園芸部類 | 野菜 |
形態 | 二年草 |
草丈 | 地上部30cm |
花の色 | 白、淡紫 |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
根菜類の代表として親しまれているダイコンは、煮物や汁物、漬物やサラダなど、幅広い料理に使われる野菜です。品種も多く、種まきも春・夏・秋と年に3回できます。ただ基本的には冷涼な気候を好み、暑さは苦手なため、初心者は秋に種を撒いて育てるほうが病虫害が少なく、栽培管理も簡単です。季節ごとの栽培に適した品種も多いので、栽培する季節にあった品種を選びましょう。
青首ダイコンはダイコンの中でも代表的な種類で、現在市場に出回っているダイコンの約9割を占めています。成長すると根の上部が地上に飛び出し、その部分に日光が当たって葉緑体ができるため青くなるのが特徴です。この青い部分が地面から出ているため、収穫しやすいというメリットがあります。また、青くなっている部分は甘味が強く、根の下部は辛みがあり、葉にもたくさんの栄養が含まれています。
ミニダイコンは、青首ダイコンの半分ほどの長さのダイコンで、その短さからプランターや小さい畑でも栽培できます。根だけでなく、葉も小さいことも特徴です。また、小さいながら味もしっかりとダイコンの味で、ほんのりとした甘みの後にダイコン特有の辛みが感じられます。
ダイコンは、春・夏・秋と、3つの季節で種まき・植え付けが可能な野菜です。ここでは、一般的にダイコンの栽培適期とされる「秋まき」の栽培について紹介します。
種まき時期 | 9月 |
植え付け時期 | 9月~10月 |
収穫時期 | 11月~12月 |
花が咲く時期 | 4月~5月 |
ダイコンの栽培適期は秋~冬にかけての寒い季節です。ダイコンは基本的に冷涼な気候を好むため、寒い時期に栽培したほうが病虫害の心配が少なく、安心して育てられます。高原など、夏場でも涼しい気候の地域は夏でも栽培できますが、それ以外の地域では寒い季節の栽培をおすすめします。
ダイコンは地中深く伸びるため、基本的には露地栽培が適しています。家庭菜園でダイコンを栽培したいときは、深さのあるコンテナを使いましょう。また長さの短いミニダイコンであれば、プランターでも栽培できます。
ダイコンは基本的に屋外で育てます。
ダイコンは日当たりがよく、風通しのいい場所を好みます。日当たりが悪いと根が十分に育たず、不作となるので注意が必要です。
ダイコンは連作障害の出にくい野菜ですが、同じ場所で2年~3年育てていると、連作障害が発生する場合があります。もし連作障害が発生すれば、同じ場所で数年はアブラナ科の野菜の栽培は控えましょう。
ダイコンの育て方の中でも、特に重要なのが土づくりです。
ダイコンを栽培するときに畝は必須です。まず、畝を立てる前に、栽培する場所を深さ40cm~50cmの深さに耕し、小石などの不純物を取り除きます。土が固い場合は、耕して土を柔らかくしておきましょう。土が十分に柔らかくなったら、幅60cmの畝を作り、表面を平らにします。
ダイコンは地中に向かって伸びていくので、成長しやすいように用土は柔らかくして、不純物を取り除いておく必要があります。土づくりをていねいにしておかないと、ダイコンはまっすぐに生育しません。露地栽培であれば、腐葉土などを混ぜ込むなどして土壌改良をしておきましょう。またプランターでミニダイコンを育てる場合は、市販の野菜用の培養土がおすすめです。
畝を立てたら、30cm間隔で種を撒きます。指でくぼみを作り、そこに種を3、4粒撒きます。そして土をかけ、手で軽く土を抑えれば播種は完了です。種まきの注意点は、雨が降らない日が続くときに行うことです。種まきをした後に強い雨が降ると、種が土中に潜ったり流されたりして、うまく発芽しないことがあります。種まきの前は、必ず天気予報をチェックしましょう。
発芽までは、地面が乾かないようにすることが重要です。発芽時に水分が不足していると芽は弱ってしまい、害虫の被害を受けやすくなります。
