西洋芝のサッチング
海外から導入された西洋芝には暖地型と寒地型のタイプがあります。ここでは、夏の暑さに弱く寒さに強い、ケンタッキーブルーグラスやトールフェスクなどの寒地型西洋芝のサッチ取りについて解説しましょう。
必要な道具
サッチ取りはガーデンレーキでも行えますが、寒地型の西洋芝は面積が広い場合もあるため、サッチングマシーンを使うと作業を手早くできます。さらに、熊手では取りにくいほふく茎や地下茎を回収できるので、サッチ層の堆積を防げます。
西洋芝のサッチング(春~夏)
春の西洋芝のサッチングは、古い枯れ葉をかき取るにとどめて、芝の生長が盛んになるまでサッチングは優しくしましょう。夏はたまったサッチ層を取り除くのに適していますが、高温になる日は芝へのダメージも大きくなるためやりすぎには注意してください。暖地では、気温上昇が越夏に影響するため夏期のサッチ取りは控えましょう。
西洋芝のサッチング(秋~冬)
西洋芝も秋以降は生長が緩やかになります。越冬のため栄養を蓄えるため、ストレスを与えないようすることが大切です。この時期は、サッチ取りより落ち葉とりをして光合成が妨害されないようにしましょう。
ボタニ子
ボタ爺
サッチ対策には、サッチング以外の方法との組み合わせが重要だぞ。次のページでは、そのことについて紹介するぞ。
サッチング以外の芝生のサッチ対策
サッチの対策はサッチをかき出すだけでは充分ではありません。ここでは、サッチングの効果があがる管理方法について紹介します。
目土入れ
目土入れは芝生の上に土を入れる行為で、サッチ層の分解をすすめます。分解しにくい物質を多く含むほふく茎や地下茎を微生物によって分解させるためにも、芝生の表層部の茶色い部分が隠れる程度に砂利や赤土を撒いてください。5月ごろにサッチングをして、冬の枯れ草を除去した後に目土入れをすると効果的です。
ボタ爺
目土をいれると芝のグランドレベルがあがってしまうからの。芝生の設置の際に注意するのじゃぞ。
サッチ分解剤
サッチ分解剤はゆっくりとサッチを分解する微生物を含む資材です。詳しく解説すると、サッチを分解するのは微生物ではなく、微生物が放出する酵素になります。そのため、酵素が活発化する温度の高い時期に散布すると高い効果がえられますよ。分解されたサッチは土壌改良剤になり、芝生の生育にプラスに働くため、年1回の使用がおすすめです。
日本芝・西洋芝両方に使えるおすすめのサッチ分解剤
納豆菌であるバチルス菌が配合されている「シバキープPro」は天然芝であれば、種類を選ばずに使えます。有機質成分配合なので、散布後も安全性が高くペットが立ち入っても大丈夫です。1㎡で40gの散布になりますので、下表の散布可能面積を確認して適したサイズを選んでください。ただし、殺菌剤などの駆除剤を使用すると、分解剤に含まれる菌も死んでしまうため注意してください。
サイズ | 散布面積(㎡) | 散布面積(坪) |
---|---|---|
1.5kg | 37.5㎡ | 11.4坪 |
2.8kg | 70㎡ | 21.2坪 |
芝生へのエアレーション
エアレーションは芝生に隙間をつくり、空気の通り道をよくしたり水はけを改善する作業です。サッチ層がかなり堆積し、水はけなどに問題があるときに実施するとよいです。目土入れの作業と並行して、写真のような道具(タインエアレーター)を突き刺します。エアレーションによってできた穴には必ず目土を入れましょう。
芝焼き
芝焼きは2月~3月上旬に、芝草が休眠状態の時期に燃やす作業です。冬枯れした芝草はサッチになり、サッチングにも骨がおれますが、芝焼きをすることで一気に駆除が可能です。さらに灰や炭が土壌改良剤になるだけでなく、微生物も活性化するため、サッチ分解剤の効果がより高まります。
ボタ爺
芝焼きは効率的な芝の管理方法だが、煙が発生するため住宅街でやりにくいのがデメリットだの。
まとめ
天然芝は人工芝と異なり、さまざまな作業の積み重ねにより対策しなければならない要素が多々あります。サッチは特に駆除剤のような即効性のある資材がないため、時期にあわせた作業が重要です。ひとつひとつの作業はそんなに大変なものではないため、面倒くさがらず芝生の面倒見ることが大事ですよ。
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サッチングだけじゃサッチ層の駆除はできないのね。西洋芝はサッチングのタイミングも少ないし対策できるのかな。