ナイロンカッターとは
雑草駆除の強い味方、草刈り機。草刈り機には、大きく分けて2つの種類があります。ひとつは金属刃を回転させて草を刈るもの。もうひとつが「ナイロンカッター」と呼ばれる円盤状のものを草刈り機の先端に装着し、そこに取り付けたナイロンのコードを回転させて草をかるものです。ナイロンカッターは金属刃と比較して安全性が高いため、とくに草刈り機初心者の方にはおすすめです。
ナイロンカッターの特徴
ナイロンコードを使用する草刈り機は、刃物ではないため取り扱いが安全で簡単です。特にやわらかくて短い草を駆除したい場合におすすめします。またコードに柔軟性があるためキックバックが起こりにくく、塀やフェンスといった障害物が多い場所でも安全に作業できるところがメリットのひとつです。
キックバックとは
金属刃の草刈り機を使用する場合、塀や木、大きな石など硬いものにぶつかると草刈り機が大きく弾かれてしまうことがあります。これがキックバックです。キックバックによって転倒やケガする場合があるので、作業中は十分な注意が必要です。
ナイロンカッターのデメリット
ナイロンコードは金属と比較すると強度が落ちるため、枝や茎の硬い草を刈ることには適していません。また、草がコードに絡みついて回転が落ち、刈りにくくなることもあります。無理に硬いものを刈ろうとしたり、回転が落ちたまま作業を続けたりしていると、草刈り機本体の故障にもつながってしまいます。
金属刃との違い
金属刃には、2~8枚刃のもの、鋸刃になっているもの、笹を刈るための「笹刈刃」と呼ばれるもの、鋸刃の先に金属片がついた「チップソー」と呼ばれるものがあります。刃物なのでナイロンコードと比較すると切れ味がよく、専用の機械があれば研いでくり返し使うことも可能です。
金属刃のデメリット
鋭利な刃がついているため、交換や保管時にもケガをしないよう注意が必要です。またキックバックが起こりやすく、特に雑草が繁茂して足元が見えないような場所での使用は危険性が高くなります。そのような場所で草刈りをするときは、前もって歩くなどして、鉄管や大きな石がないか確認することをおすすめします。キックバックが起こらなくても、硬いものに当たると刃こぼれすることがあります。
ナイロンカッターの種類
ナイロンカッターは、コードの交換方式によって大きく4つに分類されます。またナイロンコード自体も形状や強度などさまざまな種類のものが販売されいるので、使用頻度や使いやすさを考慮して比較検討し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
ナイロンカッターの交換方式
ナイロンコードは、草刈りをしているうち先端の方からすり減っていきます。コードが短いまま作業を続けていると効率が落ち、草刈り機本体や作業者への負荷が大きくなってしまいます。コードが短くなり、刈れる範囲が狭くなってきたと感じたら交換が必要です。
差し込みタイプ
あらかじめ適切な長さに切ってあるコードを差し込んで使用するタイプです。他のタイプのようにナイロンカッターにコードを巻き付ける必要がないので、コード交換も簡単。初心者におすすめのタイプです。またナイロンカッター自体を薄くすることができ、より地面の近くで草を刈ることができます。コードを交換するときは一度エンジンを止める必要があるので、半自動や全自動のタイプと比較すると作業効率が落ちてしまいます。
手動繰り出しタイプ
ナイロンカッターにコードを巻き付けておき、コードが摩耗してなくなったら手動で引っ張り出すタイプです。こちらも構造が簡単な分、ナイロンカッター本体を薄くすることができますが、引っ張り出す際にはエンジンをとめ、作業を中断する必要があります。
半自動タイプ
高儀 斬丸 草刈用 ナイロンコードカッター 叩き繰り出し式 速巻 T-B(No.8)
参考価格: 1,989円
ナイロンカッターの中心がボタンのようになっていて、そこを押すとコードが自動で繰り出されるタイプです。ボタンは接地面についているので、ナイロンカッターを地面に軽く叩きつけることでコードが繰り出せるようになっています。コード交換のためにエンジンをとめる必要がないので、効率的に作業ができます。
全自動(フルオート)タイプ
コードが短くなると、遠心力により自動で新たなコードを繰り出してくれるのが全自動タイプです。他のタイプと比較すると最も効率よく作業ができます。
ナイロンコードの種類
ユーザーの中にはナイロンコードを「ワイヤー」と呼ぶ人もいますが、基本的にはナイロンでできた紐です。中には特殊な加工を施して金属の成分を含有しているものもあります。
ナイロンコードの形状
ナイロンコードは丸形、角形(四角、六角など)、鋸形、星形、スパイラル形とさまざまな種類があります。切れ味が良いものを選ぶなら、角があるタイプがおすすめ。長く使用したいなら摩耗しにくい丸形を選ぶとよいでしょう。太さは2.3~3mmで、太い方が長持ちしますが、比例して価格も高くなる傾向にあります。また太くて長いものは排気量の小さな草刈りには適していないことがあるので、注意が必要です。
形状以外のポイント
ナイロンコードの中には、アルミを含有したりステンレスワイヤーを入れたりして強度を高めたものや、特殊な加工で作業時の音を従来より小さくした「静音タイプ」のコードなどもあります。ただし全く音が出ないわけではないので、作業の際は時間帯を考慮して行いましょう。
ナイロンカッターはどの草刈り機でも使える
金属刃と同様に、ナイロンカッターもJIS規格に沿って作られているため、草刈り機本体のメーカーを気にすることなく取り付けることができます。今まで使用していた草刈り機があれば、ナイロンカッター用に新たに買い足す必要はありません。ただし、排気量の小さな草刈り機や充電式の草刈り機などは、ナイロンカッターとの組み合わせによって、思ったように刈れないこともあります。自分が使用している草刈り機に適したものを選びましょう。
エンジンの排気量には注意を
回転させるコードの長さや太さに対してエンジンの排気量が小さいと、思うように刈れないだけでなく草刈り機本体に大きな負荷をかけることになります。自分の草刈り機のパワーに合うコードを選びましょう。
自作コードは危険性も
ナイロンカッターのヘビーユーザーの中には、ナイロンよりも切れ味のよい金属製のワイヤーなどを使ってコードを自作している人もいます。規格に沿って作られたコードと違い安全性に不安があるので、自作はあまりおすすめできません。金属製のワイヤーはナイロンよりも柔軟性が低くなってしまうため、キックバックが起こる可能性もあります。もっとよく切れるものが欲しいときは、金属刃の購入を検討してみてください。