野芝をご存じですか?
野芝は暖地型に分類される日本芝の一つです。強健な性質で管理もしやすく育てやすい、ということで今回は別枠で野芝をピックアップしてみました。
野芝の特徴
強健な野生種の野芝
もともとは山などに自生していた野生種の野芝ですが、人の手によって効率よく普及されるようになりました。今では高麗芝と並ぶ一般的な品種として扱われています。野芝の性質は強健で、病害虫に強い、肥料を必要としない、耐乾性があり踏みつけに強いといったことや、成長が遅いため手入れや管理が簡単で、高麗芝よりも寒さに強いといった利点が上げられます。
野芝の唯一の欠点は繊細さに欠けること
植物として多くの利点を持っている野芝ですが、山に自生していたたくましい野生種ということもあり、繊細さにはいささか欠ける点があります。というのは、草幅が広く草質も硬いため、刈り取った際の切り口が、荒く刺さるような感触になってしまうという点です。あくまでも人間が利用する上でのデメリットですが、広い公園やゴルフ場のラフといった場面では、野生種ならではの強健さを発揮しています。
野芝を栽培してみよう
切り芝から育てる
小さくカットされ、10枚ほどに束ねられたタイルのような芝生を見たことはありますか?これは「切り芝」や「ソッド」と呼ばれ、一般的に芝生はこうした形で販売されています。購入してきた切芝をならした地面に若干隙間をあけて並べ、目土を上からかけます。こうすることによって芝生は土に馴染み、根を張るとともにランナーを出して土に定着していきます。日本の風土に合い、自生していた野生種ですから馴染むのも早いことでしょう。
種から育てる
野山に自生していた野芝ですが、今では店舗で種を購入できるようになりました。上記のようにタイル状の切芝を貼る方法もありますが、西洋芝のように種をまいて育てることもできます。種から育てる利点は費用がおさえられることです。以前は発芽率の悪かった野芝ですが、品種改良により高い発芽率を保つようになりました。
芝生の手入れと管理
それでは最後に、野芝も含めて芝生の手入れと管理の仕方をご説明します。
肥料のタイミング
肥料は芝の状態を見ながら
どの植物にもいえることですが、肥料は何をどのくらいの量で、とおおよその目安はありますが、芝生を管理する上では、状況を見て判断することが大切でしょう。ところどころ葉が黄色くなってきたり、黒っぽい部分が出てきたり枯れる部分が出てきたりと、芝生は絶えずメッセージを送ってくれているはずです。
定期的な水やり
水やりには家庭用スプリンクラー
芝生の管理で手がかかるのはやはり水やりでしょうか。それも夏場の水やりは外に出ることすら億劫ですよね。そんな時に活躍するのが、家庭用のスプリンクラーと呼ばれる散水機です。散水の位置を変えながら自動的に水やりしてくれますが、まんべんなく芝生に水がいきわたるよう時々設置位置を変えるとよいでしょう。
芝刈りは機械を使って
写真:ハンドタイプの芝刈り機
いろいろな種類のある家庭用芝刈り機
家庭用芝刈り機は、大きく分けて手動式と電動式の二つがあります。カラカラと手押し車を押して、内蔵されたカッターが芝を刈り取るタイプが手動式。電動式には飛び石や垣根などの周りを刈り取れるハンドタイプと、広範囲を刈り取れる車輪のついたタイプがあります。管理のしやすさと庭の広さや状況に合わせて購入を考えましょう。
エアレーションとサッチング
芝生に酸素を与えるエアレーション
写真:エアレーション用のローンスパイク
エアレーションなどと聞き慣れない言葉をきくと何事かと思われるかもしれませんが、ローンスパイクという道具で芝生に穴をあけ、土の中に空気を入れる手入れのことです。エアレーションによって芝生に酸素が供給され、発育が促進されます。また、部分的に古い根が断ち切られることによって新しい根が生え、芝生を活性化させることにもつながります。
枯れた芝草を掻き出すサッチング
写真:サッチングに便利なレーキ
サッチングとは、芝生の表面に詰まっている枯れた芝草を、熊手やレーキなどで掻き出して取り除く作業です。サッチングによって、土壌の水はけ、通気性、微生物の活性化など芝生によい環境を作ることができます。地味ですが、のちの芝生の生育にも関係してくる重要な手入れです。
まとめ
暖地型、寒冷地型、日本芝、西洋芝。ひとくちに芝生といってもさまざまな分類の仕方や品種がありましたね。中でも野山に自生していた野生種の野芝には、力強い生命力が感じられました。さて、ご家庭で植えられる芝生のイメージはできたでしょうか?種まき、芝張り、水やり、肥料、草刈り、エアレーション、サッチング。どれも芝生にとっては必要な手入れです。芝生を上手く管理できるようになればガーデナーとしての腕も上がりそうですね。
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写真:広範囲に画期的な車輪タイプ