺盛な時期と鈍る時期があります。ササの生育旺盛な時期は6月~8月、生育が鈍る時期は9月~12月です。生育旺盛な時期に駆除してもすぐに再生してしまうため、生育が鈍る9月~12月が予防・駆除の適期にあたります。ササに限らず厄介な雑草を確実に退治するには、生育の鈍る時期に的確に処理するのが効果的です。
クマザサ(隈笹) 苗
参考価格: 1,115円
クマザサはササの大型品種です。1m~2mに成長します。漢字で「熊笹」と表記されることがありますが、「隈笹」が正しい表記です。名前も、葉の縁に隈取りのような白い斑模様が入る特徴からきています。葉の美しさから庭木のほか、料理の装飾に利用されることも多い品種です。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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コグマザサ10.5cmポット
参考価格: 216円
コグマザサはクマザサの小型品種です。耐寒性が高く冬でも小さな緑葉をたもつこと、草丈が低くて扱いやすいことから、グランドカバーや盆栽の植え込み材によく利用されています。草丈が低いといっても、放っておくと成長するので低く仕立てたい場合は、毎年の3月~4月に強剪定しましょう。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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アケボノザサ 10.5cmポット
参考価格: 880円
アケボノザサは草丈が低く、小ぶりな姿が特徴の園芸品種です。名前は春~夏にかけて変わる若葉の色に由来しています。アケボノザサの若葉は春先は薄紫を帯びた白色ですが、夏以降は緑色に変わります。この葉色を「春の曙(あけぼの)」にたとえました。20cm~50cmと低めの草丈をいかし、樹木の下草として利用されています。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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ササの葉は古くから飾りとして利用されてきました。特に有名なのが七夕飾りです。また、ササの葉には防腐作用があります。それを利用して料理や食材、特に保存食を包むときにも用いられていました。代表的なものに富山県の郷土料理である鱒寿司(ますずし)、ちまきなどがあります。
クマザサは古くから胃腸病や高血圧の薬草として用いられてきました。現在も乾燥した葉を煎じたクマザサ茶、成分を抽出して作るクマザサエキスなど加工食品が数多く流通しています。
新クマザサピュアパウダー
新クマザサピュアパウダー 国産
参考価格: 2,980円
クマザサを粉末加工した商品です。クマザサパウダーは水や牛乳に溶かして青汁として飲むのが一般的です。きめ細かいパウダーなので、料理やお菓子にも利用できます。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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野菜の苗ネマガリダケ3.5号ポット
参考価格: 932円
チシマザサは1.5m~3mに成長するササの大型種です。茎の基部が弓のように曲がっている特徴から「ネマガリダケ(根曲がり竹)」とも呼ばれています。ササの仲間のなかでも、特に北部の地域に分布している種類です。おもに北海道、東北地方、鳥取県以北の日本海側、千島列島南部の産地に群生しています。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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モウソウチク 2.5m露地 1本
参考価格: 26,180円
タケはササと同じイネ科イネ亜科の植物で、見た目は非常によく似ています。非常に生命力と繁殖力が強い性質を「退治するのが難しい雑草」として問題視されている点も同じです。一般にはタケと比べて、ササは草丈が低い品種が多いことから大型種をタケ、小型種をササと呼んでいます。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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タケとササの見分け方は、成長後の皮、葉脈、枝の様子に注目することです。タケは成長するごとに皮がはがれて茎がツルツルになるのに対して、ササは枯れるまで皮が残ります。また葉脈はタケが格子状になっているのに対して、ササの葉脈は平行です。茎の節から出る枝の本数はタケが2本で、ササは5本~6本になります。
性質面でのタケとササの違いは耐寒性です。ササは耐寒性があり、寒冷地でも育ちます。千島列島など寒冷地に分布するチシマザサは「ネマガリダケ」という別名を持ちますが、タケではなくササの仲間です。一方タケは耐寒性が低く、寒冷地では育ちません。