野芝とは
野芝の基本情報
正式和名 | シバ |
属性 | イネ科シバ属 |
分類 | 多年草 暖地型芝草(夏芝) |
原産地 | 日本 |
草丈 | 10cm |
耐寒暑性 | 耐暑性:非常に強い 耐寒性:強い |
日本に自生していた野生種の野芝
野芝は一般的に芝生と呼ばれる多年草植物の中の種類の一つで、日本に自生していた植物です。その性質は非常に強健で、いろいろな場面で広く利用されています。芝生の種類としては暖地型とよばれ、冬には地上部が枯れてしまうといった性質があります。たいへん利点の多い芝生ですが、唯一の欠点は、草幅が広いため見た目に繊細さが欠けるといったところでしょうか。
野芝の特徴
野芝の利点
管理、栽培のしやすさ
日本の風土に合い、自生していた野芝を育てるに当たっては、定期的な手入れや水やりについての注意事項はほとんどありません。切り芝からはもちろん、西洋芝のように種から育てることも可能ですが、その際には発芽促進処理をされたものを使用します。北海道の北部をのぞいては、日本全土どこの地域でも栽培可能です。
強健な性質で育てやすい
暖地型の芝生全体にいえる利点でもあるのですが、その中でもトップクラスの耐久性を持つ野芝の特徴をあげておきます。
- 耐暑性、耐寒性(暖地型の中でも最強)に優れている。
- 耐乾性に優れ、水やりの頻度をおさえられる
- 耐病性に優れ、管理がしやすい
- 成長がゆっくりなので芝刈りの頻度も少なく、手入れがしやすい
- 土壌を選ばす、肥料を与える頻度が少なくて済む
- 種からの栽培も可能で低コストである
高麗芝、姫高麗芝との違いと見分け方
写真:野芝、高麗芝、姫高麗芝の三種類の中で、もっとも草幅が細く柔らかい姫高麗芝
野芝、高麗芝、姫高麗芝の見分け方は草幅の違いで
野芝、高麗芝、姫高麗芝の三種類は、日本原産の暖地型の芝生ということで特徴や性質がよく似ています。この三種類の見分け方としては草幅の広さの違いを見ることが一番分かりやすいです。野芝の草幅は4mm、高麗芝は3mm前後、姫高麗芝は2mm以下になります。こうした草幅の違いが、芝刈りをした際の切り口の違いとなります。芝草の断面図が大きければ、それだけ触感や見た目の印象が荒くなります。とはいっても個体差もあるので見分け方としては微妙かもしれませんね。
こちらで、上記以外の芝生のご説明をしておりますので参考になさってください。
野芝の利用される場所
ゴルフ場
耐乾性の強い性質
ゴルフは芝生の上でプレイすることは当然ですが、数ある芝生の種類の中でも野芝が適している理由には、耐乾性の強さがあげられるでしょう。日本芝を使っているゴルフ場の場合、最終打を決めることになるグリーンには密度のある姫高麗芝、フェアウェイやペナルティの意味合いもあるラフには刈高の高い野芝が使われています。水やりや手入れが毎日必要とされるグリーンですが、そういった点でも野芝の扱いは比較的楽な方だといえるでしょう。
野球場
野球選手にやさしい天然芝
野球場で使用される芝生には天然芝と人工芝がありますが、この際の天然芝として適しているのが野芝になります。水やりや手入れといった管理には人工芝よりもコストがかかるのですが、選手の足や体をやわらかく受け止めるといった意味合いでは、やはり人工芝よりも野芝でしょう。プレイ中のケガのリスクも軽減されるといわれています。
サッカーなどの運動競技場
擦り切れに強い性質
野芝をサッカー場などで使用する理由には、擦り切れに強いといった特徴があげられます。激しいプレイが繰り広げられるフィールドで、ジャンプの着地や、摩擦に強い野芝はまさにうってつけといえますね。スポーツ観戦にきている人たちにとっても、周囲の気温を下げてくれる天然芝はありがたい存在といえるでしょう。
公園・広場
踏圧に強い性質
野芝を公園で使用する利点は、茎葉が硬いことにより踏圧に強いといった特徴があげられるでしょう。たくさんの人々が訪れ、芝生の上を歩き、座り、レジャーを楽しむ、といった行為をものともしない種類となると、最適なのはやはり野芝でしょう。アスファルトの道ずっとを歩いてきた人たちが野芝に足を踏み入れた瞬間、足だけでなく気持ちまで楽になるのではないでしょうか。
マンションや一般家庭の庭
管理、手入れがしやすい性質
家庭で芝生を育てるとなると、やはり管理や手入れの楽なものが望ましいでしょう。その点野芝は水やりや芝刈りの頻度も少なく、耐病性にも優れ、芝生の中でもおすすめの種類といえます。業者の手を入れることなく、すべてを自分で管理できるのはうれしいことですね。毎日庭に出るのが楽しみになりそうですね。
野芝の季節の管理とようす
春のサッチング
新芽が動き出す前に枯れた芝を片付けよう
春の時期にやっておきたいことは、動き出した雑草の除去とサッチングです。刈りクズや古い芝をレーキで掻き出して、新芽の成長に備えましょう。目土入れや切り芝の貼り換え、種をまくのもこの時期です。芝生が茶色い内は水やり、肥料、芝刈りの必要はありません。芝生が緑色になってきたら肥料を与えて下さい。ただし与えすぎは禁物です。
梅雨時の野芝
蒸れ防止のエアレーション
梅雨の時期は野芝も蒸れやすくなります。この時期はエアレーションで芝の通気性をよくしてあげましょう。夏に向けて芝が新しい根を伸ばす時期でもあります。方法は、後述するローンパンチという道具で小さく芝生をくりぬき、穴を開けていくという作業になります。雨の多い時期ですから当然水やりは必要ありません。
紅葉する野芝
落葉多年草でもある野芝
芝生が一面紅葉するなんてあまり聞いたことがないと思いますが、野芝は落葉多年生植物ですから紅葉しても不思議ではありません。一般的に高麗芝と野芝は紅葉するといわれていますが、条件的に野芝だけが紅葉する率が高いようです。野芝の草幅が広いことが要因のひとつなのかもしれませんね。また、この時期に秋の雑草取りを行なっておきましょう。
冬期の野芝
水やりは不要な冬期
地上部が枯れ、野芝は休眠期に入ります。この期間の水やりは降雨のみで、水やりは不要です。肥料も必要ありません。地域によっては霜柱で地面が浮き上がってくるかもしれません。そうした場合は野芝を踏みしめてあげましょう。枯れた野芝の上に緑色の雑草が目立つことと思います。来年の作業を楽にするためにも雑草を抜いておきましょう。後述するエッジングもこの時期がおすすめです。
出典:BOTANICA