ナス栽培の概要
育て方の概要と難易度
種類 | 科目 | 好適土壌pH | 連作障害 |
ナス | ナス科 | 6.0~6.5 | あり。4年以上空ける |
ナスは育てやすい野菜
ナスは身近な夏の野菜で、日本では奈良時代から栽培されてきました。加茂ナス、水ナス、アカナスなど、さまざまな種類が各地に伝わっています。「なすび」と呼ぶ地域もありますね。日本の風土によく合って育てやすく、植え方も難しくはありません。
ナスの栄養素
ほとんどが水分ですが、ナスニンというポリフェノールが含まれていて、抗酸化作用があります。ナスニンは、皮の部分に多く含まれているアントシアニン系の色素で、目の疲れにも効きます。
育て方のポイント
①植え方は浅植え
植え方は浅めに植えます。根を広げて育ちますので、幅広の畝か大きなプランターが適しています。
②水やりと追肥を欠かさない
水切れ、肥料切れを嫌います。水やりと適期的な追肥を忘れなければ元気に育ち、秋まで収穫を楽しめます。
③整枝する
収穫をよくするために脇芽掻きや摘心をして整枝していきます。3本仕立などの仕立て方は、コツをつかめば難しくありません。
④連作障害に気を付ける
連作障害には気をつけましょう。同じ場所に植え続けると土地が痩せ、その作物特有の病原菌が発生しやすくなります。ナス科は連作障害を起こしやすいので、4年間はナス科の野菜を植えていない土に植えます。病気や連作障害に強い接ぎ木苗をおすすめします。
ボタニ子
ナス科の野菜にはどんなものがありますか?
ナス科の野菜は、ナス、トマト、ピーマン、パプリカ、シシトウ、トウガラシ、じゃがいもなど。家庭菜園でも人気の野菜ばかりですね。数年間の作付けプランを立て、複数の畝で輪作するなど工夫しましょう。
ナス栽培の時期
ナスの栽培カレンダー
ナスはインド原産で、高温多湿な日本の気候に合った作物です。遅霜の心配がなくなる4月末から5月頃に苗を買って植え付ければ、秋まで長く収穫できます。2月~4月初旬の種まきは、温室(トンネル)で育苗します。
ナスの種まきの仕方
種まきの時期
種まきには適切な温度が必要となります。種から育てる場合は、温室やトンネルで種まきして苗を育て、植え付けの時期に合わせます。または、初収穫時期は遅くなりますが、暖かくなった4月頃に種まきします。その頃なら畑に直播してもいいでしょう。
種まきの方法
- 用土は市販の種まき用土か赤玉土。
- 育苗ポットに土を入れて湿らせてから1ポットに2~3粒種まきする。
- 発芽まで乾かさないように管理する。
- 寒い時期なら、ビニールでプチトンネルを作って保温する。
- 双葉が出たら、間引きして1本にする。
- 4月中旬~5月上旬に植えつけます。
鉢植え栽培もできる
大きなプランターに植える
プランター栽培は、できれば大きなプランターに植え付けましょう。9号鉢以上がいいですね。上の写真の後ろ2つの鉢は少し小さいです。これでも十分収穫はできますが、同時期に同じ植え方をした他の株と比べると、成長の違いがよくわかりますね。収穫量も違ってきます。植え方は、浅植えにします。
ナス(千両二号)を栽培してみました
千両二号を露地栽培
植えるのは「千両二号」です。この品種は、丸ナスと長ナスの中間くらいの大きさで、中長ナス(長卵形ナス)と呼ばれ人気もあります。種まきして育てた苗ではなく、市販の接ぎ木苗を庭の家庭菜園に植え付けていきます。(ここからは、栽培日記風にご紹介します。)
栽培者のプロフィール
- 家庭菜園歴:10数年
- ナス栽培経験:あり
- 栽培地:四国。家庭菜園は、やや砂質の土地
- ひとこと:野菜・花き園芸を営んでいた亡き祖母に教わりましたが、最近はなんちゃって栽培になりつつあるので、基本を思い出しながら育てようと思います!
ナス栽培(千両二号)①準備
土づくり
苦土石灰で土壌を調整(植え付け2週間前)
まず耕します。苗2株を植え付ける予定で、長さ140cm、幅65cmの畝を予定しています。ナスは放射状にひろく根を伸ばす特徴があるので、畝幅は広くした方がいいですね。植え付け2週間ほど前に、苦土石灰で土の酸度を調整しました。
元肥をほどこす(植え付け1週間前)
植え付け1週間前に畝全体に軽く油粕をすきこんだあと、30cmほど掘って堆肥を、その後ナス用の肥料を施しました。
ナスの肥料
今回は元肥に「ナスの肥料」バットグアノ(蝙蝠の糞から作った天然肥料)入り、というのを初めて使ってみます。良さそうだったら、追肥にも使ってみます。今までよく使ったのは、「ナス、トマト、キュウリ、実もの野菜の肥料」や有機化成肥料で、初めて栽培する人にはこちらをおすすめします。
畝立てとマルチング
水はけのいい土地なので、高さ約10cmの低い畝(平畝)です。煉瓦を重しに使用し、片手でマルチを引っ張りながらもう片方の手でガーデンスコップ(移植ごて)を使って土をかけました。手慣れた人は片足でマルチを踏んで引っ張りながら鍬で端を埋めていきます。
筆者撮影