アセビ(馬酔木)は、日本各地に分布するツツジ科の常緑低木です。艶やかな濃緑色の葉と愛らしい小花が古来から親しまれ、庭や公園などに植栽されています。
園芸部類 | 花木 |
形態 | 常緑低木 |
樹高・草丈 | 1.5m~2.5m |
花の色 | 白、薄赤紫 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 庭木、生垣、鉢植え、盆栽 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
アセビは早春に、スズランやドウダンツツジに似た、小さな壺型の花を鈴なりに咲かせます。楕円形の葉は、冬も枯れない常緑で、表面は艶やかです。葉は互い違いにつきますが、花びらのように先端に多く集まります。若葉は明るい赤やピンク色をしているため、一見すると可憐な花のようです。花後には、薄赤紫~ピンク色の実を結び、茶色く熟すると種ができます。
アセビの葉や花に含まれるグラヤノトキシン(アセポトキシン)は、有毒成分です。葉を食べた馬の足がしびれたことから、アシシビレからアセビと呼ばれるようになったと伝えられています。地域によってはアシビと呼ばれます。ふらついた馬が酔ったように見えたため、「馬酔木」の漢字があてられました。
赤花アセビ(ピエリス) クリスマスチェアー 6号苗(i6)
参考価格: 1,760円
クリスマス・チアーは、淡い赤紫色の花で、蕾や花弁の縁ほど赤色が濃い品種です。午後から日陰・半日陰になる場所に植えると、色合いの美しさがより映えます。そのほかの赤や紅花系の品種は、大山(ダイセン)などがあります。
花色 | 赤紫 |
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葉 | 通常の緑 |
斑入り葉あせび フレーミングシルバー
参考価格: 1,320円
フレーミングシルバーは、葉に白い縁取りのあるアセビで、白花です。葉に白い斑の入るフイリアセビは、フクリン(覆輪)アセビとも呼ばれ、フレーミングシルバーのほかにパッションフロスト(花は紅色)などの品種があります。
花色 | 白 |
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葉 | 白の斑入り |
植え付け時期 | 10月頃、3月頃 |
肥料の時期 | 9月~10月、3月~4月 |
開花時期 | 2月下旬~4月 |
剪定時期 | 5月頃 |
アセビは日本の風土になじんだ植物で、庭木に適しています。成長がゆるやかで自然に樹形が整うため、鉢植え栽培や盆栽にするのも可能です。
アセビは午前中を中心に日の当たる場所か半日陰が適しています。夏場の乾燥を嫌うため、西日の当たる場所は避けましょう。日陰でも育ちますが、花付きがやや悪くなります。常緑で、往来の排ガスにも強いため、生垣にもむいています。
アセビはツツジ科で、サツキやツツジなどと同じく、やや酸性に傾きがちな日本の土壌によくあった植物です。水はけと水持ちのよい土が適しています。根を広く張るには痩せ地でないほうが好ましいです。鉢植えには、市販の花木用の培養土か、赤玉土と鹿沼土、腐葉土を同率で混ぜ合わせた用土を使いましょう。
アセビは水切れを嫌います。庭植えは、根を広く張ったあとは降雨のみで育ちますが、植え付け間もない若木の頃は、晴天が続いたら水やりしてください。成長期に乾燥させると蕾が少なくなるなどの影響がでます。鉢植えには、土の表面が乾いたらたっぷり水やりしましょう。
肥料は、植え付け時に緩効性肥料を与えてください。そのあと、花が咲いて若葉が伸び始める頃と、花芽分化を終え花穂ができ始める秋に、それぞれ化成肥料を追肥しましょう。
気を付けたい害虫はグンバイムシとハマキムシです。グンバイムシは養分を吸って葉を白く変色させます。ハマキムシは葉を丸めた中に住み着いて食害します。どちらも早めに見つけて駆除しましょう。
かかりやすい病気は特にありません。適切な水やりをして、乾燥で弱らせないようにしましょう。
アセビはすべての花をそのままにしておくと、実をつけるのに体力を奪われるため、翌年の花芽が少なくなったり枝の一部が枯れたりすることがあります。花が枯れ色になってきたら、房ごと花がら摘みをしてください。実もかわいいのですが、観賞や種を採取するために残すのは、数房だけにしましょう。
ポット苗と鉢植え、庭木や公園などへの植栽用の根巻きの苗木が売り出されています。鉢植えや盆栽、若木から成長を楽しむならポット苗や鉢植えがよいですね。生垣にするなら、ある程度育っている根巻きの苗木がよいでしょう。
植え付けや植え替えの適期は春と秋です。植え穴に元肥と腐葉土を加え、深植えしすぎないように植えてください。根巻き苗は、麻袋や縄ごと植え付けます。鉢植えは、根詰まりを防ぐためにも2~3年に1回ほど植え替えましょう。庭木は植え替えの必要はありません。
アセビは花が終わる頃から若い枝が急成長して伸び始めます。5月頃が剪定の適期です。6月頃~秋にかけて、翌年に咲く花の準備(花芽分化)が始まるので、その前に剪定するのがよいですね。
アセビは、同じ個所から5本ほどに分枝して、上や横に広がっていきます。成長がゆるやかで自然に樹形が整うため、若木の頃は強剪定が必要なく、枝葉を透かす程度で十分です。数年経ったら飛び出した枝を剪定して、好みの樹高に整えましょう。株の内部の、込み合った枝や枯れた枝も取り除きます。徒長枝は、時期にかかわらず切り取ってください。
夏は、乾燥させないように水やりに気を配ってください。鉢植えは、西日の当たる場所に置かないようにします。
寒さに強い植物なので、特に冬越し対策は必要ありません。
アセビは挿し木で増やせます。その年に伸びた枝を10cmほど切り取って挿し穂を作り、小粒の赤玉土か鹿沼土に挿します。発根するまで乾かさないように管理してください。
種を採取して増やせますか?
種を採って増やせます。種まきから花が付くまで数年かかりますが、盆栽や小さな鉢植えにして成長が楽しめます。
葉や花に触れるのは、問題ありません。食べなければ大丈夫です!