バジルはインドを中心とした熱帯アジアが原産で、夏のハーブの王様です。気温が上がると元気に育ちます。みずみずしい緑の葉のスパイシーな香りが、大いに食欲をそそるでしょう。
園芸部類 | ハーブ |
形態 | 一年草・多年草 |
樹高・草丈 | 30~60cm |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 料理・薬用 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
バジルは暑さが大好きなハーブです。暑い原産地では木質化して茎も太くなり、多年草として扱われています。暑さに強い反面、15℃以下では生育が悪くなります。そのため、日本では一年草として扱われるのが一般的です。また、葉は光沢のある緑色でよく分岐し、夏から秋にかけてシソに似た白い花を咲かせます。バジルの葉は初夏~晩秋まで収穫できます。
バジルは、古くから薬用として利用されてきました。以下は、期待される効果です。
抗酸化作用によるアンチエイジング効果 |
胃腸の働きを改善 |
自律神経を整える |
殺菌作用 |
一般的にバジルと呼ばれているのは「スイートバジル」ですが、聖なる植物としてヒンドゥー教徒が大切にしている「トゥルシー(=ホーリーバジル)」などたくさんの種類があります。
楕円形の広めの葉が特徴のスイートバジルは、初夏から晩秋にかけてたくさん収穫できます。スパイシーな香りが際立つバジルです。
ヒンドゥー教徒にとってホーリーバジルは聖なる植物です。ホーリーバジルは濃厚で甘い香りが特徴で、強い免疫作用があるとされます。タイ料理の「ガパオライス」に添えるバジルとして知られています。
シナモンバジルの葉には、シナモンに似た強い香りがあります。茎やがくが紫色を帯びているのが特徴です。甘い香りをいかしてハーブティーやデザートなどに利用されている注目のバジルです。
ブッシュバジルは、スイートバジルの葉を小型にしたようなバジルです。よく枝分かれして小さめの葉をたくさんつけます。使い方はスイートバジルと同じで、イタリア料理にかかせません。
ヴァイオレット・アロマティコは紫系のバジルで、葉がやわらかく色があざやかで甘い香りがします。サラダのトッピングに利用すると食卓が華やぎます。
種まきの時期 | 5~8月 |
植え付けの時期 | 5~9月 |
挿し木・挿し芽の時期 | 6~9月 |
剪定の時期 | 5~9月 |
収穫時期 | 7~10月 |
バジルの発芽適温は20~25℃です。遅霜のおそれがなくなり、5月に入り気温が安定してきたら種まきができます。
バジルの栽培環境で適しているのは日当たりのよさです。太陽が味方といえるため、できるだけ日当たりが確保できる環境を選びます。
バジルは路地植えだけでなく、鉢やプランターでも栽培可能です。いずれの場合も、一日中日が当たる場所で育てましょう。西日が当たっても構いません。
バジルは基本的には屋外の日当たりがよい場所で管理しますが、例外的に室内の水耕栽培も可能です。水耕栽培の場合は、屋内の日当たりがよい場所で管理します。
室内 | 水耕栽培や水挿しで可能 |
屋外 | プランター・鉢植え・露地 |
室内 | 出窓などで日当たりが確保できる場所 |
屋外 | 一日中日当たりがよい場所 |
バジルは長期間収穫するので、肥沃な用土が必要です。ハーブ用の用土より、野菜栽培の用土が適しています。
プランター | 野菜用培養土 |
鉢植え | 野菜用培養土 |
露地 | 畑土50%・堆肥10%・腐葉土20%・鹿沼土20% |
水耕栽培 | 水・ハイドロボール |
表土がやや乾いたらたっぷりと水やりをします。完全に乾きすぎると水切れでバジルが弱るので注意が必要です。
プランター・鉢植え | やや乾いたらたっぷりと水やり |
庭植え | 植え付け直後は水やりが必要 |
水耕栽培 | 藻が生えないように清潔な水替え |
バジルはたくさんの葉を収穫するので、肥料は切れないようにしましょう。植え付け後、1カ月過ぎから定期的に肥料を施します。
プランター・鉢植え | 1カ月後から緩効性肥料と液肥(水やり) |
庭植え | 1カ月後から緩効性肥料を追肥 |
水耕栽培 | 根が出たら週1回の液肥 |
バジルは害虫の食害にあうことが多いので気をつけましょう。ガの幼虫やバッタなどの食害で葉が虫くいだらけになることもあります。幼葉から収穫するので殺虫剤は使いません。
ベニフキノメイガ | 卵からかえって幼虫が食害 |
ヨトウムシ | 卵からかえった幼虫の食害(夜行性) |
ハダニ | 葉から養分を吸う(葉裏に寄生) |
アブラムシ | 茎や葉に寄生して病気の媒介をする |
コガネムシ | 成虫は葉を食害、幼虫は根を食害 |
バッタ | 葉を食害する |
物理的に駆除 | 歯ブラシやテープで取り除く |
防虫ネット | 早めに防虫ネットをはる |
牛乳・石鹸水 | 薄めた牛乳や石鹸水をスプレーし洗い流す |
木酢液 | 害虫がきらい、生育にもよい |
天敵の利用 | てんとう虫を住ませる(アブラムシの天敵) |
バジルはあまり病気にかかりませんが、密植しすぎて風通しがわるいと病気が発生することがあります。
灰カビ病 | 糸状菌が風で飛散し灰白~褐色のカビが生える |
うどん粉病 | うどん粉をまいたような白い班が広がる |
軟腐病 | 黄色のしみが広がり茎が柔らかくなり腐る |
バジルはシソに似た白い花を咲かせます。収穫を長く楽しむなら、花はあきらめましょう。花穂が出てきたらつみとり、花を咲かせないように管理します。晩秋に花後の種をとることもできます。
バジルは気温が20℃になれば、屋外で種まきや植え付けができます。発芽率がよいので、たくさん収穫したいときは種まきをして苗づくりがおすすめです。
5~8月で、気温が20~25℃の時期がバジルの種まきの適期です。
バジルの苗はホームセンターや園芸店で4月ごろから購入できます。3~4号ポットにたくさん苗が出ているものと、1~2本で大きく育っている苗があります。選び方は2通りです。
本葉が数枚出たら、定植したい容器や庭で育てます。
鉢植え | 5~6号鉢に根鉢をくずさず植える |
プランター | 65cmプランターに5~6本植える |
庭植え | 株間を40~50cmあけて植える |
元気な苗だけ育てるつもりで、はさみでカットして間引きます。たくさん苗が密集すると、ひょろひょろと育ち収穫も少なくなります。
バジルの成長に応じて、先端の芽を摘む剪定をします。先端の葉は柔らかいので料理などに利用しながら管理します。株の姿のバランスが悪くなってきたときは、草丈の半分くらいまで切り戻しましょう。
バジルの先端の葉を摘み取る「摘芯」をすると、新しい芽がわきから出て葉数が増え、摘芯した葉も料理などで利用できます。
太陽が好きなハーブのため、夏越しは心配いりません。ただし、直射日光が強すぎると葉が硬くなります。生葉を利用したいときは寒冷紗で日よけをしたり、半日陰(午後)に移動したりするとよいでしょう。
株分け | ポット苗に数本苗が出ているものは1~2本に株分け |
挿し芽 | 摘芯した枝を清潔な用土に挿し芽する |
水挿し | カットした枝をコップなどに挿す(水換えはまめに) |
出典:写真AC