ミヤコワスレは、4月〜6月にかけて紫色や白色の花を咲かせる多年草です。江戸時代から栽培されている山野草で、日本では茶室に生ける「茶花(ちゃばな)」として古くから親しまれています。
園芸部類 | 草花、山野草 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 20cm〜70cm |
花の色 | 白、ピンク、紫、青 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 切り花、花壇の寄せ植え、シェードガーデン |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ミヤコワスレは「ミヤナヨメナ」という植物から改良された園芸品種です。4月〜6月の開花時期が終わると、葉がロゼット状になります。草丈が70cmほどまで大きく成長するため、シェードガーデンとして育てるのもおすすめです。
ミヤコワスレは漢字で「都忘れ」と表記されます。鎌倉時代、承久の乱に敗北して島流しにあった順徳天皇が、ミヤコワスレの花を見ながら故郷(都)に思いをはせていたという言い伝えから「都忘れ(ミヤコワスレ)」と名付けられました。
みのる紫は「ミヤコワスレの定番色」ともいわれている、優しい紫色の花を咲かせる品種です。花弁がやや大きめで、切り花としても人気があります。
みのる乙女は、かわいらしいピンク色の花を咲かせる品種です。ミヤコワスレの品種の中でもとくに耐寒性が強く、花が少なくなる冬の花壇に彩りを添えてくれる花としても親しまれています。
植え付け時期 | 5月〜6月、9月〜10月 |
植え替えの時期 | 5月〜6月 |
追肥の時期(鉢植えのみ) | 3月〜6月 |
剪定の時期 | 3月〜5月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月〜6月 |
ミヤコワスレは地植えでも鉢植えでも育てられます。地植えにする場合は、草丈が高く成長するので、ほかの花の背景になるように植え付けるのがおすすめです。プランターや鉢植えにする場合は、株が横にも大きく広がる点を考慮し、株間を15cm〜20cmほどあけて植え付けましょう。
ミヤコワスレは、日当たりと風通しのよい場所で育てましょう。日当たりの悪い場所で育てると、茎だけがひょろひょろと間延びして、草姿が乱れてしまいます。耐暑性がやや弱いため、地植えの場合は木の陰などの半日陰に植え付けましょう。夏場の直射日光に長く当たると葉焼けを起こして枯れてしまいます。鉢植えの場合は軒下へ移動させてください。
ミヤコワスレは、排水性の高い用土を使用して育てます。市販されている「草花用培養土」や「山野草用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土と腐葉土を混ぜ込んでから、少量のピートモスを加えた用土を使用してください。地植えにする場所の水はけが悪いようならば、川砂や腐葉土をよく混ぜ込んでから植え付けましょう。
ミヤコワスレを地植えで育てている場合は、降雨のみで十分なため水やりの必要はありません。プランターや鉢植えの場合は、土の表面が乾ききってから水やりをします。ミヤコワスレは多湿を嫌うため、受け皿に溜まった水はすぐに捨てて、土の湿度が高くならないように管理しましょう。水の与えすぎは、根腐れを起こして枯れる原因になります。
地植えの場合は、植え付けの用土に元肥として緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおけば、追肥の必要はありません。鉢植えの場合は3月〜6月にかけて、チッ素、リン酸、カリを同じ分量含んでいる液体肥料を1月に1回〜2回施してください。肥料を与えすぎると、肥料やけを起こして枯れる原因になります。
アブラムシは年間を通して発生しやすい害虫です。集団で寄生する性質があり、ミヤコワスレの成長に必要な栄養分を吸汁します。数が少ない場合はガムテープなどに貼り付けて駆除しますが、大量発生した場合はすぐに殺虫剤を散布してください。
灰色カビ病は、ジメジメとした梅雨時期に発生しやすいカビが原因の病気です。感染した部分が灰色の楕円形状に変色するのが特徴で、放っておくと腐敗が始まり悪臭を放つようになります。灰色カビ病に感染した部分は薬剤を散布しても治せないので、早めに切り取って処分しましょう。
花後はこまめに花がら摘みをしながら育てます。花がらを放置するとカビが発生し、ミヤコワスレが枯れるため注意しましょう。
ポット苗の状態で購入する場合は、葉がみずみずしく、新芽がたくさんついている苗を選びましょう。茎が徒長していたり、葉が黄色く変色していたりする苗は避けてください。
3月〜5月の成長期にかけて、適度に切り戻し剪定をするのがポイントです。伸びすぎている茎や、葉が込み入っている部分を剪定して草姿を整えていきましょう。
ミヤコワスレは、株分けと挿し木の2つの方法で増やせます。株分けは、大きく育っている株を掘り起こし、根を優しくほぐして簡単に分かれる部分で株分けしていきましょう。挿し木は、若くて健康な茎を選び、先端から15cmほどの長さで切り取った挿し穂を赤玉土に挿していきます。発根するまでは、風通しのよい日陰で管理してください。
出典:写真AC