東京の植物園で自然や植物について学ぼう
自然学習は別に山奥に行かなくても、近くの植物園でもできます。例えば都内の目黒でも豊かな自然に触れながら本格的な学習が可能です。そして、より深く自然にふれあいながら学習したければ、都心からも近い多摩地区に足をのばせば可能になります。真夏に涼しい室内で植物学習で夏休みの宿題にもばっちりです。
国立科学博物館附属自然教育園
特徴
「自然教育園」は都内でおしゃれな街で知られる目黒駅・白金台駅近くの場所にあります。白金は白金台地と呼ばれ今も古来から残る自然豊かな地形です。かつてこの地に流れた目黒川、渋谷川の低湿地には水田が広がり、広々とした原野には染料となる、ムラサキの栽培もされていたと言われています。
目黒や白金という立地から、園の近くはおしゃれな飲食店などが多くあるので、デートや散歩コースとしてもおすすめです。
多摩森林科学園
特徴
多摩森林科学園は自然がそのまま残る八王子にあります。主にサクラの保存研究に特化した施設です。園内の林はサクラの名木や栽培品種が国内でも最大級で、貴重な遺伝的資源です。またサクラの品種改良などによる異名同種や同名異種などが混在しているので、正確な識別をしサクラの保全につなげる研究に尽力をしています。
園内に併設された「森の科学館」は、森林に関わる研究成果を知ることのできる施設です。室内にはパネルや映像、豊富な資料が展示してあります。木材や幹の標本も多数あり、実際に触れることもできます。また、定期的に森林講座も開催しています。
室内だけではなく野外でもおすすめポイントがあります。ガイドによる周辺の森を歩くイベントもあるので、四季の自然を学びながらふれあいを満喫できるので要チェックです。
東京で熱帯植物をみるならここへ!
植物園といえば温室があって日本では観ることのできない珍しい、熱帯・亜熱帯植物を観ることができるのもいいですね。都内にはそんな熱帯・亜熱帯の植物を中心に展示しているおすすめの植物園があります。
夢の島熱帯植物館
特徴
工場やビジネスオフィスで栄える江東区の人工島新木場には、都民の憩いの場である都立夢の島公園があり、その施設のひとつに「夢の島熱帯植物園」があります。熱帯雨林の気候を再現したシンボル的な大温室は遠目にも目立ち、通る人達の興味をひくことでしょう。熱帯雨林を再現するのに必要なエネルギーは同じく新木場にある、新江東清掃工場のゴミ焼却熱でつくられる、高温水を再利用し循環させまかなっているのが特徴です。
「大温室」は夢の島植物園の中心施設です。外観はドーム型の温室が3つ重なったようなデザインです。ドームごとにテーマが設けられていいます。
Aドーム「木生シダと水辺の景観」
Bドーム「ヤシと人里の景観」
Cドーム「小笠原の植物とオウギバショウ」
「食虫植物」だけを展示した温室もあります。園にはipadを使ったビデオ案内の貸し出しがあったり、毎月館内ガイドツアーやワークショップ、季節ごとのイベントもあり飽きさせない工夫があります。
おすすめなのは室内の主な設備やイベントです。映像ホールや情報ギャラリー、イベントホールなどの施設が充実しているので、完全に室内での鑑賞と体験学習の両方ができるところです。室内ということは雨の日でも1日楽しめるので、天気を気にしないですむのが魅力です。そして、植物や熱帯ついて学びながら、私たちの生活にどのくらい密接に関係しているかがわかる植物園です。
板橋区立熱帯環境植物館
特徴
板橋区立熱帯植物館は「グリーンドーム熱帯館」として、近隣地域の人に親しまれている熱帯植物館です。温室は板橋清掃工場の余熱を利用し、東南アジアの熱帯雨林の気候を再現・維持・運営をしている屋内施設です。室内は植物に関する図書と資料のコーナーや、植物の他にも熱帯雨林に生息する魚などの展示もあり、トータルで熱帯雨林の形態がわかります。
グリーンドームは「潮間帯植生」「熱帯低地林」「集落景観」の3つの温室に分かれてそれぞれの特徴ある植物を展示しています。この熱帯植物園のポイントは熱帯地域の高山(寒冷地)の雲霧林も再現した冷室もあり、そこに生息している植物も観ることができるところです。
グリーンドーム内には熱帯植物を階下に見下ろせるカフェ「喫茶室クレア」も併設しているので、グリーンの中で癒しを満喫できます。また、地下1階には東南アジアの水域を再現した、ミニ水族館もあり日曜日には魚のエサやりタイムに先着で体験できます。
古の日本にふれられる植物園
新元号「令和」には日本最古の万葉集の巻五に収録された梅花の歌の「序」から引用されました。万葉集には花木を題材にした歌がいくつも歌われていて、それらの草木を展示している植物園もあります。また、東京は江戸時代から園芸が盛んになり発展しました。そんな園芸に関する歴史もわかる植物園もあります。
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赤塚植物園
特徴
板橋区赤塚町には「赤塚植物園」があります。赤塚植物園は赤塚の丘陵地を活かした造りになっています。おすすめは次の3つです。
- 香りの散歩道
- 芝生広場
- 日本庭園
「万葉・薬用館」では万葉集で詠まれた植物が生息条件別に詠まれた歌と共に、植物の説明が書かれているので、意味と合わせて楽しく学べます。また、ここでもよく知られている主な薬用植物をみることができます。
神代植物公園
特徴
「神代植物公園」は江戸時代から戦後間もないころまでこの地名「神代町」に由来してますが、古くは深大寺村と呼ばれていました。町の合併が繰り返され今では神代という名称はこの植物園だけに残っています。植物公園としては50年の歴史があり「日本に古くから伝わる花木の園芸品種を集め、これを保存栽培する」をコンセプトに以下の特徴があります。
・ツツジの大群植
・72品種210本の梅園
・400本の桜並木
また、3つのエリアに分けられた広大なバラ園もおすすめです。バラ園は第15回世界バラ会議バンクーバー大会にで「世界バラ会連合優秀庭園賞」を受賞しています。また、このバラ園は国際ばら新品種コンクール(JRC)に出品されるバラの試作場として、国の内外から出品されるバラの試作や審査なども行われています。
2016年5月に大温室がリニューアルされオープンし、熱帯スイレン室やベコニア室などができ約1,300品種の植物を有する年間を通して、植物とふれあいのできる公園として親しまれるようになりました。
植物園の近くには深大寺というお寺がありその周辺には「深大寺蕎麦」を提供する店が多くあります。この地は水田には向かない土地だったため、農家はソバを栽培しそのソバを深大寺に献上していたことから広まったと言われています。植物公園開園のためにソバ畑は譲渡されました。植物園の水生植物園にはソバ畑もあります。
白金台駅や目黒駅の近くという東京の真ん中なのに、そのことを忘れるほど自然豊かです。広大な敷地にはいくつかのビューポイントがあるので探してみる楽しみがあります。
・シイの巨木
・モミジの新緑・紅葉
・小川と湿地
・水生植物園
・コナラ林
自然への親しみと理解を深めるための学習支援として、日曜観察会、子ども自然教室、自然史セミナーなどが実施されています。野外観察はもちろん雨天の場合でも、室内講義でフォローアップがあるので安心して申し込めます。開催スケジュールは要チェックです。