徒長枝って何?意味や読み方は?
徒長枝(読み方:とちょうし)という言葉をご存知でしょうか?忌み枝(読み方:いみえだ)と言われる「切るべき枝」とされているものの1つで「徒(いたずら)に伸びた枝」という意味を持ちます。実はこの枝、放置しておくと木とって悪影響があることも。この記事では徒長枝の見分け方やなぜ出てきてしまうのかといった原因から、手入れの方法、切り方などについて解説していきます。
徒長枝の見分け方
徒長枝は樹形(その木が作る自然な形)を乱すような伸び方をしているものがほとんどです。主となる枝からまっすぐ上に勢い良く伸びていて特徴的な形をしているため、慣れてくればとすぐにどれが徒長枝なのか簡単に見分けることができます。
徒長枝は上にまっすぐ不自然に伸びる枝
上の画像をご覧ください。こちらは洋梨の木ですが、不自然なまでに長い枝が木の形を乱すように、まっすぐ上にいくつも伸びているのが見て取れます。このような特徴的な枝が徒長枝と定義されています。
徒長枝を放置するのはなぜいけないの?
このような枝は放置しておくと何故植木や庭木に悪影響を及ぼしてしまうのでしょうか?考えられるその理由を2点ご説明します。
理由①養分を奪ってしまう
画像から見てもわかるように、もともとあった枝に比べて成育の勢いが強く、養分を独り占めしてしまうという特徴がこの忌み枝にはあります。そのため、放置しておくと本来は樹木本体に流れていくべき養分がいきわたらず、樹木全体の成育が遅くなってしまうのです。成育が遅くなるだけではなく、最悪の場合は枯れの原因ともなりえます。
理由②花がつかない
徒長枝に花芽がつくことはあまり期待できません。いたずらに養分だけをとって花芽をつけることもなく、どんどん不自然な形に伸びて行ってしまうので、花や樹形の美しさ楽しむような庭木の場合は特に不必要です。まさに忌み枝ですね。
徒長枝が発生してしまう原因は?
こうした理由から、なるべくなら徒長枝の発生を防ぎたいと思うのは当然でしょう。ではこの徒長枝発生の原因は何なのでしょうか?その理由を学びながら対策を考えていきましょう。
原因①日当たりの不足
日当たりの不足は当然植物にとってはいいことはありません。こうした状況にある植物は、なんとか日光を確保しようとがむしゃらに枝を伸ばそうとし、枝が徒長してしまいます。樹木に不要な枝や葉が込み入っていると中まで光が届かず、光を求めて新しい徒長枝がひょろひょろと伸びる原因となります。
原因②水やりのし過ぎ
水をやりすぎることで木に水分が必要以上に蓄えられることも原因となります。庭木の葉などをよく観察して、水が十分いきわたっているようなら水やりの回数を見直してみましょう。
原因③窒素肥料の与えすぎ
これは想像しやすい原因でしょう。過剰な養分によって新たな徒長枝が芽吹いてきます。いつまでも新しい徒長枝が発生する場合は施肥を見直すのも一つの手です。
徒長枝の発生を防ぐ対策は?
対策①定期的な剪定で日当たりの確保
まずは何といっても日当たりの確保が1番でしょう。特に庭木や植木などの中が枝で込み入っているときは、剪定で枝を透かしてやり、整理することで日差しが樹木全体にいきわたるようになり、結果として徒長枝の発生を抑えることに繋がります。
対策②水やり、肥料の見直し
水や窒素肥料が過剰であることも徒長枝の発生につながります。剪定といったメンテナンスを適切に行っていても次々と徒長枝が出てくるようであれば、水やり、肥料の回数なども見直してあげましょう。
徒長枝が出てきてしまったときの対策は?
