サンカヨウは日本やサハリンが原産の多年草で、日本の冷涼な山野に自生しています。5月〜7月にかけて小さなかわいらしい花を次々と咲かせるのが特徴で、ガーデナーにも人気の植物です。
園芸部類 | 草花、山野草 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 30cm〜60cm |
花の色 | 白(水に濡れると透明になる場合がある) |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 耐寒性が強い、耐陰性がある、花壇の寄せ植え |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
サンカヨウは開花時期になると、2cm〜3cmほどの真っ白な花を咲かせる植物です。サンカヨウの花は「水に濡れると透明になる」という不思議な性質をもっており、その美しさから野生のサンカヨウを一目見るために、山へ出向く人も多いといわれています。しかし、サンカヨウが美しく咲き誇る期間はとても短く、3日〜1週間ほどで花が散ってしまうのが特徴です。
サンカヨウは花後に紫色の実をつける植物で、黒く熟した実は食用としても利用できます。サンカヨウの実は、ブルーベリーのような味と見た目をしており、甘酸っぱいのが特徴です。そのまま食べると酸味が強いため、ホワイトリカーに漬けて果実酒にしたり、ジャムやゼリーに加工したりすると食べやすくなります。
名前の由来は?
サンカヨウは漢字で「山荷葉」と表記されます。サンカヨウの葉や咲き姿が「荷葉(ハス)」の花に似ており、山に生えているため「山荷葉」と名付けられました。また、別名の「スケルトンフラワー」は、サンカヨウの花が水に濡れると透けているようにみえる性質に由来しています。
花言葉は?
サンカヨウには「親愛の情」「幸せ」「清楚な人」という花言葉がついています。サンカヨウは5月〜7月にかけて小さな純白の花を咲かせる植物です。サンカヨウの花が、清楚にひっそりと咲いている様子から「清楚な人」という花言葉がつけられました。また、サンカヨウは開花日数が短く、見つけると幸せになれるとされ「幸せ」という花言葉もついています。
植え付け時期 | 4月〜5月、9月〜10月 |
植え替え時期 | 4月〜5月、9月〜10月 |
肥料の時期 | 2月〜3月 |
剪定の時期 | 7月〜8月 |
花が咲く時期/開花時期 | 5月〜7月 |
栽培適期は?
サンカヨウは暑さに弱いため、4月上旬〜5月上旬までの間に、早めに植え付けをすませておくのがポイントです。開花時期が5月〜7月のため、植え付けが遅れると夏の暑さで株が弱ったり枯れたりして、開花を楽しめない場合があるので注意しましょう。
サンカヨウは、地植え・鉢植えのどちらでも育てられます。環境の変化に弱いため、地植えにする場合は、木やほかの建物の陰になるような、温度変化の少ない場所に植え付けましょう。ジメジメとした多湿の環境で育てると、根腐れを起こして枯れやすくなるため、鉢植えにする場合は浅鉢を使用して、用土が乾きやすいように管理するのがおすすめです。
サンカヨウは気温や湿度に敏感な植物のため、植え付けてから1年間は室内で管理してください。多湿を嫌いますが、用土が乾きすぎると下葉から枯れ込んでくるため注意が必要です。室内での置き場所はレースのカーテン越しの窓辺など、日光が優しく差し込む場所を選びましょう。屋外の場合は、葉焼けを防ぐために直射日光の当たらない場所で管理します。
サンカヨウは冷涼な山野に自生している植物のため、同じような環境で育てると健康に育ちます。耐陰性があり、ほかの植物が育ちにくいような半日陰でも管理できますが、日光が全く当たらないと茎だけが間延びして、花付きが悪くなるので注意しましょう。風通しのよい場所で管理すると、病害虫被害の予防になります。
サンカヨウは、水はけと通気性のよい用土で育てます。市販されている用土を利用する場合は「草花用培養土」や「山野草用培養土」が使用できます。自分で配合する場合は、赤玉土と腐葉土をよく混ぜ込んだ用土を使用しましょう。鉢植えにする場合は、鉢底ネットと鉢底石を使用すると、さらに水はけがよくなります。
地植えにする場合の用土作りは?
