茄子をプランターで育てよう!
茄子の特徴
茄子は、キュウリやトマトと並んで、夏を代表する野菜の一つです。インド原産なので暑さに強く、日本の高温多湿な夏の気候でもよく育ちます。低カロリーで栄養豊富なだけでなく、プランターで気軽に作れることから、家庭菜園やベランダ菜園に人気です。
プランターで育てやすい茄子の品種
茄子は、とても多くの品種がある野菜です。プランター栽培する際、実が大きいものや長いものは成長するまでに時間がかかり、失敗する可能性も多くなります。長すぎず大きすぎない「千両」や「千両二号」、小さめのサイズの「民田」や「出羽小茄子」などがプランター栽培や家庭菜園に向いています。
苗選びのポイント
茄子の苗には、種から作られた実生苗と、接ぎ木で増やして作られた接ぎ木苗の2種類があります。接ぎ木苗は連作に強く肥料の吸収がよい特徴を持っており、家庭菜園に向いています。初心者の人は失敗を減らすためにも、接ぎ木苗を選びましょう。
茄子のプランター栽培方法①準備
プランター
茄子は栽培期間が長く、種類によりますが背丈は1mほどまで伸びます。根も深く張るため、サイズは幅・奥行・深さがともに30cm以上で、容量15L以上のものを選びましょう。鉢植えで育てたい場合は、深さのある直径30cmの10号鉢がおすすめです。
用土
茄子は土壌適応性が高くあまり土を選びませんが、水はけと水持ちのよい用土を好みます。自作する場合は、赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1と、苦土石灰を土10Lに対して10g混ぜましょう。市販の野菜用の培養土を使用する場合は、肥料入りのものを選ぶと元肥を施す必要がなくなるためおすすめです。
支柱
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茄子は、幼苗時期にはぐらつきを防ぐために仮支柱を、成長過程には風などで倒れないために本支柱を立てる必要があります。仮支柱のサイズは長さ約60cm~70cmのものを1本、本支柱のサイズは長さ約150cmのものを3本用意しましょう。太さは約11mm~16mmあれば十分です。
茄子のプランター栽培方法②植え付け
植え付け準備
プランターに土を入れる際は、水やりの際に水があふれ出すのを防ぐため、プランターの上から土表面までの間にウォータースペースと呼ばれる2~3cmの隙間を作りましょう。苗はポットから取り出したら、水を張ったバケツに根の部分を浸し吸水させてください。吸水させると、植え付け後の苗の状態がよくなります。
植え付けのやり方
- プランターの土に、苗と同じくらいの穴を掘る
- 根鉢を崩さないように、1の穴に植え付ける
- 仮支柱を立てる
- 水をたっぷりかける
注意点
茄子の苗の植え付けの適期は4月~5月です。あまり早い時期に苗を購入すると、保管中の冷えや寒さで弱る可能性があるため、苗は植え付け直前に購入してください。植え付け後は約1週間で定着しますが、朝晩が冷え込むようであれば寒冷紗に入れて保護しましょう。乾燥が苦手なので、水やりはこまめにしてください。
茄子のプランター栽培方法③仕立て方
仕立てとは
不要な枝を乗り除く作業のことを「仕立て」といいます。仕立てをする理由は「実に栄養を行き渡らせやすくする」「通気性をよくし病害虫を防ぐ」「管理しやすくする」などです。茄子の仕立ての最適期は、苗の成長期である6月頃です。茄子の仕立て方は、次に挙げる2パターンがあります。
2本仕立て
茄子の苗の仕立てのタイミングは、最初の花である「一番花」が咲いた時です。花のすぐ下の枝のわき芽を1つだけ残して、ほかのわき芽は全て切り落としてください。上に伸びる主枝と、残したわき芽が伸びてできる側枝の2本に成長を集中させます。実に栄養が行き渡りやすくなり、実が大きく育つメリットがあります。
3本仕立て
仕立てのタイミングは2本仕立てと同様です。花の下の2本の枝に付いている2つのわき芽を残して、ほかのわき芽は全て切り落としましょう。上に伸びる主枝と、残した2本のわき芽が伸びてできる側枝の、合計3本に成長を集中させます。3本仕立てのメリットは収穫量が増えることです。
茄子のプランター栽培方法④支柱の立て方
仮支柱の立て方
仮支柱は、苗の植え付けと同時に立てます。株元から10cm~15cm離れた位置に挿し、苗の下から約15cmの位置を紐で結んで固定してください。少し傾いた状態になりますが問題ありません。苗がある程度大きく育ったら、仮支柱から本支柱に立て替えましょう。
本支柱の立て方
本支柱は、仮支柱があった場所に1本挿します。わき芽が育ってきたタイミングで、2本仕立ての場合は1本、3本仕立ての場合は2本、側枝が伸びる方向に沿わせる形で支柱を追加します。それぞれの枝に紐で固定し終えたら、苗の中心部あたりで支柱同士を束ねて固定してください。
茄子のプランター栽培方法⑤肥料と水やり
元肥のやり方
茄子は肥料を好む植物なので、元肥はたっぷりあげましょう。植え付けの1週間くらい前に、化成肥料をひと握り(20g~30g)施してください。初めからリン酸を多く含む肥料を与えると、実付きがよくなります。肥料入りの培養土を使用する場合は、元肥を施す必要はありません。
追肥のやり方
茄子は実を付けるとともに、葉や茎を伸ばしながら成長していく植物なので、追肥が欠かせません。植え付けから1ヶ月ほど経過したら、2週間に1回追肥しましょう。1回目は株周りに化成肥料をひと握り分、2回目以降は根の先端部分にぼかし肥料や鶏糞を40g~50g与えてください。
肥料切れの見分け方
茄子が肥料切れを起こしているかどうかは、花を見て判断しましょう。花の中には中心に雌しべが1つ、その周りに雄しべがあります。雌しべが雄しべよりも長ければ肥料は十分です。雌しべが雄しべより短ければ肥料が不十分なため追肥が必要になります。
水やりの方法
茄子は乾燥に弱く水が大好きです。株を上手に育てるためにも、水切れには気をつけましょう。ただし、あげすぎると根腐れの原因になるため、タイミングには注意が必要です。水やりのタイミングは「葉がしんなりし始めた頃」です。茄子は夜に水分が多い状態だと、茎が細く葉が間延びする「徒長」になるため気をつけてください。
茄子のプランター栽培方法⑥管理
摘芯
茄子の摘心のタイミングは、苗に花が1~2つ付いた頃です。花の1つ上の葉や枝を切り落としましょう。摘芯することで、その後の成長がよくなります。一番初めについた実「一番果」も、まだ成長中の株に負担をかけないために、8cm~10cmになったら収穫してください。
病気
茄子がかかりやすい代表的な病気は、青枯病、うどん粉病、褐色腐敗病です。いずれも多湿状態で起こるため、水のあげすぎに注意し風通しのよい場所で管理しましょう。
害虫
茄子につきやすい代表的な害虫は、アブラムシ、ハダニ、テントウムシダマシです。いずれもすぐに増え植物に悪影響を与えるため、見つけ次第すぐに取り除きましょう。
まとめ
茄子は、しっかりとした準備を行い、育て方のコツさえ掴めばプランターでも簡単に育てられます。自分で作った野菜の味は格別です。ぜひ一度ベランダで手軽にできる茄子のプランター栽培にチャレンジしてみてくださいね。
主枝1本と側枝1本の計2本を伸ばしていくことを「2本仕立て」といいます。
出典:筆者作