コエビソウは、メキシコ原産の常緑性低木です。ハイビスカスのような鮮やかな花色と、ユニークな花形が目を惹きます。日本のように四季がある地域では夏に開花しますが、冬でも一定の気温をたもっていれば、ほぼ一年中開花する性質を持っています。熱帯植物のなかでは耐寒性があるため、関東地方南部までなら屋外での冬越しも可能です。
園芸部類 | 熱帯植物 |
形態 | 常緑性低木、多年草 |
樹高・草丈 | 30cm~1m |
花の色 | 赤、黄、白 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 常緑性、開花期間が長い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
コエビソウの花びらに見える部分は「苞(ほう)」と呼ばれるものです。幾重にも苞が重なり、少し曲がっている形状がエビに似ていることから「コエビソウ」という名前がつけられました。コエビソウには「光によって株姿が変わる」という変わった特徴もあります。日当たりのよい場所ならコンパクトな樹形の木として育ちますが、日陰の場合は茎がつる状に変化して伸びていくのです。
イエロークイーンはコエビソウの黄花品種です。花色が黄色いため、「エビに似た花」というコエビソウのイメージからは離れていますが、基本種とは違う風情と美しさがあります。基本的な育て方や日常の管理の仕方は基本種と変わりません。
植え付け時期 | 4月~6月 |
植え替えの時期 | 5月中旬~6月 |
剪定の時期 | 適宜 |
花が咲く時期/開花時期 | 5月~10月頃 |
コエビソウの開花時期は?
コエビソウは、日本では夏が開花時期です。しかし周年開花性があるため、一年中15℃以上の気温がたもたれる場所であれば、ほぼ一年中咲き続けます。
コエビソウの植え付け時期は4月中旬~6月です。コエビソウは熱帯植物なので、暖かい時期に生育が盛んになります。冷えが戻る可能性がある時期に、大きな作業を行うのは適していません。このため植え付けは、確実に冷えがなくなる5月中旬~6月が最適です。
熱帯植物のコエビソウは、冬の寒さが厳しい地域では鉢植え栽培が基本です。暖地でも冬になると霜が降りる場所は、地植え栽培は避けたほうがよいでしょう。強過ぎる日差しを避けられて、霜や寒風が当たらない場所を確保できるなら、地植えでも問題ありません。冬になると寒さで落葉しますが、春になれば芽吹いて成長します。
コエビソウを育てる場所は、明るめの半日陰が理想です。コエビソウは日なたでは低木として育ちますが、日陰では茎がつる化して育ちます。名前に「ソウ(草)」がつき、多年草扱いされることもあるのはこのためです。コエビソウは光が足りないとつる化するだけでなく、花色も花つきも悪くなりますが、強過ぎる日差しにも弱いため、夏の直射日光などに当たると葉焼けを起こしてしまいます。
コエビソウは水はけのよい用土を好みます。鉢植え栽培なら、赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で作った用土を使いましょう。水はけがよければ土質は問わないので、市販の草花用培養土でもかまいません。地植えの場合は植え付け前に庭土を耕して、腐葉土や堆肥を混ぜ込んでおきましょう。
コエビソウの水やりは、水切れと乾燥に要注意です。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたところで、たっぷりと水やりします。春~晩夏の生育期間中は水切れしやすいので注意しましょう。特に乾燥がひどい夏の高温期は1日2回、朝と夕方の涼しい時間に水を与えます。地植えの場合は、日照りが続いたときや、真夏の高温期など乾燥が続く時期にだけ水やりしましょう。
コエビソウは開花期間が長いため、養分を切らさないように、生育期間中に肥料を施します。緩効性化成肥料を月に1回のペースで置き肥しましょう。多肥にならないように、取扱説明書どおりの量を施肥します。肥料切れを起こしやすい鉢植えの場合は、開花時期の間は液体肥料も併用しましょう。
コエビソウは病気に強いので、病気による被害を心配する必要はありません。害虫もめったに発生しませんが、枝が混み入ったり、風通しが悪かったりするとカイガラムシが発生することがあります。予防策として剪定作業で枝を整理し、通気性が悪くならないように管理しましょう。発生した場合は薬剤散布などで早急に駆除します。
開花後のコエビソウは、苞が黒ずんで汚くなってしまいます。見た目が悪いので早急に摘みとりましょう。枝が伸び過ぎていたなら、いっしょに切り戻します。
コエビソウは、鉢苗を購入するのが一般的な入手方法です。苗は葉がきれいで、株姿もすっきりまとまっているものを選びましょう。株に対して鉢のサイズが小さいと感じたなら、一回り大きな鉢に根鉢を崩さないようにして植え替えます。
鉢植えのコエビソウは、根詰まりを起こすのが早いです。根詰まりを起こすと生育障害を起こすので、適期がきたら1年~2年に1回のペースで植え替えましょう。植え替えの適期は5月中旬~6月です。
コエビソウの剪定は生育期間中、適宜行います。伸び過ぎた枝、混み入った枝を見つけたら切り戻しましょう。枯れ込んだ枝は根元から切り落とします。
コエビソウは、熱帯植物のなかでは寒さに耐性があります。関東地方南部以南の地域なら、地植えでの冬越しも可能です。ただし霜に当たると枯れてしまうので、地植えする場合、霜が降りる場所は避けましょう。
コエビソウの増やし方は、挿し木を用います。コエビソウの挿し木の適期は4月~9月です。枝を5cm~10cmほどの長さに切り、下部の葉を取り除いて挿し穂を作ります。挿し穂を1時間ほど水に浸けて水揚げさせたら、挿し木用用土に挿し、発根するまで水切れしないように管理します。発根後は鉢や地面に植え替えましょう。
出典:写真AC