潅水チューブとは
潅水チューブとは、野菜や果樹などの作物に自動で水やりを行うために設置するチューブです。広大な施設で農業を行っていると水やりをするのに手間がかかりますが、自動で潅水を行うことで人の負担を削減できるのと同時に、作物を効率よく育てられます。ここでは、潅水チューブの基本情報やメリットなど詳しく説明します。
基本情報
用途 | 施設栽培・露地栽培での潅水、夏場の乾燥対策 |
材質 | ポリ塩化ビニル・ポリエチレン |
パイプ径 | 50~60mm(用途による) |
厚さ | 0.15、0.25mmなど(用途による) |
種類 | 地表潅水用・点滴潅水用・頭上潅水用など |
使用場所 | 果菜・葉菜・花卉・果樹などの栽培、育苗、公園などの芝生や街路樹 |
潅水チューブを使うメリット
潅水チューブを設置するメリットは、「潅水の負担減」「水の効率的な利用による省エネ」「作物の病気発生の抑制」です。自動で水やりを行うため、その分の時間をほかの農作業に充てられるのはもちろんのこと、作物に応じた水分量を調整できるので余分な水を与えずに済みます。また、作物の種類によっては葉に水がかかると病気になることもあり、潅水チューブでの水やりはその点でも安心です。
ホース材の種類
ホースの原料は、主に「ポリ塩化ビニル」「ポリエチレン」が使用されています。ポリ塩化ビニルは、ホースのほかに電線被覆・住宅配管・靴などに使用されており、耐久性に優れている上、非常に燃えにくい素材です。ポリエチレンは、農業用フィルムやバケツなどにも使われており、強度があり加工がしやすいのが特徴です。
種類別の注意点
「ポリ塩化ビニル」は、熱に弱く変形することや、有機溶剤などに侵食されやすい特徴があります。「ポリエチレン」は、ポリ塩化ビニルと同じく火や熱に弱いことが挙げられます。草木を燃やす場所には置かないようにしましょう。
潅水チューブの種類
潅水チューブには、それぞれの用途に応じた種類があります。ここでは一般的な3つの種類を詳しく説明します。
地表潅水用
地表潅水とは、その名の通り地面の上に潅水用ホースやパイプを設置して潅水する方法です。日本では昭和30年頃に開発され、ビニールハウスなどの施設や露地栽培に使用されています。多孔チューブやパイプ・ノズルを設置したものなど、用途に合わせた商品が販売されています。
点滴潅水用
点滴潅水とは多孔チューブやパイプにかける圧力を調整して、点滴のようにゆっくりと水を潅水できるようにしたものです。水の省エネに繋がるのはもちろんのこと、潅水ムラがなく、同時に液肥も施せます。地表に設置するものと地中に埋没するタイプのものがあります。
頭上潅水用
頭上潅水は、主にハウス内などの施設の天井にノズル付きのパイプを設置して、施設内全体に潅水できるものです。一気に大量潅水できますが、水が無駄になったり、水が大量に落ちた部分が凍ったりすることがあります。現在では霧状の細かい水を散水できるものも開発されています。
潅水チューブの使い方
潅水チューブは農業設備だけでなくさまざまな場所で使用されています。ここでは、具体的にどんな場所で使われているのか詳しく見ていきましょう。
使い方①:ビニールハウス内で使う
おすすめの使い方の1つが、ハウスなどの施設栽培での使用です。露地栽培と違って天候の影響を受けにくく、潅水チューブを使って水やりを上手にコントロールすることでおいしい野菜を育てられます。
使い方②:路地栽培で使う
露地栽培においても大規模農園などで大量に作物を育てている場合、潅水チューブを使うことで潅水作業にかかる時間や人工を減らせます。また、余分な場所に水がかかることで発生する病気のリスクが少なくなりおすすめです。
使い方③:夏場の乾燥対策で使う
夏場は雨が降る量が少なく地面が乾燥しがちです。乾燥することで土の中の肥料分や塩分濃度が高くなり、植物が水分を吸収しにくくなるため、作物の成長に影響が出てきます。長い間雨が降っていないときにも潅水量をコントロールできます。
使い方④:中央分離帯の植栽への水やり
中央分離帯に植えている樹木などへの水やり方法として、埋没型の潅水チューブを使用している場合があります。初期費用はかかりますが、自動で定期的に潅水をするため猛暑のときに枯れる心配もありません。
出典:写真AC