除草剤ってなに?
手作業では処理が難しい雑草ですが、作物の栽培や美観のためには定期的な除草が必要です。そこで作業の効率化に便利なのが除草剤です。
手間なく雑草を駆除
製品によって効果はありますが、雑草処理の手間が省けることは共通しています。面積が広ければ作業量も多いですし、駆除してもすぐに生えてしまうので、作業を繰り返さなければなりません。こうした手間が省けるのが除草剤のメリットです。
駆除が難しいスギナもOK
春先に土筆(つくし)をつけるスギナは、駆除が難しい雑草の代表格です。地中に広く根を伸ばすので、手作業で草むしりをしても完全に駆除するのはほぼ不可能です。また農薬によっても効果の有無は違います。ただし駆除が難しい雑草用の農薬が使われていれば、除草剤での完全駆除が可能です。
種類が豊富
雑草の駆除が必要な分野は、農業だけとは限りません。ゴルフ場や公園の芝生なども、定期的に管理をしなければ景観が悪くなります。またガーデニングや家庭栽培のブームにより、一般家庭でも雑草の駆除に使われることが増えました。そのため製品の種類も、業務用から家庭用までバリエーションが豊富です。
除草剤に含まれる成分が違う
農薬や登録の有無に関係なく、除草剤にはそれぞれ雑草を枯らすための成分が使われています。成分の特徴によって効果・使い方・残効などが異なりますので、目的にあった成分が含まれているか確認するのがポイントです。
成分①光合成を妨害する
雑草に限らず植物は、光合成によって葉や茎を伸ばします。そのため除草剤には、植物の光合成を抑える成分が含まれます。
成分②生長を妨害する
雑草の食物ホルモンにはオーキシンやジベレリンなどがありますが、ホルモン量が少しでも変わると植物の変形・奇形がおこり枯れてしまいます。その作用を利用した成分も除草剤には使われます。
成分③老化をスピードアップさせる
植物が枯れる理由には老化も関係します。そこで除草剤に使われる薬剤には、植物の老化を加速させる成分もあります。
成分④栄養を作らせない
植物は栄養となるアミノ酸と脂肪酸を作り生長しますが、生合成ができなければ枯れてしまいます。そのため除草剤には、アミノ酸や脂肪酸を生合成できないように妨害する成分があります。
成分⑤発芽させない
雑草は生命力が強くどんな場所でも発芽できるため、除草剤には雑草の発芽を抑える成分を使い雑草を駆除します。
除草剤のデメリット
重労働から解放されるだけでなく作業時間も大幅にカットできる除草剤ですが、人工的に作られた薬剤ですから、少なからずデメリットもあります。
選び方が難しい
種類が豊富なことがメリットなのですが、選択肢が多いため目的にあった製品を探すのが大変です。ただし目的にあっていない製品では期待した効果が得られないだけでなく、場合によっては作物が枯れたり残効が起こることもあります。
使い続けたときの残効は?
農薬は人工的に作られた化学薬品ですので、残効の可能性は少なからずあります。もちろん残効を起こさない製品も開発されていますが、規定をを守らなければ残効が起こる可能性もあります。
使える場所に規定がある
雑草は農耕地・非農耕地に限らず生えてきますし、繁殖力も強いのでわずかなスペースがあればどんどん成長していきます。ただし除草剤として区別する際は農耕地と非農耕地に分類され、雑草の種類ではなく散布する場所によって使える製品に制限が設けられています。
規制する法律もある
そもそも除草剤は、農作業の効率化と作物の安全のために開発されました。そのため除草剤の中には、人間や環境に害を与える農薬などの化学薬品が使われています。そこで製造・販売・使用を規制するための法律があり、規定を守らない場合は厳しい罰則があります。
農耕地用とは?
「農耕地用」と指定された製品は、田んぼや畑のみで使用できます。なお田んぼや畑の畔も、農耕地に分類されます。
非農耕地用とは?
非農耕地用とは「作物・植物を栽培しない土地」のことなので、道路・庭・ガレージのほかにも線路やゴルフ場なども非農耕地に分類されます。なお農薬を含む製品と農薬を含まない製品があり、それぞれで使用できる場所が決まっています。
効果が出る速さが違う
製品によって使われる成分が異なる除草剤は、効果が現れる速さにも違いがあります。速さを優先するなら即効タイプがおすすめですが、雑草の種類や使う場所によっては効果がゆっく現れるタイプの方が適していることもあります。
次のページでは、除草剤の種類についてくわしく解説します。