除草で塩がおすすめできないのはなぜ?
草むしりによる雑草駆除対策は負担が大きすぎる、除草剤は使いたくない、そんな方に、どうしてもという場合に限って塩(塩化ナトリウム)を使う方法があります。塩はどこの家庭の台所にもある調味料です。塩ならば肌に付着しても、ペットがなめても安全です。しかし、一見安全性が高く見える塩が思わぬ大問題を引き起こすことがあります。畑や庭に塩を撒くとどのような問題が起きるのでしょうか。
塩を使った除草の方法
塩を使った除草はとても簡単です。とは言え大変な問題を引き起こすため、気軽に試すのはやめてください。とても簡単な方法ですし、人体やペットに悪影響がないという意味では安全だと勘違いしてしまいそうになります。身近な存在にとって安全であることは環境にとっても安全とは限りません。絶対に試してはいけませんが、塩による雑草駆除の方法を紹介します。
塩をそのまま使う方法
単純に除草したい庭に塩を撒く、それだけで効果があります。塩を水に溶かして塩水を作り撒く方法もあります。除草効果が高く、塩や塩水を撒いた2~3日後には驚くほど雑草を駆除することができます。塩はとても身近なものなので、ペットがなめてもほとんど害はありません。小さいお子さんがいるご家庭でも、人体に悪影響がない塩ならば安心と思ってしまいますね。
塩水を使う除草剤の作り方と方法
そのまま庭に塩を撒くのではなく、塩を水に溶かして塩水を作る場合、海水と同程度(またはそれ以上の濃度)の塩分濃度の塩水を用意しましょう。塩水の作り方は以下の通りです。使う塩は食用の塩でなくとも、除草用の塩(除草塩)という専用の商品があります。作った塩水を除草したい場所に撒けば作業完了です。
海水と同程度の塩水の作り方
- 海水の塩分濃度は約30%と言われています。1Lの水に対し30gの塩(除草塩)を入れてよく溶かします。
塩で除草ができるメカニズム
塩は塩化ナトリウムでできています。土壌に塩化ナトリウムが入ると蓄積する特徴があります。塩が水に溶けると、塩化イオンとナトリウムイオンに分かれます。塩分濃度の高くなった土壌に植えられた植物は浸透圧差で水分が土壌に排出されて脱水状態になります。同時に植物の体内に入った過剰なナトリウムイオンは植物に毒性があり枯れてしまうのです。
塩による除草のメリット・デメリット
メリット
除草塩による除草は人体やペットにとって安全です。もし手に付着しても、あやまってなめてしまっても大きな害にはなりません。事情があって薬剤を使った除草ができない、草むしりができない、近所に誰も住んでいない等、この後に説明する問題が起きても大丈夫という方にかぎり、塩による除草を行ってもいいのかもしれません。
デメリット
塩を使った除草はメリットだけでなくデメリットもあります。庭や畑の広さにもよりますが、雑草が枯れるほどの効果が出る量の塩を撒くと予想以上にお金がかかることです。それ以上に問題なのが、庭に撒いた塩分が土壌に蓄積してしまうことです。塩分は土壌で分解されにくい特徴があり、次に何か植えて育てたいと思った時に植物が育てることができません。これを塩害といいます。
ボタニ子
次ページから塩を使った除草による「塩害」について紹介します。