「モミジ」とは植物分類学上では「カエデ」の一種であり、一般的にカエデ属の葉の形状の違いによって分類されている落葉広葉樹です。
モミジとカエデの違いは葉の形状によります。掌状に切れ込みが葉柄の近くまで深く入り、葉先が6〜7枚に分かれたものをモミジと分類しています。
園芸部類 | 庭木 |
形態 | 高木 |
樹高・草丈 | 10m |
花の色 | 赤〜赤紫 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 庭木・シンボルツリー |
栽培難易度 | ★★★★☆ |
モミジは日本に自生している落葉高木です。3月〜4月にかけて芽吹き、4月〜5月に小さい花を咲かせ、花後に翼果を付けます。秋の紅葉が美しく、古くから歌に詠まれるなど愛されてきました。丈夫で管理しやすいため公園樹や庭木、鉢植えの盆栽などに利用される樹種です。
モミジの中でも大木になり、葉も大きい種類がオオモミジです。葉の縁のギザギザが同じ大きさなのが特徴です。剪定にやや弱く、成長が早く大木になるため、庭植えする場合は広いスペースを確保しましょう。
モミジの代表的な品種で、葉の縁のギザギザが不揃いなのが特徴です。イロハモミジの園芸種として以下の品種が有名です。
イロハモミジまたはオオモミジの亜種と分類されます。イロハモミジよりも葉が大きいとされますが、ほとんど見分けがつきません。
枝が枝垂れる品種です。葉は切れ込みが深く、風情のある木になります。
出猩々モミジは春の芽出しのときの葉の色が鮮やかな赤をした品種です。5月ごろには緑の葉に変わります。ノムラモミジは濃い紫の大きな葉をつける品種です。庭木としてよく利用されます。
植え付け時期 | 2月〜3月 |
植え替え時期 | 2月〜3月 |
施肥の時期 | 1月〜2月 |
剪定の時期 | 7月上旬・落葉期 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月〜5月頃 |
モミジは地植えで簡単に育てられます。成長は速く、樹高が10m以上になるので庭植えの場合は十分にスペースを確保してから植えてください。大きくしたくない場合は毎年、剪定をしましょう。また、モミジは古くから盆栽素材としても利用されてきました。盆栽として小さく育てれば身近に置いて楽しめる鉢になるでしょう。
庭植えする場合は日当たりがよく、大きくなることを考慮して広いスペースのあるところを選んでください。美しく紅葉するために、真夏の西日が長時間当たる場所は避けた方がよいでしょう。鉢植えや盆栽も屋外で日当たりと風通しのよい場所で育ててください。
モミジは水はけと保水のバランスのよい土壌で育ち、美しく紅葉します。庭植えする場合は掘り返した土に腐葉土を混ぜて植えつけます。鉢植えや盆栽は赤玉土や園芸用の培養土を使用してください。
庭植えの場合は自然に任せて大丈夫でしょう。夏期、水が足りないと葉がチリチリになって枯れて来るので、用土が乾燥するようなら水やりを行ってください。鉢植えや盆栽の場合は乾燥具合を見ながら1日に1回、夏期は2回、水切れを起こさないように管理します。
庭植えの場合は施す必要はありません。木を大きくしたい場合は5月、10月に緩効性肥料を与えてください。鉢植えや盆栽も緩効性肥料を5月、10月に与えます。
モミジに害虫がつくことは少ないですが、アブラムシがつく場合があります。風通しをよくするために剪定をしたり、根元にオルトランを散布するなどして対策をしてください。
モミジは丈夫なのでほとんど病気になることはありませんが、風通しの悪さによってうどん粉病が発生します。枝が混んできたら剪定をして風通しをよくしてください。鉢植えや盆栽は風通しの良い場所に置くようにしましょう。
ホームセンターなどで販売されている苗は葉のついた時期であれば、枯れ葉がなく生き生きとしていて、根元がしっかりしているものを選びましょう。インターネットなどで購入する場合は花木の専門店で購入すると簡単な手入れ方法を付けて配送してくれます。
庭植えの場合は木が大きくなり、根も広く張るので植え替えは行わない方がよいでしょう。鉢植えや盆栽は冬越しした後の2月〜3月に1年〜2年に1回は植え替え、伸びすぎた根や枯れている根を切り取りましょう。
庭植えの場合は大きくなりすぎるようなら毎年、剪定をしてください。剪定時期は2月〜3月の葉のない時期が木の全体が見渡せるのでが行いやすいでしょう。枯れた枝や木の内側の込んだ枝を切るようにしてください。徒長枝があれば7月にも行ってください。鉢植えや盆栽はサイズを維持するために毎年、2月〜3月に行います。植え替えをする場合は同時に行うとよいでしょう。
木の高さを抑えたい場合は好みの高さで切るようにします。若い木の場合は上に伸びようとするので、摘芯することで脇枝が伸びるよう促されます。
夏に乾燥させると葉焼けを起こし、秋に美しく紅葉しません。庭植えの場合でも、乾燥しすぎる場合は水やりをし、暑い日が続くようなら葉水を与えましょう。鉢植えや盆栽は午前中の日差しが当たる場所に置き換え、西日が当たるようなら寒冷紗などで日陰を作ってください。
モミジの簡単な増やし方は挿し木をすることです。初夏に剪定した徒長枝を挿し穂として利用します。10cmくらいの枝の葉を半分くらいに落とし、土に挿す方を斜めに切り、用土に挿します。1ヶ月に1度、メネデールを与えて水切れに注意して育てましょう。
モミジは種まきでも増やせます。花後の翼果をそのまま残し、秋に落ちた種を集めて、翼の部分を切り取り用土に蒔きます。翌春に芽を出すでしょう。