ナスは生で食べられる?
ナスはインド東部が原産とされる野菜で、奈良時代には日本に伝わっていたとされています。ナス紺という色があるほど、古くから親しまれてきた野菜です。「本朝食鑑」によると江戸時代には、漬物や和え物、またはあつもの(汁物などの暖かな料理)として食されていたようです。
ボタ爺
生で食べても大丈夫
味にくせがなく調味料が浸み込みやすいナスは、焼きナスや煮びたしのほか、ナスグラタンや麻婆ナスなど、和・洋・中華のさまざまな料理の具材に使われます。ほとんどは火を通した料理ですが、ナスの塩漬けや酢漬け(マリネ)があるように、ナスは生で食べても大丈夫です。ただしアクがあるので、サラダにするときは塩もみなど、アク抜きの下処理をしたほうがおいしく食べられます。
ナスの栄養と生食の留意点
成分 | ナス100g中の含有量 |
エネルギー | 22kcal |
水分 | 93.2g |
食物繊維 | 2.2g |
タンパク質 | 1.1g |
カリウム | 220mg |
炭水化物 | 5.1g |
ビタミンC | 4mg |
ナスは9割が水分で、カロリーの低い野菜です。主な栄養分としては、カリウムやナスニンというポリフェノールが含有されています。食物繊維は、特に多く含まれる野菜ではありませんが、それなりの量は摂取できます。
カリウム
カリウムには、ナトリウムを排出する作用があり、塩分の摂り過ぎを体内で調節してくれます。また、カリウムと水分を多く含む野菜は身体にたまった余分な熱を放出する効果が期待できます。カリウムは熱を通すと若干失われるため、生で料理することで効果的に摂取できる成分です。水に流れやすいため、下処理の際には長く水にさらさないようにします。
暑い夏にはありがたい野菜だけど、秋や冬に生で食べ過ぎると身体を冷やしちゃうかもね。季節によって、食べる量や調理方法に注意しましょう。
ナスニン
ナスニンは、紫色の皮の部分に多く含まれているアントシアニン系の色素ポリフェノールです。強い抗酸化作用があり、動脈硬化を予防し、生活習慣病などの原因となる活性酸素を抑制する効果が期待されています。ナスニンは油と一緒に料理すると効率よく摂れるため、生食の場合は、マリネ液やドレッシングにオイルを混ぜるとよいでしょう。
生食に向いているナス
新鮮なナス
鮮度の高いナスは、アクやえぐみが少なく、下処理なしでも食べられます。ヘタと実の境目が白いのは、収穫して間もないナスです。時間が経つとこの部分もナス紺色に変わってきます。買い置きしたナスは熱を通す料理に使い、生食には、水分が多く含まれている新鮮なナスを使いましょう。
収穫時期の早いナス
苗がまだ若い時期に収穫したナスは、皮が薄くアクも少ない傾向があります。露地栽培では、6月~7月頃に収穫するものは皮が比較的柔らかです。秋口になるとおしりの部分が茶色くなるものも含まれます。十分食べられますが、少し堅くなっているため生食には向いていません。
皮の薄いナス
生食には皮の薄いほうが食べやすいですね。産地や収穫時期による個体差はありますが、一般的に皮が薄いのは卵型や中長ナス、小ナスで、その次に長ナスです。丸いナスは皮が厚めで実が引き締まっているため、火を通す料理に向いています。
中長ナスは、細長過ぎもせずまん丸でもない。よく出回っている千両ナスなどの、下方が太い長卵型の種類だよ。
水ナス
水ナスは卵形のナスで、皮だけでなく果肉も水分が多くてみずみずしく、サラダなど生で食べるのに適しているナスです。大阪の泉州などの産地が有名ですね。近年、水ナスの交配品種でやや長い形の「美男ナス」や「サラダナス」などが出回るようになっています。これらもアクが少なく生食に向いています。
生食のナスの下処理
アク抜きが必要
生のナスには苦味やえぐみなどのアクがあり、生のままで放置していると渋味が出て、色も黄色く変色して見た目も悪くなります。調理方法によっては必ずアク抜きしなくてはならないわけではありませんが、生で食べるとときは、アク抜きをしましょう。酢漬けなどの漬物や、すぐに塩処理する料理の場合は必要ありません。
下処理の方法
①水または塩水にさらす
切ったナスを、ボールなどに張った水または塩水に浸けて、手でかき回します。2分程度でザルにあげましょう。塩水の場合、塩の量は小さじ半分程度です。塩水のほうが、やや色がきれいになり、塩味はさほど残りません。
②塩を振りかける
水にさらさずに、ナスの切り口に塩を振りかけて水分を出してアクを抜きます。こちらは塩味が少し残ります。調理方法によっては、ペーパータオルで水分を拭き取りましょう。生サラダにするときは、少しもんで軽く水気を切ると柔らかくなりますよ。
ボタニ子
次のページで、ナスのサラダや漬物レシピを紹介するよ!
「本朝食鑑」(ほんちょうしょっかん)は江戸時代に書かれた食物辞典のような書物じゃ。