ペディランサスは、熱帯アメリカに30種ほど分布する低木です。日本では、ペディランサス・ティシマロイデスの各品種が観葉植物として栽培されています。本来は常緑ですが、日本の環境では冬になると葉を落とすため、落葉低木として管理するのが一般的です
園芸部類 | 観葉植物、多肉植物 |
形態 | 落葉低木扱い(熱帯では常緑) |
樹高・草丈 | 30cm~150cm |
花の色 | 赤 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 観葉植物、ギフト |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ペディランサスの幹(茎)は多肉質で、節ごとにジグザグの形に伸びるのが特徴です。ほとんどの種類は葉に斑が入り、日差しや気温の変化でピンク色に色づきます。
花は、同じトウダイグサ科のポインセチア同様に、花軸と一体化した花のような苞葉(ほうよう)の先に咲きます。赤い小さな花です。日本で花が咲くのはまれですが、温室で管理された植物園などで開花することがあります。
学名でもあるペディランサスは、「ペディロン(サンダル)」と「アンサス(花)」から成り、花の形に由来します。英語名は、「スリッパプランツ」「リボンサボテン」、幹と葉の形から「悪魔の背骨」「ヤコブのはしご」などです。日本では、幹と葉の形状を龍の銀色の鱗にみたてて「ダイギンリュウ(大銀龍)」と呼ばれるほか、「ジグザグプランツ」の別名もあります。
花言葉はありますか?
ペディランサスの花言葉は「千客万来」「喜び」です。縁起がよいため「商売繁盛の木」と謳って販売されることもあります。開店祝いや新築祝いなどのギフトに適していますね。
ペディランサス スマイリー ナナ | ミルクハーモニー
参考価格: 2,530円
ミルクハーモニーは、ダイギンリュウなどのスマイリー(スモーリー)系の人気品種です。銀緑色の幹に、くっきりした白い縁取りのある葉が整列し、光をあびるとほんのりピンクに色づきます。強烈な直射日光のもとでは葉焼けするので、気をつけましょう。
株の高さ | 鉢底から約40cm |
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ポットサイズ | 13.0cm×8.5cm |
ペディランサス ナナス(ハイドロカルチャー用)
参考価格: 495円
ペディランサス・ナヌス(ナナス)は、節間が短い種類です。幹がジグザグにならず、ほぼまっすぐに伸び、濃い緑色の厚い葉がきれいに並んでつくのが特徴です。ハイドロカルチャーも一般的な土栽培もできます。
苗サイズ | 4.5cm×4cm |
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付属 | プラスチック容器、ハイドロ用レカトン |
ペディランサス・ドワーフは、矮性の品種です。波打つような大きめの斑入り葉が特徴で、テーブルや棚にも飾れます。大きな園芸店やネットショップで販売されていますが、入荷するとすぐに売り切れがちです。
植え付け時期 | 5月~6月 |
剪定の時期 | 5月~6月 |
葉の観賞期間 | 4月~11月頃(生育環境による) |
花が咲く時期 | 通年(開花は主に熱帯~亜熱帯地域) |
花は咲きますか?
熱帯の花で、日本の家庭栽培で咲くのはまれです。咲かなくても問題ありません。
ペディランサスは、5月~6月頃が植え替え(植え付け)の適期ですが、初秋までならいつでも植え替え可能です。9月下旬以降に入手(贈物など)したときはそのまま育て、暖かくなってから鉢増しなどの植え替え作業をしましょう。冬には落葉しますが、室内で安定した気温を保てば一年中常緑が楽しめることもあります。
ペディランサスは熱帯原産で寒さに弱いため、鉢植えで育てます。日本では屋外での冬越しは難しく、庭植えには向いていません。
ペディランサスは、一年を通して日当たりのよい場所に置きます。光が不足すると、幹が間延びすることがあります。春~秋は、屋外に置いても大丈夫ですが、気温が7℃を下回る前に、室内に入れるようにしてください。室内でも、冬には葉が落ちて幹だけになりがちですが、できるだけ光の届く場所に置いたほうが、生育がよいです。
根腐れを防ぐ水はけのよい土に植えましょう。赤玉土、腐葉土、川砂(またはパーライト)を4:3:3程度の割合で混ぜ合わせた土を使ってください。または市販の観葉植物用培養土を使用してもかまいません。
春~秋は、土の表面が乾ききったら、水やりしてください。多肉系ですがサボテンほど乾燥した状態は好まず、水切れすると葉が落ちることがあります。夏は、水やりとは別にときおり霧吹きで葉に水を吹きかけましょう。害虫予防にもなります。冬は、土の表面が乾いて2~3日経ってから水を与えます。
4月~10月の生育期に、2カ月に1回を目安に観葉植物用の肥料または化成肥料を置き肥します。冬は肥料を与えないでください。
夏に乾燥すると、ハダニが発生することがあります。幹や葉に(裏も)霧吹きで水を吹きかけて、予防しましょう。大量に発生してしまったときは、薬剤を散布します。
生育にダメージを与えるほどの病気はとくにありませんが、たまにすす病を発症することがあります。見た目が悪くなるので、薬剤などで対処しましょう。
寒くなると生育が悪くなって、葉が枯れます。通常は紅葉してから枯れ落ちますが、色づかないまま落葉することもあります。どちらも問題ありません。室内で育てていれば、春先に新芽が出てきます。
寒さ以外で葉が弱るのは、日照不足で生育が悪いか、乾燥させ過ぎが考えられます。あるいは、水を与えすぎて、根腐れを起こしかけている可能性もあります。日照不足なら、日当たりのよい場所におくと元気になるでしょう。乾燥させ過ぎていたら、水を適切に与えれば回復します。水やりの頻度を確認してください。根腐れの場合は、植え替えます。
根腐れしていたら鉢から出し、黒くなった根を切り取って植え替えましょう。植え替え前に元気そうな枝を切り取って、挿し木で新しい株を作っておくと安心です。
ペディランサスは、ポット苗や鉢植えが流通しています。ポット苗は、幹のしっかりしている苗を選びましょう。鉢植えは、廉価なプラスチック鉢とギフト用などの陶器の鉢植えがあり、陶器製の鉢植えは値段が高くなります。
長く植えていると鉢の中で根が回り、根詰まり状態になってきます。1~2年に1回は植え替えてください。鉢底石を敷いて、水はけをよくします。伸びすぎていたら、植え替え前に剪定をして樹形を整えましょう。
幹が伸びすぎたり、途中の葉がなくなったりして間延びした状態になったときは剪定しましょう。切り口の下方から新しい芽が出てきます。切り取った枝で挿し木をすれば、株を増やすこともできます。
耐暑性があり、夏越し対策はとくに必要ありません。
外に置いてある鉢植えは、冬になる前に室内に移動させてください。10℃以上を保てて、日差しの届く場所に置きます。冬の間は、やや乾燥気味に水やりし、肥料は与えません。
ペディランサスの増やし方は、挿し木が比較的簡単です。5cmほどの枝を切り取って挿し穂にし、下方の葉を落とします。切り口から白い樹液が出るので、拭き取って乾かしてから土に挿します。土は川砂か小粒の赤玉土、または挿し木用土を使ってください。樹液はかぶれることがあるので、手袋などをして直に触れないよう気をつけましょう。
小さな株は、レカトンなどを使ったハイドロカルチャーもできます。