ナスは栄養豊富な野菜
ナスは和食や洋食、中華などさまざまな料理に使える便利な野菜です。100gあたりに含まれる成分のほとんどが水分のため、カロリーが低くダイエット食にも利用されています。ナスは実の部分だけでなく、皮やへたまで栄養が含まれており、健康維持やアンチエイジングなどに効果的な食材です。
特徴➀開花後2週間ほどで収穫できる
ナスは6月〜10月にかけて、ナスの皮と同じ紫色の花を咲かせるのが特徴です。開花後、約2週間ほどで収穫適期になります。皮につやがあり、実が水分をしっかりと含んでいる状態が食べ頃です。
特徴➁皮まで栄養が含まれている
ナスは皮の部分までしっかりと栄養が含まれています。とくに、ナス独特の栄養素「ナスニン」は、ナスの皮に含まれている貴重な栄養素です。皮の歯ざわりや食感が気になる場合は、漬け物にする前に塩もみしたり、焼きナスにアレンジしたりすると食べやすくなります。
特徴③へたまで食べられる
ナスを調理するときに「がく」を取り除きますが、その「がく」の内側にある「へた」は食べられる部分です。へたの真ん中に包丁を浅く入れて、くるっと一周回すように切り込みを入れると、がくだけが簡単に取り除けます。栄養はへたにも含まれているので、捨てずに料理に利用しましょう。
ナスの栄養はどの部分に多い?
ナスに含まれている水分量は、ナス全体の約94%といわれています。ほとんどが水分のため、カボチャやにんじん、ほうれん草などの緑黄色野菜に比べると、栄養満点の食べ物とはいいがたい野菜です。しかし、ナスには老化予防や、夏バテ解消に効果的な成分が含まれています。普段は捨ててしまうへたの部分まで、栄養がしっかりと詰まっているのが特徴です。
栄養➀ナスニン
ナスニンは、ナスの皮の部分に多く含まれている成分で、ポリフェノールの一種です。ナスニンには「抗酸化作用」があり、免疫力の低下や老化を予防する効果が期待できます。ナスの皮が紫色をしているのは、ナスニンに含まれる「アントシアニン系色素」というポリフェノール色素によるものです。ナスを料理する場合は、皮ごと茹でたり炒めたりしましょう。
栄養➁カリウム
カリウムは、ナスの実の部分に多く含まれている栄養素です。からだの中にたまった熱を体外に放出させる働きがあり、夏バテ防止に効果的といわれています。加熱すると水分と共に流れ出てしまうため、サラダや漬け物にするのがおすすめです。小さな子どもや妊婦など、からだをあまり冷やさないほうがよい場合には食べ過ぎないように注意しましょう。
栄養③コリンエステル
コリンエステルは「コリン」とも呼ばれている栄養素で、糖質や脂肪分をエネルギーに変換する作用があり、ダイエットにも効果的です。ナスの実や皮の部分に含まれ、血圧の低下やリラックス効果も期待できます。コリンエステルはナス100gあたりに5.5mg含まれており、ほかの野菜の3,000倍以上の含有量があるのが特徴です。
栄養➃プロテアーゼインヒビター
プロテアーゼインヒビターは、ナスのへたの部分に多く含まれている栄養で「タンパク質分解阻害剤」として知られています。炎症を鎮める「抗炎症作用」が含まれており、口内炎にも効果が期待できます。へたはがくの内側にある、実と茎を繋いでいた硬い部分です。ナスのがくにはトゲがあり危険なため、料理には利用できません。
栄養⑤葉酸
ナスの実には葉酸も含まれています。食品の中でも葉酸を多く含むといわれるレバーには、100gあたり1,300μgの葉酸が含まれているのが特徴です。しかし、ナスには20μgほどしか含まれておらず、豊富に葉酸が含まれているわけではありません。葉酸は妊婦が摂取すべき栄養素とされていますが、ナスはからだを冷やす恐れがあるため注意しましょう。
栄養➅ビタミン
ナスはビタミン豊富な野菜とはいえませんが、ビタミンBやビタミンE、ビタミンKなどが実とへたの部分に含まれています。ビタミンは皮膚の粘膜を保護したり、子どもの発育を促したりと、健康なからだづくりに欠かせない栄養素です。ビタミンの中でも、とくにビタミンCとビタミンKが豊富に含まれています。
ビタミンB1 | 0.04mg |
ビタミンB2 | 0.04mg |
ビタミンB6 | 0.06mg |
ビタミンC | 6mg |
ビタミンE | 0.3mg |
ビタミンK | 9μg |
葉酸 | 20μg |
可食部100gあたり
栄養➆食物繊維
ナスの実とへたの部分には食物繊維が含まれています。食物繊維は胃腸の働きを助けたり、消化を促したりする役目があり、健康維持やダイエットにも効果的です。ナスを食べると、便秘解消や整腸効果、アンチエイジングなどの効果が期待できます。
ナスの栄養を逃さない調理法
ナスはハウス栽培が盛んな野菜のため、ほぼ1年中スーパーなどで見かけられますが、旬の時期は6月〜9月です。夏野菜の代表とされており、茹でたり炒めたりさまざまな食べ方ができます。ナスは加熱すると栄養が流れ出る恐れがあるため、少しでも栄養を逃さない調理法を覚えておきましょう。
調理法➀切れ目を入れて煮る
ナスを煮る場合は、火にかける時間をできるだけ少なくするのがポイントです。煮る時間が長いと栄養が流れ出てしまい、ナス本来の栄養が摂取できなくなります。そのため、ナスに切れ目を入れてから煮込み、煮る時間を短縮しましょう。また、切れ目を入れると栄養が流れ出るの防ぐだけでなく、味が染み込みやすくなりおいしく仕上がります。
調理法➁油で炒める
ナスを炒める場合は、油をたっぷりと使って炒めるのがおすすめです。油を使用すると切り口が油でコーティングされ、栄養が水分と共に流れ出るのを防げます。油を使った炒め料理のほかに、天ぷらや揚げ物にしても構いません。
調理法③茹でてから切る
ナスの切り口から栄養が流れ出るのを防ぐために、先に茹でてから切る方法もあります。油を使用して調理した場合は大丈夫ですが、水を使って茹でたり煮たりすると栄養が流れ出やすくなるので注意が必要です。先に加熱してから食べやすい大きさに切ってください。
調理法➃加熱を控えめにする
ナスは熱に弱く、長時間茹でたり炒めたりすると栄養を逃してしまうのが特徴です。夏バテ予防やダイエット食として利用する場合は、サラダや漬け物など、加熱をしなくても作れる料理にアレンジしましょう。ナスは低温に弱い性質があるため、冷蔵庫で保管する場合はなるべく早めに食べきってください。
ボタニ子
次のページでは、ナスの栄養を逃さない食べ方やナスの品種をご紹介します。
出典:写真AC