いちごは野菜?それとも果物?
イチゴ(苺)は、分類上「野菜」です。果物として利用されることが圧倒的に多いため、知らずに食べている人は多いことでしょう。イチゴのように、果物だと思っていたものが野菜だったり、野菜だと思っていたものが実は果物の分類だったり、実際はどっちなの?と迷いますよね。
農林水産省が定義を決めている
これらの分類方法は、農林水産省が定めた定義にもとづいています。今回、この記事では果物や野菜の定義や、違いなどを解説していきます。
農林水産省って何をしてるところ?
農林水産省(農水省)は、国民が安心した食生活をするために、農業、水産業、林業などの「食」に関する環境整備や、安全を保障する事を目的に、さまざまなはたらきをする国の行政機関のひとつです。今回のイチゴ(苺)以外にも、様々な食品は農水省が定めた定義で、分類されています。
果物と野菜の定義とは
果物と野菜の定義とは、一体なんでしょうか。日本では、農林水産省が定めた定義を、わかりやすく解説します。
野菜と果物(果実)の分類については、はっきりした定義はありません。あるものを野菜に分類するか果物に分類するかは、国によっても違い、日本でも生産・流通・消費などの分野で分類の仕方が異なるものもあります。
農水省のサイトでは、野菜と果物(果実)の分類の定義がはっきりしていないと記載があります。それでは、なぜイチゴ(苺)は野菜に分類されたのでしょうか?
野菜の定義
野菜の定義は、生産分野で
- 田畑で栽培されるもの
- 主食とあわせて食べるもの(おかず/副食物)
- こんにゃくやかんぴょうのように「加工を前提」としないもの
- 木にならないもの(草本性:そうほんせい)
果物の定義
農林水産省では、園芸作物の生産振興を効果的に推進するため、概ね2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを「果樹」として取り扱っています。
果物や果実のことは、農林水産省では「果樹」という扱いなんです。そして、「2年以上栽培する」「果実を食用とする果樹」ここがポイントです。(※)上記の木本植物(もくほんしょくぶつ)とは、樹木のこと。草本植物(そうほんしょくぶつ)とは、草花のことをいいます。
いちごが「野菜」である理由
改めて、いちごが「野菜」である理由をまとめます。
- 草本性である(木にならない)
- 苗から1年で収穫ができる
生産、流通、消費それぞれの「いちご」への視点
生産者「イチゴ(苺)は、農林水産省の定義に基づいて、「野菜」として栽培します。 」
流通(販売)者「イチゴ(苺)は、果物(フルーツ)として扱われるのが一般的だから果物(フルーツ)として販売します。」
消費者「イチゴ(苺)は、果物売り場にあるし、甘いから「果物(フルーツ)」です。」
それぞれの立場によって変わるもの
このように、生産者、流通者(販売者)、消費者の視点は、同じイチゴ(苺)でも異なります。生産側は国の機関が野菜として分類しているイチゴ(苺)を生育し、出荷する側なので、「野菜」という扱いをする、流通(販売)者は、果物としてポピュラーであるイチゴ(苺)を「果物」として扱い販売を行う。
われわれ消費者は、果物として売られているイチゴ(苺)を果物として消費する、というように、同じイチゴ(苺)でも立場によって視点がちがいます。この視点は、他の野菜や果物も同様です。
野菜か果物どっちなのか?定義のまとめ
- 木になるか、ならないか
- 苗を植えて1年で収穫するものは「野菜」の扱い
- 定義はあやふやなところがある
- 野菜的果実で有名なものは「いちご」「メロン」「スイカ」
- 生産者、流通(販売)者、消費者それぞれの視点によって変わるものもある
果実的野菜(かじつてきやさい)
イチゴ(苺)のように、「生産者」には野菜と言われて、「流通(販売)者」や「消費者」には果物、といった、「実際は果実として食用する」という認識の食べ物は、「果実的野菜(かじつてきやさい)」と言われています。果実的野菜とは、どんなものがあるのでしょうか?また、何科のものなのか、簡単にご紹介します。
いちご
イチゴ(苺)は、果物としてのイメージが強いですが、何科なんでしょうか?イチゴは、バラ科の多年草植物です。果実が木にならない草本性のものです。生産側では果樹ではない、草本性のものである上、苗を植えて「1年」で収穫するのでこの理由から、イチゴは「野菜」と分類されています。
メロン
メロンは、甘く美味しい果物のイメージがありますが、何科の野菜だと思いますか?メロンは、ウリ科の一年生草本植物です。園芸分野では実を食用とする野菜と言われ、市場や栄養上は果物(果実)として分類されています。日本でメロンの生産は、北海道が有名です。
スイカ
スイカは、夏の風物詩ですよね。甘くて美味しいスイカは、何科の野菜でしょうか?こちらもメロン同様、ウリ科のつる性一年草です。スイカも、園芸分野では実を食用する「野菜」とされ、市場や栄養上は「果物」とされています。日本でスイカの生産地は熊本県です。
スイカの皮は漬け物などでも食べられる
日本では、古くからスイカの赤い部分はデザートとして食べて、白い甘くない部分は漬け物にして食べる習慣があります。ウリ科の食べ物なので、きゅうりに似た味と触感が、漬け物に合います。
野菜的果実(やさいてきかじつ)
イチゴやメロン、スイカなどのように、一見果物なのに「野菜」に分類されているものと逆で、野菜なのに果物と分類されているもので、有名なのは「アボカド」です。アボカドは、何科なのでしょうか?アボカドは、クスノキ科の常緑高木です。アボカドは、樹木に実る果実のため、分類が果物なのです。
まとめ
いちごがなぜ野菜と呼ばれるのか、その理由はいかがでしたか?野菜と果物の定義ははっきりしていないところもあり、普段の生活ではちょっとわかりにくいところもありますよね。今回題材にした、「いちご」は、われわれ消費者は果物として扱うのが一般的です。ですが、生産者側は農水省の定義に基づいて、野菜として生産しているという違いもわかりました。
果物か、それとも野菜か。どっちか悩んだら・・・
果物か、それとも野菜か…どっちなんだろう?と違いに悩んだら、「木になるか」「木にならないか」、「1年で収穫できるものか」「2年以上で収穫するものか」で考えると、わかりやすいです。あくまで分類するための定義ですが、参考にしてくださいね。
「果物」全般の概要は、強い甘みがあり、調理せずそのまま食べるのが一般的なものを「果物(フルーツ)」といいます。