バジルの基礎知識
イタリア料理に欠かせないハーブとして知名度が高いバジルですが、ギリシャ語で『王』を意味するバジルはまさしくハーブ界の王様です。成長が早く繁殖力が高いので初心者でも満足のいく収穫量が期待できます。
バジルとは
バジルの情報
原産地 | 熱帯アジア・インド ほか |
分類 | シソ科メボウキ属の一年草※ |
別名 | スイートバジル・バジリコなど |
和名 | 目帚(めぼうき) |
収穫時期 | 4月~11月 |
開花時期 | 6~9月(環境によってはそれ以降も咲く) |
花の色 | 白・紫 |
バジルの種類
スイートバジル | バジルと言えばスイーツバジルを指すほどでイタリア料理には欠かせません。トマトとの相性がよく、ピザやパスタやスープに向いています。香りも高く白い花が咲きます。 |
ホーリーバジル | 香りが強くタイ料理のガパオなどでよく知られていています。ストレスを和らげるなどの効果がありエッセンシャルオイルやアーユルヴェーダにも使われています。サンスクリット語で『トゥルシー』と呼ばれています。 |
レモンバジル | レモンに似たシトラス系の香りで細目のライトグリーンの葉が特徴的です。料理なら肉料理向きです、ハーブティーにも使えます。 |
ダークオパール バジル |
葉が暗紫色で花は紫系です。料理やハーブティー、ビネガー・オイル・リキュールに使用されています。 |
タイバジル | ほんのり甘い香りで、グリーンカレーなどのタイ料理やエスニック料理全般に利用されています。 |
ブッシュバジル | 強い香りで葉は小さめ、こんもりとコンパクトサイズに育ちます。料理だけでなくお皿を彩る飾りにも使われます。 |
レタスバジル | 肉厚で柔らかく波打った大きな葉に特徴があります。サラダに最適です。 |
シナモンバジル | シナモンに似た香り。白や紫がかったピンクの花が咲きます。料理やハーブティーだけでなくポプリにも使われています。 |
バジルの歴史
インドでは神聖なハーブとして
原産国インドでは神へささげるハーブとして用いられていました。また古代エジプトやアレクサンダー大王によって持ち込まれたとされるヨーロッパでは、墓に供えたり死者の手に持たせる風習がありました。その後は香料や薬の材料として使われました。
バブル期に「イタ飯」ブームとともに
江戸時代にはすでに日本に渡来していたバジルは目帚と呼ばれ、葉よりも種が眼の治療に重用されていました。葉のほうはバブル全盛のイタ飯ブームのころに一気に注目を浴びました。それまではイタリア料理には欠かせないバジルの代わりに、同じシソ科の青シソが使われていました。
バジルの育て方
春先に種子が初夏あたりからは苗も店頭に並びます。水はけと日当たりのよい場所を好むハーブです。混みあってきたら適度に間引きをし、2週間に一度程度の追肥を繰り返します。バジルは葉が生い茂りすぎると下の葉に十分日光が当たらず黄変し弱々しくなります。背丈が20cmを超えてきたら収穫に加えて主枝を摘心しましょう。主枝を摘心すると脇芽の生育が著しくなり、さらにたくさんの収穫が楽しめます。
注意点
バジルは生命力が強く庭に地植えすると、管理がかなり大変なことになります。摘心したものを土の上に放置するだけでも根付いたり、実から細かい種が散らばるとそこからさらに発芽して繁殖します。家庭で楽しむならプランターか鉢植えがおすすめです。
挿し芽をしてさらに収穫を
摘心した主枝を水を張った瓶に入れておくだけで根が生えてきます。それを植えてさらに収穫を増やしましょう。またしっかりした主枝ならそのまま土に挿しておいても根付きます。
バジルの花が咲いたら
梅雨が終わりセミの鳴き声とともに夏の蒸し暑さが訪れるころ、バジルの成長は勢いを増していき、やがて白い小さな花が咲きます。とてもかわいらしいのですが、そのままにしていると花に栄養が取られて葉が固くなり、せっかくの香りも弱くなってしまいます。そこでバジルの花が咲いたら二つの選択肢が生まれます。
花穂を摘む
葉の収穫量アップのために
葉を優先的に収穫したいなら花穂に気が付いた時にすぐに摘花してください。そこからまた新しい脇芽が出てきて収穫量が増えます。
花も食用に
摘花した花自体も食べることができます。ハーブティーとしても使えますし、同じシソ科なので穂ジソの代わりにもなります。茎は苦味が強めなので食べるにはやや不向きです。
花を咲かせて実を収穫する
実の取り方
花が咲いても摘花せずにそのまま放置すると、やがて実が生ります。乾燥して茶色くなったら、種をこぼさぬようそっと鋏で枝をカットし収穫します。
種の取り方
収穫した実をビニール袋などに入れてやさしく揉み、ふるいやざるで種子ともみ殻を分けます。来年用の種子として収穫するのもよいですが、バジルシードとして食べることもできます。スーパーフードとして市販されているバジルシードですが、種が自家製ならさらに安心ですね。
緑が鮮やかで料理に有効に使えるバジルは、家庭菜園で人気のハーブです。
(出典:筆者撮影)