サンカヨウを地植えにする場所が粘土質の場合は、腐葉土や川砂をたっぷりとすき込んで、排水性を高くしてから植え付けましょう。また、用土が硬いと根が成長しにくく、株が大きく育たない恐れがあります。そのため、用土をしっかりと耕してフカフカの状態にしてから植え付けてください。
サンカヨウを地植えで育てている場合は、完全に根付いてしまえば降雨のみで十分なため、水やりの必要はありません。鉢植えの場合は、土の表面が乾燥してから、鉢底から水が流れ出る程度にたっぷりと水やりをしてください。受け皿に溜まった水はすぐに捨てて、用土が乾きやすい環境を整えておきましょう。
サンカヨウは日本の山野に自生している植物のため、肥料を与えなくても問題なく育ちます。しかし、株を大きくしたい場合や成長が滞っている場合は、2月〜3月にかけて寒肥として鶏糞や油かすなどの有機質肥料を株元に適量与えてください。肥料の与えすぎは、肥料やけを起こして枯れる原因となるため避けてください。
アブラムシは年間を通して発生しやすい害虫です。集団で寄生して、サンカヨウの栄養分を吸汁しながら成長します。数が少ない場合はガムテープなどを使用して駆除しますが、大量発生した場合は殺虫剤を散布して駆除してください。光り物が苦手な性質を利用して、サンカヨウの周りに園芸用のシルバーテープを張り巡らせておくと、アブラムシの発生を予防できます。
灰色カビ病は、多湿の環境で育てていると感染しやすいカビが原因の病気です。感染した部分が、灰色の楕円形状に変色するのが特徴で、放置すると腐敗が始まり悪臭を放つようになります。灰色カビ病に感染した部分は、薬剤を散布しても治せないため早めに処分しましょう。
サンカヨウの花後に花がらを放置すると、葉や茎に花がらがくっついてカビが発生しやすくなります。カビが原因の病気に感染しやすくなるため、花後はこまめに花がら摘みを行い、株を清潔に保ちましょう。
サンカヨウは山野草に分類される植物のため、園芸店やホームセンターに苗が並んでいない場合がほとんどです。しかし、まれに店先にポット苗が並んでいる場合があります。サンカヨウの葉につやがあり、茎がまっすぐに伸びている健康な苗を選んでください。
植え替えは、植え付けと同じ4月〜5月か9月〜10月に行います。根が細くて弱っている部分や、腐っている部分を取り除いてから、新しい用土に植え替えてください。植え替え後、完全に根付くまでは水切れに注意しながら管理しましょう。
植え替えは必要?
サンカヨウを地植えで育てている場合は、植え替えの必要はありません。しかし、鉢植えの場合は根詰まりを防ぐために、2年〜3年に1回はひと回り大きな鉢に植え替えましょう。鉢のサイズは大きくしますが、深鉢を使用すると根腐れを起こしやすくなるため、浅鉢を選ぶのがポイントです。
サンカヨウの剪定は7月〜8月に行います。葉が込み入っている部分や、茎が伸びすぎている部分を剪定し草姿を整えていきましょう。
サンカヨウは耐暑性が弱いため、鉢植えの場合は夏の暑さが厳しくなる前に、軒下や室内に移動させておくと安心です。地植えの場合は、遮光ネットや寒冷紗を利用して、30%〜40%ほど遮光してから夏越しさせましょう。夏は水分が蒸発しやすいため、朝と夕方の涼しい時間帯に葉水を行うのもおすすめです。昼に葉水を行うと、葉が煮えて枯れる恐れがあります。
サンカヨウは耐寒性が強いため、屋外で地植えでも冬越しが可能です。しかし、葉に雪や霜が当たると、株が弱りやすくなります。そのため、寒冷地の場合は、冬が来る前にマルチングをしておきましょう。鉢植えの場合は、寒さをしのげる軒下や室内に移動させてから冬越しさせてください。
サンカヨウは花後に種子をつけるため、種子から種を採取すれば種まきでも増やせます。種を採取する場合は、花後に花がら摘みを行わず、立ち枯れるまでそのまま育ててください。種子が黒くなり完全に立ち枯れたら、花茎から切り取って種子の中から種を採取します。種まきに適した時期は6月〜9月のため、種を採取したらすぐに種まきしても構いません。
山野草:サンカヨウ (山苛葉)
参考価格: 1,690円
サンカヨウは冷涼な山野に自生する多年草で、雨に濡れるとガラス細工のように透明な花に変化するのが特徴です。花後につけるブルーベリーによく似た実は、果実酒やジャムの原料としても利用されています。サンカヨウは山野草のため、苗があまり出回らない希少種です。
草丈 | 30cm〜60cm |
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おすすめ度 | ★★★★★ |
出典:写真AC