はじめに
品質の高い農作物を作るために重要な要素のひとつが、水と肥料の管理です。肥料の種類のなかでも、液肥は水やりと同時に行えるのですが、常に正確な濃度を保つのが難しいものでもあります。そこで、役立つグッズが液肥の自動混入器です。特に長年人気の高い自動混入器である、ドサトロンの特徴や効果的な使い方を紹介しましょう。
ドサトロンとは?
ドサトロンとは、広大な範囲に正確な濃度で希釈された液肥をほどこすために開発された自動混入器です。もともとはフランスに本社を置くメーカーの「ドサトロン社」が開発した、流量比例混入器でした。
日本ではスプリンクラーを扱うメーカーのサンポールが、商品名「ドサトロン」として1990年から発売を開始しています。以来30年近くにわたり、優れた性能とメンテナンスの手軽さが、主に農業や園芸携わる方の間で人気を集めてきました。
ドサトロンの仕組み
ドサトロンはかん水用スプリンクラーといった、水が通るパイプやホースに連結して使用します。水が流れるときの水圧によって内部のピストンが上下し、あらかじめ設定されていた量の液肥を吸引するのです。水の流れる量が多いほど、ピストンの動く回数が増える仕組みになっています。
ドサトロンの特徴
水圧を利用するため電力がいらない
ドサトロンは自動的に肥料を混入できるグッズですが、液肥を吸引する動力は水の流れによる水圧です。ピストンを動かすために、モーターやバッテリーなどの電力を使用しません。そのため、電力の供給元や、充電の手間などを考えなくていいというメリットがありますね。また、動力が水道のみのため、省エネや経費削減にもつながります。
一定の希釈率を保てる
ドサトロンには流入する水の量や水圧が変わっても、設定された液肥の倍率が変わらず一定の量を保つ機能がそなわっています。手動で行うときのように、水の量に対していちいち液肥の量を計算する必要がありません。また、ドサトロンに流れ込む水の量が少ない場合も、問題なく肥料の吸入が行われます。
ドサトロンの注意点
価格が高いため初期費用がかかる
自動的に液肥を混入できるドサトロンですが、導入するのに最も大きなハードルになるのが値段の高さです。本体価格だけでも1機につき7~10万円以上かかりますし、かん水用のパイプや散水システムなどの周辺設備も必要です。ある程度の農作地を持っている方、または広大な庭を管理しているという方でなければ、導入は難しいでしょう。
水の流量によって機種を選ぶ
ドサトロンは流入する水の量によって、接続口の口径や本体のサイズで機種が分かれています。購入する際は、目的や使用する設備にあわせて、適切なドサトロンの機種を選んでください。サイズの合わない機種に、無理に大量の水を流すのは故障の原因になります。なお、多くの水が流入できる機種ほど価格も高価です。