残念ですが、日頃どんなに気を付けて手入れをしていてもどうしても出てきてしまうのが徒長枝です。基本的に徒長枝は忌み枝として定義されているような不要な存在です。伸びていっても樹形を乱す形を作ってしまいますし、伸び方が他の枝とは違うのでやがて他の枝にぶつかってしまうものばかりです。出てきてしまったものは根本から切ってしまいましょう。
剪定の方法を動画で確認してみよう
こちらの動画では実際の剪定の様子を見ることができます。根本から切るといっても実際にはどうやってハサミを入れているのか、実際にどのように生えているのかなど見分け方も詳細に確認できますのでぜひ一度ご覧ください。
徒長枝はどの季節に切るのがいい?
剪定には適切な時期があります。成育旺盛な春から夏に大量に剪定すると、木の中で養分が行き場を失い、徒長枝をはじめとした忌み枝が数多く発生し、木が暴れてしまいます。2,3本の徒長枝を軽く切る程度なら春夏でもいいですが、大量に出ている徒長枝を切る場合は、成育が落ち着いた秋から冬にかけてが最適といえるでしょう。
剪定におすすめの道具をご紹介
おすすめの道具①剪定バサミ
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剪定にはまずはこれがないと始まりませんね。剪定ばさみです。実際にお店などで手に取り、握りやすく力が込めやすいものを選びましょう。切れ味が悪いと枝の切り口から木が傷みやすくなります。木の幹の太さによっては剪定ばさみだけではなくノコギリも用意したほうがいいでしょう。
おすすめの道具②ノコギリ
剪定ばさみで切り落とせないような太い枝にはやはりノコギリが必要になります。力が加わりやすいように握り心地のよいものを選びましょう。
おすすめの道具③手袋
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次に必要な道具は手袋です。込み入った枝の整理などを行うときには手を傷つけたりする恐れもあります。手の保護という意味で手袋の着用はおすすめです。手にぴったりしたものを選ぶ方が作業効率はよくなります。自分の手のサイズにあったものを選びましょう。
おすすめの道具④脚立
自分の背よりも高い木の剪定には当然脚立が必要になります。手入れをする木の高さに十分届く脚立を準備しましょう。様々なサイズの脚立がありますが、剪定中の事故を防ぐためにも安定性の高い脚立を選ぶようにしましょう。
徒長枝を残したほうがいい場合
ここまでは、忌み枝の1つに定義されている徒長枝は切ることをおすすめしてきました。しかし、うまく徒長枝を残すことで、植木を長生きさせる管理方法もあります。こうしたケースとその理由を説明していきます。
残したほうがいいケース①主幹を更新する
主となる枝が古くなってきて成育速度が落ちてきている場合は徒長枝をうまく生かしてあげましょう。枝の伸びていく方向を予測し、将来的に樹形を損なわないものを選んで残すようにしましょう。その場合の切り方は根本から切らず、枝先を軽く切って止めてあげましょう。
残したほうがいいケース②木が暴れている
木が暴れているときは、徒長枝をむやみに根元から切ってしまわず、養分の逃げ道を残すように枝を10cm~30cmほど残すのがよいでしょう。この剪定時期は休眠に入る秋から冬がおすすめです。
徒長枝は「ずわい」として生け花で用いられることも
庭木や植木の世界では嫌われがちな徒長枝ですが、生け花の世界では「ずわい」と呼ばれ、強い個性を発揮する存在として扱われます。活けたときに花器から伸びやかにまっすぐ空に向かって伸びる枝というのは、作品に厳しさや強さを生み出してくれるのです。
徒長枝を味方につけて庭木を健康に美しくしよう!
樹形を乱し、樹木の生育を落としてしまう厄介な存在である徒長枝。この基本的な対策は根元から切ることです。枝の更新が必要な時などは剪定法を工夫して、徒長枝とうまく付き合うのが美しい樹形作りの近道です。切り落とした枝は活けて、その強い生命力を感じながら鑑賞することもいいですね。徒長枝の見分け方や適した切り方などを身につけて美しい木を育てましょう。
出典:写真AC