ホトトギスは、東アジアや日本が原産の植物で、ピンク色や白色の花を咲かせる多年草です。日本の太平洋側に約10種類のホトトギスが自生しており、やや湿った環境を好みます。
園芸部類 | 山野草、草花 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 30cm~100cm |
花の色 | 白、紫、ピンク、黄、青 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 落葉性、耐陰性がある、初心者向け、盆栽 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ホトトギスは日本の森林や岩場など、湿度の高い場所に自生している山野草です。初夏に伸びてくる若葉には斑点模様が入っていますが、開花前には斑点模様が消失して鮮やかな緑色になります。8月〜9月にかけて、3cm〜5cmほどのまだら模様をした花を咲かせるのが特徴です。
名前の由来は?
ホトトギスは斑点模様の花弁が特徴で、この独特な模様が「杜鵑(ほととぎす)」という鳥の腹部の模様に似ているため「ホトトギス」と名付けられました。また、ホトトギスの若葉には油をこぼしたような斑点が現れるので「油点草(ゆてんそう)」という別名もついています。
花言葉は?
ホトトギスには「永遠にあなたのもの」「秘めた意志」という花言葉がついています。ホトトギスは開花時期が長く、約2カ月の間次々と花を咲かせ続ける植物です。そのひたむきさから「永遠にあなたのもの」という花言葉がついたといわれています。
ホトトギス「秋空」 3号(9cm)ポット
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秋空(あきぞら)は、名前のとおり秋にかけて開花する品種です。ほかのホトトギスの品種に比べて花が咲くのがやや遅めで、10月頃まで開花が楽しめます。咲きはじめは花弁が赤紫色をしていますが、開花がすすむと次第に濃い紫色へと変化していくのが特徴です。
花色 | 赤紫、濃紫、白 |
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草丈 | 60cm〜80cm |
[ ホトトギス ] 紫酔 ( しすい )
参考価格: 660円
紫酔(しすい)は白色の大きな花弁をもち、花の中心部分が紫色をしている品種です。花弁が反り返っており「サツマホトトギス」という品種の色変わりともいわれています。上品な咲き姿が魅力で、切り花やフラワーアレンジメントにもおすすめです。
花色 | 白、紫 |
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草丈 | 60cm〜70cm |
植え付け時期 | 2月〜4月 |
植え替え時期 | 2月〜4月 |
肥料の時期 | 3月〜10月 |
剪定の時期 | 5月〜6月 |
花が咲く時期/開花時期 | 8月〜9月 |
ホトトギスは、地植えでも鉢植えでも育てられます。草丈が高く成長するので、寄せ植えにする場合は、花壇の背景になるように植え付けるのがポイントです。乾燥が苦手なため、湿った環境を好む植物と寄せ植えにしてください。鉢植えにする場合は、株間を15cm〜20cmほどあけて植え付けましょう。
ホトトギスは、適度に日の当たる風通しのよい場所で管理してください。耐陰性があるため、ほかの植物が育ちにくい木や建物の陰などでも育てられます。露地植えにすると、こぼれ種でどんどん増えていくため、増えすぎて困る場合はしっかりと対策をしましょう。ホトトギスが生えてほしくない場所には、レンガやブロックを置いておくのがおすすめです。
葉が茶色く変色する原因は?
ホトトギスは、開花が始まると葉が茶色く枯れ込んでくるのが特徴です。そのため、8月〜9月にかけて茶色く変色している場合は問題ありません。しかし、春に芽吹いてすぐ茶色くなる場合は、日照不足を疑います。耐陰性はありますが、日光が全く当たらない場所で育てている場合は、置き場所を移動させてください。
ホトトギスは、水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土で育てます。市販されている「山野草用培養土」や「草花用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒と腐葉土を混ぜ込んだ用土に、少量のパーライトを加えた用土を使用してください。鉢植えの場合は、用土を入れる前に鉢底石やヤシ殻チップを敷いておくと、水はけがよくなります。
地植えにする場合の用土作りのコツは?
ホトトギスを地植えにする場所が粘土質の場合は、川砂や腐葉土をたっぷりとすき込み、排水性を高くしてから植え付けます。用土をしっかりと耕し、ふかふかにしておくのがポイントです。
ホトトギスはやや湿った環境を好むため、地植えの場合でもこまめな水やりが必要です。鉢植えの場合は、土の表面が乾燥したら、鉢底から水が流れ出る程度にたっぷりと水を与えてください。夏は用土が乾燥しやすくなるため、朝と夕方の2回に分けて水やりをするとよいでしょう。
葉の水分を保つコツは?
室内で育てている場合は、エアコンの風によって葉の水分が蒸発しやすくなります。葉をみずみずしく保つために定期的に葉水を行い、水分補給をしてあげましょう。屋外の場合は、乾燥している時期や雨が全く降らないときに、株の周りに打ち水をするのも効果的です。
肥料は3月〜5月にかけて、油かすや鶏糞などの有機質肥料を適量施します。6月〜10月にかけては、花芽がたくさんつくように「リン酸」を多く含んだ液体肥料を与えてください。規定の分量よりも薄めた液体肥料を、1週間に1回の割合で水やりの代わりに与えます。また、植え付けの用土に元肥として、緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおいても構いません。
ナメクジは、梅雨時期などのジメジメとした季節に発生しやすい害虫です。ホトトギスの葉や茎を食害しながら成長します。ナメクジが通ったあとは、白くネバネバとした液体が付着しているのが特徴です。ナメクジには塩をかけるイメージがあるかもしれませんが、塩をかけても小さくなるだけで駆除はできません。箸などを使って、株から直接引き剥がして駆除しましょう。
イラガは7月〜10月にかけて葉の裏側などに寄生する害虫です。この時期は幼虫の状態で、からだの表面が「毒棘(どくきょく)」というトゲで覆われており、刺されると激痛が走ります。発見した場合は手で触らないように注意し、殺虫剤を散布して早めに駆除しましょう。
白絹病は5月〜9月にかけて、カビの菌糸が原因で発生する病気です。感染した部分が、白い絹のような糸で覆われるのが特徴で、次々と菌糸が伝染して株元から枯れ込んできます。白絹病に感染した部分は薬剤を散布しても治せないため、ほかの部分への感染を防ぐためにも、早めに切り取って処分してください。
地植えでホトトギスを育てている場合は、3年に1回は株を掘り起こして新しい場所に植え替えると、花付きがよくなります。鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために1年〜2年に1回は、ひと回り大きな鉢に植え替えてください。根についている古い用土を落とし、傷んでいる根を切ってから植え替えるのがコツです。
剪定はとくに必要ありませんが、草丈が大きくなりすぎてる場合は、5月〜6月にかけて切り戻し剪定をしても構いません。大切な花芽を切ってしまわないように、なるべく6月上旬までには剪定を終わらせましょう。
ホトトギスの挿し木は5月〜6月に行います。剪定で切り落とした、健康な枝を使用しても構いません。先端から10cm〜15cmほどの長さで切り取り、切り口を水につけてしっかりと水を吸わせます。浅い鉢に鹿沼土を入れ、挿し穂を挿していきましょう。発根するまでは水切れに注意して、風通しのよい日陰で管理してください。
ホトトギスの株分けは、2月〜4月が適期のため、植え替えと同時に行うのがおすすめです。大きく成長した株を選び、根を傷つけないように丁寧に掘り起こします。根を手でほぐして、簡単に分かれる部分で株分けしていきましょう。
出典:写真AC