ダイコンは養分の吸収力がかなり強い野菜なので、元肥を与えなくても育ちます。ただし、確実に大きくしたい場合は元肥を施しましょう。元肥は種まきの1~2週間前に、完熟した堆肥や油粕、米ぬかなどの有機肥料を与えます。
ダイコンは苗を移植しても栽培できます。しかし、ダイコンのような根菜類で移植をすると、二又や三又に分かれてしまう可能性が高くなります。そのため、ダイコンは直播きで栽培されることが一般的です。
種が発芽するまでは、地面を乾かさないように水やりすることがポイントです。発芽後も地面が乾いていたらたっぷりと水やりします。
ダイコン栽培では、通常3回の間引きが必要です。1回目は発芽がそろったタイミングで、形の悪いものや生育の悪いものを間引きます。2回目は本葉が出たタイミングで、葉の形が変形したものを間引きます。このとき、ほかの苗を倒さないように注意しましょう。3回目は本葉が6~7枚になったタイミングで、1か所に1本になるように間引きます。まっすぐ育っているものや形のよいものを選びましょう。
秋に種をまく場合は、マルチングをしなくてもダイコンは育ちます。冬場はあまり雑草も生えないため、秋撒きでダイコンを栽培する場合はマルチングは必要ありません。一方で、春撒きや夏撒きで育てる場合は、アブラムシ対策としてシルバーポリマルチを使います。
追肥をするタイミングは、2回目の間引きが終わったときです。株から少し離れた位置に化成肥料を撒き、土と軽く混ぜ合わせます。このとき、間引かれなかった苗が倒れやすくなっているので、追肥と一緒に土寄せも行います。ダイコンの周囲から土をまんべんなく寄せ、土の表面を平らにしておきましょう。
種まきや幼苗のときに、水不足か過失になることで発生します。水管理に注意しましょう。
モザイク病が原因と考えられます。原因となるアブラムシを駆除するなど、日頃から予防に努めましょう。
ホウ素不足によって発生するサメハダ病です。窒素肥料の過剰や土壌pHが適切でない場合にホウ素の吸収が妨げられて発生します。日頃から肥料を与えすぎないなどの管理が重要です。
モザイク病は、主にアブラムシによって広がるウイルス性の病気です。葉全体に黄色のモザイク状の斑点が発生し、生育不良を起こします。とくに、幼苗のときに発生すると、株全体が委縮して、根がまったく太りません。対策としては、防虫ネットを使って病気の原因となるアブラムシを防除します。
雨や風によってダイコンの茎や葉に傷ができ、そこから細菌が侵入することで発生します。最初は葉に黒い斑点ができ、その黒点は根まで広がります。対策は、バランスのとれた施肥と水はけのよい土づくりです。また、茎や葉が傷んでいたら、殺菌剤を使って防除することも有効です。
その他の病気 | |
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白さび病 | 皮に円形状の白さびが発生し、肥大してくると縦割れにつながる。 |
赤芯病 | 高温障害で、生育後半に地温が22℃以上の高温が続くと根の内部が赤褐色に変色する。シルバーポリマルチを使うなどして、地温を上げないようにする。 |
アブラムシは繁殖力が強く、モザイク病などの病気の原因となるため、ダイコン栽培では特に注意が必要です。防虫シートによる防除や、粘着テープで捕殺するなどして対策しましょう。
青虫は食害の主な原因で、対策をしていないと葉がどんどん減っていきます。見つけ次第捕殺するか、殺虫剤を散布して対策しましょう。
その他の害虫 | |
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ヨトウムシ | 葉の裏に集団で生活しており、葉を食害する。成長するとバラバラになるため、集団のうちに捕殺するか、殺虫剤を散布して対処。 |
コナガ | ガの仲間で、幼虫が葉を食害する。発見次第捕殺するか、露地栽培の場合は寒冷紗で産卵を防ぐことも有効。 |
ダイコンの花が咲く季節は春です。春になると畑では違う作物が育てられているため、ダイコンの花を見かけることはほとんどありません。もしダイコンの花を見かけることがあれば、それは種を採取するためでしょう。また、花の咲く前の蕾の状態だと、ダイコンの花は食べられます。