ナスの花の特徴
実や葉とのコンビネーションの美しい淡い紫色の花
ナスは、中心に黄色の5本の雄しべのある、星型の花を咲かせます。色は写真のとおり、淡色紫色をしています。花単独でも美しいのですが、紫色の葉脈が通った緑色の葉と、濃い紫色のつやつやした実を背景にすると、さらに花が引き立ち、観賞用としても楽しむことができます。
花期は、6月から10月位まで
6月始めに一番花が咲き、基本に従い手入れすれば10月位まで花を次々と咲かせ、たくさんの実を付けます。「花が咲けば実になる」と言われるはど、咲いた花がよく実になるのもナスの特徴の一つです。
ナスの花言葉と由来
花そのもの印象由来のほかに、食材イメージ由来もあり、ナスにはいくつかの花言葉があります。
- 花由来 :「優美」・・・うつむき加減に咲く淡い紫色の花の印象より
- 食材由来 :「よい語らい」・・・庶民の食卓の定番夏野菜イメージより
- 食材由来 :「希望」・・・「花が咲けば実になる」というイメージより
- トマト :完成美、感謝
- ピーマン:同情、海のめぐみ です。
ナスの種類
白茄子や青茄子など色も形も豊富
日本だけでも200種類近い品種があり、様々な形のナスがあります。「卵形ナス」、「丸いナス」「細長いナス」、さらに大きさも様々で、各地で特色のある姿のナスが栽培されています。色も日本産は濃い紫色が主流ですが、世界的には白茄子や青茄子(黄緑色)のほか縞模様のナスもあります。
その他のナス科の植物
ナス科は115属からなる大きな群で、ナス・トマト(ナス属)、ピーマン(トウガラシ属)などの食用のほか、観賞用のペチュニア(ペチュニア属)やアサガオ・エンゼルトランペット(チョウセンアサガオ属)などガーデニングによく使われる種類もあります。花の形は、星型またはそれをラッパ状に伸ばした形をしており、これはナス科植物に共通する特徴です。
ナスの歴史
「ナス」は「なすび」の室町時代の宮中女房言葉
原産地はインドの東部で、奈良時代に渡来しました。実の味や、夏に成ることより「中酸実」(なかすみ)・「夏実」(なつみ)、それが「なすび」(奈須比)に変化したという説が有望です。その後、室町時代に「なすび」の女房言葉「なす」が生まれ、これが広がり定着しました。女房言葉とは宮中女官の独特の言葉で、現代の業界用語ようなものです。なすびという名前も現存していることはご存知の通りです。
江戸時代に入ると庶民の定番夏野菜に
ナスの栽培は、奈良時代にすでに始まっており1000年以上の歴史があります。当初は高位高官への進物用の貴重な野菜でしたが、「ナス」の名前と共に栽培も広がり、江戸時代には庶民の食卓に欠かせない定番夏野菜として、庶民の食材の象徴的な存在になりました。
ナスの育て方
苗を植える
元肥を充分に施した苗床を準備する
植え付けの2週間程前に苗床を準備します。堆肥・苦土石灰・土をよく混ぜ、さらに化成肥料(N:P:K=8:8:8)を加えます。栽培するスペースがあれば、地植えの方が育ちもよく好ましいのですが、プランターでも充分に楽しめます。30リットル以上の深型の菜園プランターを用いましょう。
接ぎ木苗を購入する
苗は、連作障害が少なく、病害虫に強い台木に育てるナスを接ぎ木した「接ぎ木苗」を選びます。トマトやピーマンなどの栽培でも、接ぎ木苗を用いるのが一般的です。品種は限定されますが、季節になるとホームセンターなどで購入できますし、ネット通販を利用すれば、白茄子や青茄子などの珍しい品種も入手することができます。植え付け前1週間程外に置いて環境に慣らすと育ちが良くなります。寒の戻りの心配がなくなる「5月上旬~5月中旬頃」に、苗の間隔を広め(45cm程度)にとって植え付けます。
こまめに水やりと追肥を!
ナスは乾燥に弱いので水やりが大切です。逆に水をやり過ぎても根腐れの心配がありますので、土の表面が乾いたら株元にしみこませるようにたっぷりと水を与えます。また、ナスは多くの肥料を必要とする作物ですので、植え付け2週間後から2週間に1回の頻度で追肥します。土1リットルに対して化成肥料1グラム(30リットルプランターなら30グラム)が目安です。
一番花を大切にし、3本仕立てに
人口授粉で確実に実に育てる
ナス栽培では、一番花を実まで育てることが重要です。そのために一番花は確実に授粉するよう人口授粉します。花を軽くたたき中心にある黄色のおしべの花粉をおしべの内側にあるめしべに授粉させます。また、一番花からできた実を小さいうちに摘み取ることで、後の収穫量を増やせます。
一ヶ月ほどで実が採れるようになります
一番花の付いた枝と、一番花の直下の節から出るわき芽を2つを伸ばし3本仕立てにします。その他のわき芽は、不要なわき芽ですので小さいうちに手で摘みます。残したわき芽から伸びた枝にも支柱をします。
不要なわき芽を摘んで3本仕立てに
順調に育てば6月中旬頃には最初の実が採れ、その後は次々と実の採れる収穫期に入ります。
秋ナスを楽しむ
真夏に思い切って切り戻し、根切りをする
真夏は株が疲れるので、養生させ秋ナスに備えます。7月下旬~8月上旬に、3本の枝を半分近くまで切り戻します。葉も1つの枝に2~3枚まで間引きます。合せて根切もします。根元から30cm(プランターの場合は、15~20cm)位の位置にスコップをまっすぐに差し込んで根を切ります。暫らくすると新芽が出て。秋には再び収穫できます。
樹勢を保つ
樹勢が衰えると、正常な花芽を作ることができなくなり、花が落ちることに繋がります。
花が落ちる理由と対策
葉を間引き、日照と風通しを確保
日照不足・寒冷・水不足・肥料過多など環境が悪化すると樹勢が衰えますが、前述の水やりと追肥の基本を守っていれば大きな心配はありません。一つ注意したいのは、葉の茂り過ぎです。日照と風通しの妨げとなりますし、株元に水が
入らない原因にもなります。葉を間引いて株の中心部まで陽射しや風が入るようにします。
実を若どりして樹勢を保つ
ナスは、たくさんの花を咲かせて実を付けます。しかし、全ての実を大きく育てると、株が衰弱しますので、やや若どりして樹勢を保つようにします。これにより、健全な花が咲き、花が落ちることが防ぐことができ、結果的に収穫量も増えます。
病害虫対策
接ぎ木苗を使えば病害に大きな心配はありません。注意したいのは、害虫、特に「アブラムシ」です。アブラムシは、株の養分を吸い取り樹勢弱らせるのみならずウイルスを媒介して病害を発生させることもあります。見つけたら殺虫剤などで速やかに駆除します。予防対策として植え付ける際に浸透性移行剤を散布するのも有効です。
まとめ
ナスは、若干手間はかかるものの初心者でもたくさんの収穫が期待できる作物です。ガーデニング感覚で一度栽培して、「優美」の花言葉を持つ花を実際に鑑賞されてはいかがでしょうか。収穫も楽しみです。自ら育てた新鮮なナスの美味さは格別です。合せて、白茄子や青茄子などを作ると収穫が目でも楽しめます。また、同じナス科のピーマンやミニトマトは、更に育てやすくたくさん収穫できる作物です。同じ科ですので、育て方は概ねナスと同じ要領です。花の見比べ、実の食べ比べも楽しいです。
出典:写真AC